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    美しい

    46thRain

    INFO美しいかんばせを持つ「マネキン」はただの一言も喋らず、ぴくりとも表情を変えない。マネキンは壊れた人間なのだと誰かは囁いた。もともとは優秀な吸血鬼退治人であったが、ある日を境に壊れてしまったらしい――。
    9/18開催・吸死に一笑8にて発行予定のサンプルです。はてしなく不穏な雰囲気ですがちゃんとロナドラします。させる予定です。
    ・文庫サイズ/80頁前後/価格未定(500円~)/通販書店委託予定
    祝えよ絶望 呪えよ希望(ロナドラ) 街を真実として理解している生き物をご存知? 
    人間? 吸血鬼? 全くもって見当違いもいいところ! 答えは我らが鼠たちだ。地下という地下をテリトリーにして、地上にのさばる人間や吸血鬼どもの足元をササササッと駆け抜けて。この街の上も下も隅々まで一番詳しい話を知りたいなれば、賢い者は鼠を捕らえるものさ。まあ、そんな無礼な輩はこの鋭い歯で噛み付いて逃げるけれども。まことに知りたくば、跪(ひざまず)いて教えを乞うのが正しい姿勢というものだ。
     とはいえ、自分は若輩者であるゆえに、この街で五年生きる最年長の鼠公などと比べると知識はいささかか劣る。それでもあの男の話は自分のような若い鼠にさえ届いている。「マネキン」と呼ばれる男だ。
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    アメチャヌ

    DONE*最終巻特典の詳細が出る前に書いたものです、ご承知おきください。

    69話の扉絵がバッキンガムが65話で言ってた「美しい場所」だったらいいな〜、地獄へ落ちたバッキンガムがリチャードのお腹にいた(かもしれない)子とリチャードを待ってたらいいなぁ〜……という妄想。
    最終話までのアレコレ含みます。
    逍遥地獄でそぞろ待ち、 この場所に辿り着いてから、ずっと夢を見ているような心地だった。
     
     薄暗い地の底に落ちたはずが、空は明るく、草木は青々と生い茂り、湖は清く澄んでいる。遠くの木陰では鹿のつがいが草を食み、丸々と太った猪が鼻で地面を探っていた。数羽の鳥が天高く舞い、水面を泳ぐ白鳥はくちばしで己の羽根を繕う。

     いつか、あの人に見せたいと思っていた景色があった。

     まだ乗馬の練習をしていた頃。勝手に走り出した馬が森を駆け、さまよった末に見つけたその場所は、生まれた時から常に血と陰鬱な争いが傍にあったバッキンガムに、初めて安らぎというものを教えた。
     静謐な空気に包まれたそこには、あからさまな媚びも、浮かれた顔に隠れた謀略も打算もない。煩わしさからはかけ離れた、ほかの誰も知らない、誰もこない、自分だけの特別な場所だった。
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