空蝉
Layla_utsusemi
PAST一次創作【空蝉日記】のショートストーリー。中学時代の柊 陽太さんの話です。数年後、ネットを中心に大活躍するマルチ音楽バンドのメンバーの一人になるとはまだ知らない彼。【空蝉日記 短編】コンフォート・ゾーンカチカチカチ、カチカチカチ……。
日光が鬱陶しくて締め切ったカーテンが揺れる、薄暗い部屋。申し訳程度にデスクに置いたライトスタンドの灯りだけが、ただひたすらにPCのキーボードを打ち鳴らし続ける俺の手元をぼんやりと照らしていた。
すると突如、ドアの向こうから『夕飯よ〜』と母さんの声が聞こえてきた。俺はヘッドホン越しに『ドアの前に置いておいて』とだけ軽く答え、数分後、自室の前に置かれたラップのかかったハンバーグプレートを手に取った。
両親と共にリビングで一緒に食卓を囲む……というのは、あまり好きじゃない。それに、俺の家族もそこまで近しい距離感で接していない。
俺はプレートの料理には手を付けず、『取り敢えずこの編集が終わったら食べよう』と思いテーブルに置くと、再びPCの前に座り、画面と向き合った。
1278日光が鬱陶しくて締め切ったカーテンが揺れる、薄暗い部屋。申し訳程度にデスクに置いたライトスタンドの灯りだけが、ただひたすらにPCのキーボードを打ち鳴らし続ける俺の手元をぼんやりと照らしていた。
すると突如、ドアの向こうから『夕飯よ〜』と母さんの声が聞こえてきた。俺はヘッドホン越しに『ドアの前に置いておいて』とだけ軽く答え、数分後、自室の前に置かれたラップのかかったハンバーグプレートを手に取った。
両親と共にリビングで一緒に食卓を囲む……というのは、あまり好きじゃない。それに、俺の家族もそこまで近しい距離感で接していない。
俺はプレートの料理には手を付けず、『取り敢えずこの編集が終わったら食べよう』と思いテーブルに置くと、再びPCの前に座り、画面と向き合った。
Layla_utsusemi
PAST一次創作【空蝉日記】のショートストーリー。鈴晴 澪ちゃんと花園 美乃璃は中学の同級生です。美乃璃ちゃんがかつて犯した罪を、彼女は察しているかも……?【空蝉日記 短編】サバイバーズ・ギルト「ふぅ〜……作詞作業、終わりました〜!」
「おっ、お疲れ様〜!」
大きく背伸びをする私に対して、画面越しからそんな労いの言葉が飛んでくる。
今日は同じバンドメンバーであり私たちのリーダー、雨音 冬斗さんと通話を繋いで同時進行で作業をしていたのだが、どうやら冬斗さんよりも先に仕事が片付いたようだった。
「疲れただろうし、澪ちゃんももう上がっていいよ〜。僕もMix終わったらまた連絡するね〜。」
「はい、お疲れ様でした!」
そう言って通話を切ると、私は席から立ち上がりひと仕事終えた自分へのご褒美に暖かい紅茶とお茶菓子でも用意しようかとキッチンへ向かった。
昔はほとんど学校にも通えず、両親ともとても仲が良いとは言えなくて、いつもどんよりと息苦しい家で一人生きてきたこんな私でも、今は優しい仲間達と共に楽しく音楽を続けられている。
1464「おっ、お疲れ様〜!」
大きく背伸びをする私に対して、画面越しからそんな労いの言葉が飛んでくる。
今日は同じバンドメンバーであり私たちのリーダー、雨音 冬斗さんと通話を繋いで同時進行で作業をしていたのだが、どうやら冬斗さんよりも先に仕事が片付いたようだった。
「疲れただろうし、澪ちゃんももう上がっていいよ〜。僕もMix終わったらまた連絡するね〜。」
「はい、お疲れ様でした!」
そう言って通話を切ると、私は席から立ち上がりひと仕事終えた自分へのご褒美に暖かい紅茶とお茶菓子でも用意しようかとキッチンへ向かった。
昔はほとんど学校にも通えず、両親ともとても仲が良いとは言えなくて、いつもどんよりと息苦しい家で一人生きてきたこんな私でも、今は優しい仲間達と共に楽しく音楽を続けられている。
Layla_utsusemi
PAST一次創作【空蝉日記】のショートストーリー。気に入った相手には甘い悠川 龍希……みたいな(優しいとは言っていない)。【空蝉日記 短編】幼心に甘える「だからさっきからそう言ってんじゃん!」
「お前が説明しなかったんだろ!」
──放課後、部活や委員会等で席を外す生徒達に紛れ、人気の少なくなった教室に二人の男子生徒の声が響き渡った。
片方は長い金髪を三つ編みにした中性的な少年「輝 憂記」、もう片方は夕焼けのような赤い髪をした少年「星月 叶夜」の声だった。
「もう落ち着きなさいよあんた達、男子小学生じゃないんだから。」
そんな彼らにやれやれといった視線を向けるのは、クラスメイトの女子「日見 カサネ」。
決して委員長キャラでもない、むしろ他人をからかって楽しむ類の人間である彼女ですら、今の二人の口喧嘩には辟易としていた。
キッカケは些細な事だった。
叶夜から、放課後にプリントを回収するので覚えておくよう言われた憂記だったが、途中クラスメイトと長時間話し込んでしまい、結果、教室に居る叶夜の元へプリントを渡しに行くのが遅れてしまった……という、ただそれだけだ。
1188「お前が説明しなかったんだろ!」
──放課後、部活や委員会等で席を外す生徒達に紛れ、人気の少なくなった教室に二人の男子生徒の声が響き渡った。
片方は長い金髪を三つ編みにした中性的な少年「輝 憂記」、もう片方は夕焼けのような赤い髪をした少年「星月 叶夜」の声だった。
「もう落ち着きなさいよあんた達、男子小学生じゃないんだから。」
そんな彼らにやれやれといった視線を向けるのは、クラスメイトの女子「日見 カサネ」。
決して委員長キャラでもない、むしろ他人をからかって楽しむ類の人間である彼女ですら、今の二人の口喧嘩には辟易としていた。
キッカケは些細な事だった。
叶夜から、放課後にプリントを回収するので覚えておくよう言われた憂記だったが、途中クラスメイトと長時間話し込んでしまい、結果、教室に居る叶夜の元へプリントを渡しに行くのが遅れてしまった……という、ただそれだけだ。
稲荷娘
MEMOケダオペ、チゾメのCS空蝉桜のコンバートです
兎の怨嗟ケダモノ名:チゾメ
ケダモノ種:リュウケツザクラ(アンノウン)
権能:慈愛
欲望:庇護
私は人間を護るもの、それこそが私の存在意義。
疑似餌の姿:幻覚に囚われた貴婦人
住処:桜の咲き誇る寂れた社
いかなるケダモノ種にも属さないアンノウン。
エンギウサギ、マンドラバラ、ノスフェラトゥに似た性質を持つ。
人間に対して友好的だが常に幻覚を見ており、
住処にしている寂れた廃村を未だ人で賑わう栄えた村であると思い込み守っている。
この幻覚を否定すると狂乱し人に害をなすため注意が必要。
幻覚を否定せず話を合わせている間は極めて温厚であり、村に迷い込んだ人間に彼女なりの"もてなし"を施す。旅人にあたたかな食事と快適な寝床を提供し、旅の無事を祈り時には加護を与えてくれることだろう。
2070ケダモノ種:リュウケツザクラ(アンノウン)
権能:慈愛
欲望:庇護
私は人間を護るもの、それこそが私の存在意義。
疑似餌の姿:幻覚に囚われた貴婦人
住処:桜の咲き誇る寂れた社
いかなるケダモノ種にも属さないアンノウン。
エンギウサギ、マンドラバラ、ノスフェラトゥに似た性質を持つ。
人間に対して友好的だが常に幻覚を見ており、
住処にしている寂れた廃村を未だ人で賑わう栄えた村であると思い込み守っている。
この幻覚を否定すると狂乱し人に害をなすため注意が必要。
幻覚を否定せず話を合わせている間は極めて温厚であり、村に迷い込んだ人間に彼女なりの"もてなし"を施す。旅人にあたたかな食事と快適な寝床を提供し、旅の無事を祈り時には加護を与えてくれることだろう。
Layla_utsusemi
PAST一次創作【空蝉日記】のショートストーリー。中学時代、美術部に入っていた頃の光葉くんです。拗らせまくってる。【空蝉日記 短編】画布の中の呪詛「あーもう、こんな風に描きたい訳じゃないのに……!」
思わず込み上げてきた苛立ちに任せて、手に取っていた絵筆を床に叩き続けた。そのせいで床は汚れてしまったが、僕はそんなこともお構い無しに目の前のキャンバスだけを見つめていた。
昔から絵を描くのが好きで、画家を目指して美術部へ入部したのはいいものの、予想よりも課題の数が多く元々要領が良いとは言えない僕は悪戦苦闘していた。
多分、他の人が別に見向きもしていないような僅か数cmのミスさえ、僕には許せなかった。
それを長所ととるか短所ととるかは人による。
僕は、短所だと思う。
「今回のテーマは、『親子』……。」
最初に聞いた時は、まるで小学校の作文のようだなと失笑してしまった。自らの家庭環境が周りのそれと大きく違っていた事も所以するかもしれない。
1148思わず込み上げてきた苛立ちに任せて、手に取っていた絵筆を床に叩き続けた。そのせいで床は汚れてしまったが、僕はそんなこともお構い無しに目の前のキャンバスだけを見つめていた。
昔から絵を描くのが好きで、画家を目指して美術部へ入部したのはいいものの、予想よりも課題の数が多く元々要領が良いとは言えない僕は悪戦苦闘していた。
多分、他の人が別に見向きもしていないような僅か数cmのミスさえ、僕には許せなかった。
それを長所ととるか短所ととるかは人による。
僕は、短所だと思う。
「今回のテーマは、『親子』……。」
最初に聞いた時は、まるで小学校の作文のようだなと失笑してしまった。自らの家庭環境が周りのそれと大きく違っていた事も所以するかもしれない。