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    自重

    すぺ2

    TRAININGAmonさん(@hell_rider_a13)の素敵絵に小説付けさせていただきました。
    とても自由にオリキャラを出してしまい、かつ、喧嘩する牛天がテーマなので苦手な方はご注意ください。
    アーミー若利と悩みましたが、アーミー若利はもっと話が長くなってしまいそうで💦自重しました!
    【覚醒の時】

    「は?」
    思わず俺は声を低くしていた。
    「ウシワカ、今、なんつった?」
    ほぼゼロ距離まで近付いてその瞳を覗き込む。どんな場面でも動揺を見せないそのオリーブグリーンの瞳が僅かに揺れているのにも気付かないくらい頭の中が煮え立っている。にもかかわらず、俺の表情は冷え冷えと無表情になっていくのが自分自身でも他人事のようにわかった。場の空気まで凍ったのも普段だったら気遣う所だが、今はそれどころじゃない。
    「もういっかい、いってみろよ? いま、なんつった?」
    幼少期に自分が妖怪と言われたのを思い出させる底冷えする声が自分の声帯から発せられているのを一枚隔てた膜の向こうで見ていた。

    * * *

    白鳥沢学園は全寮制ではない。希望者のみ寮生活なのだが、実家が遠い者、特に強豪であるバレー部などの運動部に入っている生徒の多くが寮生活を希望していた。
    ただ、世の中、例外というものはいくらでもある。いくらバレー部部員でも事情がある者はもちろん、寮に入らない。入れない者も居る。
    竹下祐樹は後者だった。中学の大会でもそれなりの成績を収めていたらしい彼は、一般入試で白鳥沢に入り、バレー部に所属した 4398

    Satsuki

    DOODLE猫フェリクスは可愛いというだけの話。捕虜設定はざじさん(@zazi_333)の素敵な捕虜フェリ創作からお借りしております。そろそろお借りしすぎなので自重します。
    フェリクスは猫だった。耳から尻尾にかけては月夜の森の中のような柔らかい黒色で、喉やふわふわの腹側は雪のように真っ白い猫だった。いつだっていかにも猫らしくぴんと尻尾を立てて、キッと周りを睨みつけて歩いた。天気の良い日は池のほとりで魚を眺めたり、木箱の上で日に当たったりして過ごす。気が向くと青獅子の学級でディミトリと授業を聞き、訓練場で生徒たちが剣や槍を振るったり、弓を引いたりする様を眺めていた。
     孤高で、気難しい猫なのに、生徒たちはフェリクスのことを可愛がる。アッシュはフェリクスのために魚の骨と肉とを分けてやり、メルセデスは柔らかな膝をフェリクスに貸したがった。アネットは温室でこっそり歌を聞かせてやり、ドゥドゥーはフェリクスが歌を聞いたまま、柔らかく盛った土の上で眠っているのをそっとしておいてやる。イングリットは食堂の机の下で、そっと自分の肉をフェリクスに分けてやった。ディミトリが真似をして肉を分けてやろうとすると、フェリクスはつんとして絶対に手を付けない。彼はディミトリが自分の食事を無感情に飲み下すのを、いつも気に入らな気に見つめていた。
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