DSカラキラss


「看守さーん、これ！」

牢の隙間から差し出される手紙


囚人は月に一度だけ手紙を書くことが許される
特にキラーのように、誰かと暮らしていた囚人は手紙を書くことが多い


「ああ、しっかり届ける」

囚人達の手紙は決まった場所で保管され、封筒に書かれた宛名の主に届けられる
しかしキラーの封筒には決まって宛名が書かれていなかった

一度「宛名がないと届けられない」と伝えたが、改善されることはなかった



原則、手紙は勝手に見てはいけないのだが
今回は封筒に紙だけではない厚みがあった

(もしかしたら危険物が入ってるかもしれないし…、確認するくらいなら、いいよな？)




おそるおそる封筒を開け、便箋を開く


“看守さんへ
名前がわからなくて、今回も封筒に宛名が書けませんでした

2/22「に…にゃあ…」「にゃー！」「シャー！！」
現在まさに『怪現象』といっても差し支えない光景が広がっているが理由は単純に罰ゲームである。
トランプによる３種勝負で最下位になったら「一分間猫の鳴きまねをする」なんてとてつもなくくだらない罰ゲーム。厳正なる七並べ、ポーカー、そしてババ抜き。見事に最下位を引き当てたタイジュがその罰ゲームをするはずであったが悪ノリに悪ノリが重なりなぜかほぼ全員が猫になっていた。

「ニャー…ってそろそろよくないか？一分経つぞ」
＜ハナビくんは猫を通り越して何か威嚇の様でありまーす＞
「猫って言うといろんな妖怪がいるけども、最近だと「SCP-040-JP」ってのがあって…」
「はいはいそこまでだ。ここにはねこはいないぞ」

ビターエゴ「来ちゃった」と笑ってドアを開けたのはつい先程。ランドセルもそのままに超進化研究所まで来た彼の手には紙袋。その中身はこの時期恒例チョコレート。
「母さんからだけど、一緒にってさ。食べよう」
「全く…少しだけだからな」
「やった」
待機室で飲み物を揃え、蓋をあける。一口大できらきらひかるチョコレートは、指からの体温で融けそうだ。
「でもなんでシンが持ってきてるんだ」
「アブトはこーゆーのやらないだろうし、それに貰っても全部断るだろ？」
「なんでそうなる」
「でも実際あまり興味ないじゃん」
「それはそうだが…」
「ふふーんだからさ。だから一緒に食べたくて」
「そうか。じゃあこれはいらないな」
「えっ？」
ちらつかせるのは自作のチョコレートの入った袋。中身はオレンジピールにチョコレートをコーティングしたものだ。これであれば、誰からもらったものとも重ならない。そう考えて用意してしまったものだ。

5Ds/龍亞龍可龍可が家出をしたことがある。家出じゃないか、家から出て行ったわけじゃないから。病院から逃げ出したんだ。
死んで星になりたかったんだって。
龍可が家出をした時、本当は俺だって、もう逃げ出したかった。でもそんなわけにはいかなかった。俺はおにいちゃんなんだから。
俺はひとりでだって平気だけどね。龍可はこわいの？
わたしはこわいよ。夜が怖い。
少し遠くをみるような目。龍可がこういう目をする時は、重なった世界の向こうっかわを見ている時だ。
龍可には、俺がついててあげなくちゃって思う。でも時々、俺がいなくったって龍可は大丈夫なんだろうって思う。
大好きな遊星とおんなじ、憧れのキング、ジャックとおんなじ、高等部のトップ、アキ姉ちゃんとおんばじ、龍のアザ。まただ。これでまたひとつ、龍可は俺より特別になっちゃった。