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    ue_no_yuka

    DONE師匠過去編4

    後半に少しだけ震災の表現があります。時世を考慮して設定を変更することも考えましたが、自分の故郷を舞台にするということで、忘れてはいけない出来事として自分の作品に落とし込みたいと思いました。
    震災表現無いやつ↓
    https://poipiku.com/8874871/9879006.html
    鳶と鷹 鳶翔は三十年ぶりにやってきた里の景色に懐かしさをあまり感じなかった。というのも、この三十年で我が国の経済成長や世界の技術発展は目まぐるしく、この里の景色も最後に見た時とはまるで様変わりしていたからだ。中心街に木造の建物はほとんどなくなり、鉄筋コンクリートの高い建物が並び立っていた。鉄道駅も新しくなっていて、温泉郷と中心街を繋いでいるだけだった鉄道も本数が増えて、海辺行きと最近できた新幹線や空港へ繋がる線ができていた。人口の増加も凄まじく、里内に一つしかなかった高校も今では何校もあるらしい。

    陸流鍛刀場最後の刀工が先日亡くなり、もう陸流を直々に受け継いでいるのは鳶翔だけになった。そこで鳶翔は、亡くなった最後の刀工の遺言で、陸流の刀匠として鍜冶屋敷とその山を引き継ぐことになったのだ。もう里に来ることは無いと思っていた鳶翔としては些か複雑な心境だったが、正式な遺言に背くことは法を犯すのと同義なので致し方なかった。
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    多々野

    DOODLE1.5部を元にしたヴィタのモノローグです。全てがネタバレです。

    子ヴィタたちの星を襲った地震や津波について言及します。詳細な描写はありませんがお気をつけください。

    小説というより解釈書き下し文になってしまった
    解釈が変わったら随時修正します
    善人には向かない意識のない七つの器を、方舟の寝室に敷いた毛布の上に横たえる。床で悪いけど、ベッドは一つしかない。こういうときに誰か一人を特別扱いはできないから、僕が座るのに使わせてもらう。

    壊滅した町の瓦礫の下から七人を探して運ぶ作業は毎回骨が折れる。有事の際、彼女たちは一つの場所に固まっていない。一人は入り口のバリケードに、一人は避難所の前に、一人は町外れの家の前に。それぞれ町の人々を助けるために働いていたのだろう。しかし神の審判は絶対である。彼女たちに町を救うことはできない。

    僕は清潔な布で体に付着した泥を拭いてやった。細い足から靴を脱がせる。いかにも脆そうな、幼く、小さな体だ。しかし、住民は流され家屋は倒壊し、町が完全に壊滅したというのに、この子たちに残った痕跡はせいぜいかすり傷程度で、大きな怪我は一つもなかった。今は気を失っているだけ。嘆かわしいことに、神様はこの星の命に対して不平等だ。
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