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    生きる

    tonanashi_1074

    DONEマイ武 みっち視点
    ご都合主義な未来軸の話です。
    何てことの無い日々を生きるマイ武の話ですが、マイは一言も話しません。
    「ぐっ…うぅ……?」

     武道は腹部の重苦しさに、ぼんやりと昼寝から目を覚ました。

     武道は先日、レンタルビデオ店の平社員から店長に昇進したばかりだが、名ばかりの管理職の役割は主に出勤簿の穴を埋めることであり、生活は不規則の極みと言うべき惨状であった。

     一方、龍宮寺たちと共にバイク店を営む万次郎もなかなかに多忙な日々を送っており、同棲しているとはいえ、ここ最近は共に過ごす時間の少ない毎日である。


     そんな中、今日は久しぶりに互いの休日が重なるため、昼前に食糧などの消耗品の買い出しを終わらせ、午後からバイクで流しにでも行くか、と予定を立てていた。

     公正なるじゃんけんの結果、珍しく敗北し、買い出しに出掛けた万次郎の帰りを待つつもりが、いつの間にか寝入ってしまったようだ。まだ覚醒しきっていない意識の中で視線を彷徨わせると、自身では掛けた覚えのない薄い毛布と、この世で一等大好きな人が眠っている姿が目に入った。自分が床で大の字になり、爆睡している間に万次郎は帰宅しており、毛布まで掛けてくれたようだ。唯我独尊、傍若無人と謳われた元総長様にこうして世話を焼いて貰うことは気恥ずかしくもある一方で、愛されている、という確かな充足感を与えてくれる。
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