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    贖罪

    みゃこおじ

    供養【ココイヌ】夏、過去の贖罪目の前には、1999年8月と書かれたカレンダーが壁からかけられている。
    先生? と呼ばれて、意識が急激に覚醒していく。あどけない高い声の主の方にゆっくりと視線を向けると、少し眠そうな蒼いタレ目をした男の子が、一生懸命に首をあげてこちらを見上げていた。
    生来の金糸、澄み切ったような空色の双眸。どこぞの少年合唱団のような恵まれた容姿をしている少年を、男ーー九井一は知っている。しかし、穴が開くほど少年を見つめても、どうして彼がここにいて、自分がここにいるのかはわからない。つい先程まで、最近のさばってきた目障りなチームを壊滅させていたはずなのに。
    「先生、どうしたの? 終わったよ」
    子供らしい高い声で先生と呼ばれることに胸が締めつけられた。九井はじゃあ見せてごらんと少年からノートを受け取って、お世辞にも上手いとは言えない字で書かれた回答に目を通す。
    少年は、勉強があまり得意ではなかった。特段運動も好きというわけでなく、休み時間はぼーっと自席から校庭を眺めて、クラスメイトがサッカーやドロケイをして遊んでいる姿を眺めているようなインドア系の少年だった。ただ、天使のような愛らしい容姿で同級生の女の子 1162