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    カルネ

    iguchi69

    DOODLE「我が愛しのカルネアデス」
    ※メンスト、バンエピ、あの~を踏まえての狛犬兄弟過去捏造
    時折、兄から映画を観ないかと誘われることがある。
    正直言って煩わしい。双循の持ってくるタイトルは大抵が白黒であったり、後々調べものをする必要があるほど特殊な時代や風習を舞台にしたものが多かった。(ひどい時は色彩どころか音声さえもなかった)去年やっとケーキに乗せる蝋燭を二桁に増やした凱循にとっては退屈で仕方ないものだ。

    しかし断ればどんな嫌がらせを受けるかわからない。向こう三日はおどれは教養が足らん鳥並のおつむにゃちいと難しかったかと嫌味三昧の日々が待っていると思えば、凱循に選択肢は残されていなかった。それに、少なくとも画面の中の世界に没入する数時間は、もはや日常となった性質の悪い悪戯を回避できる。
    凱循はしぶしぶ兄の手招きに従い、暗幕を張った北の部屋へ入った。日当たりの悪い部屋は初春にも関わらずひんやりとした空気で満たされている。思わずくちゅん、とくしゃみがひとつ漏れた。ほれ、と差し出された毛布をひったくるようにして奪う。

    「200分近くあるけえ、便所は漏らす前に言うんじゃぞ」
    「漏らす訳ないだろ! ガキじゃないんだからな!」
    200分、という言葉を頭の中で計算する。全く以ていらつ 2540