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    閉鎖

    neo_gzl

    MOURNING遙か5風花記、高杉×ゆき
    閉鎖済みのサイトに置いてあったものを拾ってきました。イチャイチャを書きたかっただけなので話にオチなんてない。高ゆきは永遠にイチャコラしていてほしい。
    「甘い雨のなかで」





     外は雨が降っていて、雨音と蛙の声がしている。
     部屋には舶来品のランプが置かれており、文机の前には男が腰を下ろして何かの書状を読んでいた。
     ゆきはつと視線を外から部屋の中に向け、その男――高杉の背中へと移す。
     すると途端に胸の鼓動が跳ね上がり頬が熱くなって、ゆきはまた慌てて外の方を向いた。

     ゆきがこちらの世界に残ることを決め、高杉と二人だけで行動するようになり暫くが過ぎた。二人は今、江戸を発ち、高杉の故郷である長州へと向かう旅程の中にある。
     京や江戸では八葉たちと一緒の騒々しいとも言える毎日だったが、二人きりの今は静か過ぎる程に静かだ。
     最初はそれを寂しくも思えたし、今でも時折不意にそう思うこともあるが、長州への道中も中ほどまで来て、二人でいることにも随分と慣れた。
     ――でも。
     とゆきは所在なさげに膝を抱え直しながら心の中で呟く。
     ――流石にお宿のお部屋まで一緒なんて……。
     そこまで考えてゆきは思考を止めた。それ以上は恥ずかしくて考えていられなかったのだ。
     夕刻になり雨が降り出して、二人は街道沿いの宿場町で宿を取ったのだが、折り悪く 5182