Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    sh14302595

    @sh14302595

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    sh14302595

    ☆quiet follow

    Ep.2後、シルバーハート一家の視点のおはなし

    ※怪盗ジョーカーEncore Ep.2のネタバレを含みます
    ※読書感想文なのでCP小説ではありませんが、書き手はジョハチの人間です

    「らしくないわよね」

    ジョーカーがシルバーハートの家へ運び込まれて1時間。一応はジョーカーの様子が見える部屋に控えているものの、クイーンは紅茶を手にゆったりと過ごしていた。

    「そう見えるかい」

    台所ではエプロンを着けたシルバーハートが、回復料理を作っている。

    「だってあんな怪我、いつものハチくんならスカイジョーカーで面倒見てるのに。絶対安静にはさせるかもしれないけど、今ごろ痛がるジョーカーに『大したケガじゃないでしょ』って笑うくらいはしてるはず」

    実際、裏社会ネットニュースでジョーカーの音沙汰のない時は、ハチがジョーカーに仕事へ行けないようにとスカイジョーカーのあらゆる罠を駆使して留めていたことだってあったくらいだ。

    クイーンのカップへ紅茶のおかわりを注ぐロコは、気遣わしげにジョーカーのいる部屋を見ただけで口をつぐんでいる。

    「そうよ、こんな時に家に帰らないなんて。変よ」

    ジョーカーの師匠も修行仲間たちも皆、スカイジョーカーをジョーカーとハチの家だと認識していた。彼らはいつまでもあの船から共に夜へ飛び込んで来るのだと思っていたのだ。
    シルバーハートは、今し方かき混ぜた鍋を眉を下げて見下ろす。

    「そうさなぁ……。ワシらに出来るとしたら、見守ることくらいか…」
    「おじいちゃん…」
    「師匠…」

    しんみりとした空気が流れる。
    しばらくしてシルバーハートがパッと顔を上げた。

    「よしご飯にしよう! こうやって落ち込んどっても何にもならん!」

    ニッコリと笑うシルバーハートに、長年彼に育てられてきたクイーンとロコも同じように笑みを作った。

    「…そうね! お腹空いてちゃなんにもできないもの! ロコ、ジョーカーの様子を見てきてくれる?」
    「はい! でもご飯の匂いで起きるかも、いちおう持って行きましょうか?」
    「そうしてくれる? …もう、本当にそのくらいのケガなんだから、ハチくんもジョーカーもヤキモキなんかさせないでよね!」

    何かを理解しているらしいシルバーハートやロコに及ばずとも、クイーンだって二人のことが心配なのだ。
    今ではスカイジョーカーで食事を取るのが当たり前のジョーカーだ。久しぶりのシルバーハートの作る食事だ。いつ嗅いでも胸が弾む料理を前にすればきっとすぐ目も覚めるだろう。

    ロコが帰ってくるまで、といっても隣室だが、お預けを食らっていたクイーンだったが、ベッドからジョーカーが消えた、というロコの慌てた声にシルバーハートと共に別室に駆け込んだのち、家を出るまでの間に用意されたご飯を急いでかき込む羽目になる。
    ゆっくり食を味わえなかった怒りも載せて、クイーンは血眼になってジョーカーを探し始めるのだった。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    moonlight_32111

    DONE■レオマレ■診断
    ベッタ再録
    ■片思いレオマレにしてみた。
    ↓診断結果
    もなかのれおまれさんには「終わりが見えない」で始まって、「君の名前を呼んだ」で終わる物語を書いて欲しいです。季節を感じる話だと嬉しいです。
    #書き出しと終わり #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/828102
    終わりが見えない。
    嫌われているのに、これ以上相手に嫌われるのは・・・・。
    いつからこの思いが自分の胸を甘い痛みとなって身体を蝕んでいるのかもう忘れた。
    自覚なんてしたくなかった。こんなに苦しいなら。
    諦めようと何度もひと目がつかない場所で、静かに涙を流してしまうというのに。
    「それも青春のひとつじゃ」
    リリアに相談したが、楽しそうに微笑まれて何も解決もしなかった。

    月夜が学園に振り注ぐ。
    マレウスは日課である廃墟巡りに向かうため、寮をこっそりと抜け出した。
    静寂に包まれた目的の廃墟までの道のりで、今日も一人物思いに耽る。
    今日こそは、歪み合わずに話をしようと決めていたのに駄目だった。
    どうやったら、普通に話すことが出来るのか。ほんの少しでいいから歪み合わずに話すことはできないか。
    そんな考えが頭を駆け巡り、答えがなかなか出てこない。簡単に相談出来る内容でもない。
    ひとりで考えても答えが出ないとわかっている。気軽に相談出来る友がいないのであれば、相談することも難しいだろう。
    悩んでいるマレウスを嘲笑うかのように、月の光は闇夜を照らす。
    溜息を一つ零すと、目的の廃墟まで向かっていた足が 1215