【空蝉日記 短編】サバイバーズ・ギルト「ふぅ〜……作詞作業、終わりました〜!」
「おっ、お疲れ様〜!」
大きく背伸びをする私に対して、画面越しからそんな労いの言葉が飛んでくる。
今日は同じバンドメンバーであり私たちのリーダー、雨音 冬斗さんと通話を繋いで同時進行で作業をしていたのだが、どうやら冬斗さんよりも先に仕事が片付いたようだった。
「疲れただろうし、澪ちゃんももう上がっていいよ〜。僕もMix終わったらまた連絡するね〜。」
「はい、お疲れ様でした!」
そう言って通話を切ると、私は席から立ち上がりひと仕事終えた自分へのご褒美に暖かい紅茶とお茶菓子でも用意しようかとキッチンへ向かった。
昔はほとんど学校にも通えず、両親ともとても仲が良いとは言えなくて、いつもどんよりと息苦しい家で一人生きてきたこんな私でも、今は優しい仲間達と共に楽しく音楽を続けられている。
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