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    読書感想文

    mame

    MOURNING千ゲ(造船軸)
    最後の会話が書きたかっただけの読書感想文の話
    ゲンは雑談から本題に移すのがあまりに自然だ。ぺらぺらとよく回るゲンの口を作業BGMにしていた千空は「そういえばさ」という音を拾い顔を上げた。

    「みんな文字覚えてきたし、そろそろやろっかなって思ってんのよね。まあまだ書けない子は代筆とか請け負うとして」

     方向性は決めているが具体的に細かいところまではまとめていない──そんな音色のそれに、千空はゲンを見やる。今夜はラボ内で千空はペルセウスのラボカーに乗せるもののリストアップ、ゲンは千空デパートの帳簿をつけていた。木炭で作ったペンを手に斜めうえを見つめ思案していたらしいゲンが顔の位置を戻した。千空の視線とぱちんとぶつかる。目にも口元にも三日月を描き、ゲンがにこりと笑った。

    「なにを」
    「読書感想文〜」

     某未来からやってきた猫型ロボットが便利道具を取り出すときのような口調で放たれた言葉に、千空は片眉を跳ね上げ口を盛大に歪めた。

    「読書感想文だあ?」
    「あ〜やっぱり! 千空ちゃん嫌いだったんじゃないかなと思ったよ、読書感想文!」

     千空の返しと共にけらけらと笑いながらゲンが言うので、やっぱりってなんだと千空はジトリとした視線を投げ 5884