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    sssawara

    DONEお題:鍋パーティー
    とりあえず今はぬくいので 白菜クタクタになってるぞ。月島、カニが煮えてるが食うか?はい、頂きます。杉元ビール切れちまった。お前も少しは働け。クーン。
    「あ、おかえり」
     尾形がリビングの入口で固まっていると、対面キッチンから缶ビールを手にした杉元がひょっこり顔を出した。
    「……今日なんかあったか」
    「いや、前から言ってただろ。今日は鍋パだって」
     ああ、そうだったか。そんな気がする。こちらの意思なぞ関係なく加入させられた、グループ名〝 お寿司有〼〟。そのメンバーである杉元と尾形以外のふたりと、少女の父の友人である男、仲良くも無いボンボンに、その世話役、では無いが不本意にもいつの間にかそうなってしまっている男。
     ふたりで物件を決めた時は十分広いなと思った十二畳のリビングが、広いどころか狭くすら感じる。いつも並んで座るソファは壁の方に追いやられて、リビングの中心に鎮座した炬燵を、皆がきゅうきゅうと身を縮こまらせ取り囲んでいた。救いなのは、その炬燵がファミリーサイズだったことだ。全身余すことなく暖かく包まれたいし、出来るだけこの中に入ったまま日常生活を済ませたい。ふたり暮しには必要の無い大きさの炬燵を、尾形がそう言って高給を振りかざし、杉元を黙らせて購入したブツである。
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