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    ナイフ

    ha_na_da_a_o

    DONE契約結婚茨あん(致死量に至る恋)の、本編後のおまけです。愛を知らないふたりの話。
    (お誕生日おめでとうございます!)
    愛のマニュアル 最近、茨くんが優し過ぎて困る。なんてそんな惚気みたいなこと──実際多分、ほとんど惚気なんだろうけれど──誰にも言えない、というのも困る。

     茨くんとは、約半年前に利害の一致で契約結婚をして、それから何だかんだあって本当の夫婦になった。
     そもそも契約結婚をする前は完全に同い歳の同僚でライバル、という関係だったので、彼のプライベートなことはほとんど何も知らなかった。まぁ確かに、あの頃からやさしいところはあった──会議の合間に自分の分のついでとは言え飲み物を取ってきてくれたり、資料のコピーを作ってきてくれたり──けれど、まぁそれももちろん同僚の範囲を出ないものだったと思う。
     それが、最近はどうだ。私がリビングでパソコンを開いていれば必ずと言っていいほど飲み物を持ってきてくれるし、一緒にテーブルを囲むことが出来なくても食事はいつの間にか作り置きされているし、掃除も洗濯もあと少ししたらやろうと思った時にはすでにやられている。誕生日でも記念日でもなんでもないのに、プレゼントです、なんて言って洋服や小物を渡される。優し過ぎると言うか、甘やかされていると言うか。このままだと私は何もしなくても良くなるし、駄目人間になりそうなのだ。まぁ、企画書には容赦なく指摘が入ったりするけれど……それも、私にとってはありがたいことだし。
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