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    きゃろ

    錦桂すず

    DONE幻水総選挙お題小説です。
    キャロ3人分続きます

    その2:ジョウイ
    そういえば:ジョウイ「そういえば明日お誕生日ではないですか?」

     軍部の会議が終わったあと、クルガンが声をかけてきた。慌ただしさですっかり日にちの感覚がなくなっていたぼくはキョトンとした顔をしていたと思う。その様子見て一瞬間違ったかと思ったクルガンもじわりと日にちの感覚が戻るぼくの顔を見て間違ってなかったことを確信したようだ。その横ではシードが「お、そうなんですか」と言ってニヤリと笑っている。

    「ごめん、すっかり日にちの感覚がなくて」

     日にちがわからなくなるほど脇目も振らず突き進んできたのかと思うと己のことながら少し呆れてしまう。そしてそんなに時が経ったのかとも。明日がぼくの誕生日ということは今日は彼らの誕生日だ。
     初めて誕生日の話をした日、きょとんとした彼らの顔を見て正直しまったと思った。家庭環境が大きく違う彼らを傷つけるようなことはすまいと心に決めていたはずなのに。しかし予想に反して返ってきた声は明るいものだった。「なら誕生日を知った今日を私たちの誕生ににしようよ!ね!」そのナナミの一言でぼくの失敗は記念日に変わった。ナナミの前向きな明るさにぼくたちはいつも助けられてきた。
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    ろまん

    DONE【零薫】夢ノ咲時代の二枚看板が進路の話をしたり、現在の二人がUNDEADの冠ラジオ番組に寄せられたメール相談にのったりする話です。
    薫くん中心に家族関係の変化や名前を語り合いつつ、相棒になるまで/なった後を辿ります。

    時間軸としては、前半が夢ノ咲学院三年次の晩秋、後半がズ!!の数年後の初秋になります。キャロル、オペレッタの内容を含みます。
    pixivにもおなじものを投稿しています。
    最愛のゆくえ「薫くんは卒業後、どうするんじゃ?」

     その問いかけは、回りくどい言い回しが得意なその男にしては珍しく、至極ストレートな物言いだった。
     只今、軽音部室にいるのは朔間さんと俺の二人だけ。言わずもがな問いかけているのは朔間さんで、問いかけられているのは俺だ。その状況下で無視するわけにもいかず、渋々液晶スクリーンに向けていた顔を上げて、対角線上にいる朔間さんを見た。

    「……随分といきなりだね」
    「おや、そうじゃったかの? まあ、暇潰しの雑談だと思って付き合っておくれ」
    「ふーん…… ま、いいけどさ」

     ……雑談、ねえ。
     数多ある話題のなかから「あの」朔間さんがわざわざ進路の話を選択するなんて、どうせ意図していたものに違いない。だが、そう尋ねたところできっと涼しい顔で躱されるだけだ。
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