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    読書感想文

    sushiwoyokose

    DOODLEめたふぁ~の読書感想文です 主とルイ エンディングまでの全てのネタバレを含みます 
    主人公の名前は「リンドウ」です。
    彼方へ送る追憶の一束※主人公の名前は「リンドウ」です

    幼少の砌、閉ざされたかの故里で過ごした記憶はひどく曖昧に混濁している。穏やかな風を浴びればほのかな懐かしさが過ぎり、ひとけのない静けさにこれ以上ない安寧を覚えるのは確か。しかし人里離れた森の奥、閉ざされた静かな村を見て胸に滲む感想はといえば御伽噺のようだなんて少し他人行儀なものだ。あるはずの思い出が霞んでいるのは、魂と体の分離があまりに長く続いたせいだろうと説いてくれたのはグルデアだった。どこへでも駆けていく願望を形どった己の記憶に、幼子のまま眠っていた己の記憶が、まだうまく結合し切っていないらしい。
    「よいしょ……っ、と、あいてっ」
    朝露に濡れた草花をかき分け、新緑の空気を胸いっぱいに吸い込んだのも束の間。額に衝撃を感じ、ややあって頭を打ったのだと理解した。呪いから解放され、時を戻した体は遅れた成長期を迎えている。その速度は目覚ましく、昨日はぴったりだったローブが朝起きると丈が足りないなんてザラなことだった。お忍びに出向く際に使っている抜け道も、いくつか通れなくなってしまったものがある。記憶に誘われるようにして潜った木のうろに頭をぶつけたのも、きっと覚えより背丈が伸びてしまっているからに違いなかった。くすくすと微笑むように緑が揺れている。妖精にでも見られたのだろうか、後でガリカに揶揄われなければいいのだが。
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    mame

    MOURNING千ゲ(造船軸)
    最後の会話が書きたかっただけの読書感想文の話
    ゲンは雑談から本題に移すのがあまりに自然だ。ぺらぺらとよく回るゲンの口を作業BGMにしていた千空は「そういえばさ」という音を拾い顔を上げた。

    「みんな文字覚えてきたし、そろそろやろっかなって思ってんのよね。まあまだ書けない子は代筆とか請け負うとして」

     方向性は決めているが具体的に細かいところまではまとめていない──そんな音色のそれに、千空はゲンを見やる。今夜はラボ内で千空はペルセウスのラボカーに乗せるもののリストアップ、ゲンは千空デパートの帳簿をつけていた。木炭で作ったペンを手に斜めうえを見つめ思案していたらしいゲンが顔の位置を戻した。千空の視線とぱちんとぶつかる。目にも口元にも三日月を描き、ゲンがにこりと笑った。

    「なにを」
    「読書感想文〜」

     某未来からやってきた猫型ロボットが便利道具を取り出すときのような口調で放たれた言葉に、千空は片眉を跳ね上げ口を盛大に歪めた。

    「読書感想文だあ?」
    「あ〜やっぱり! 千空ちゃん嫌いだったんじゃないかなと思ったよ、読書感想文!」

     千空の返しと共にけらけらと笑いながらゲンが言うので、やっぱりってなんだと千空はジトリとした視線を投げ 5884