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    ちぐ

    8ruta_vo

    DONE甲斐くんお誕生日前日(?)譚
    甲斐くんはいない。いつも通りちぐまん先輩がみけかいをこじらせている。
    「甲斐の誕生日? ああ、そういえばそろそろだったな」
     いつも通り横暴な様子でふと呟いた三毛は、どうやらいつも以上に機嫌が悪いようだった。千熊は愛想笑いにほんの少しため息を混ぜながら電源の入っていないゲーム機に目線を落とした。
     今日は部活があるというのに甲斐が来ない。いつもなら三毛を迎えに行って、一緒に登場するのにひとりで部室を訪れた三毛は「あのバカ犬、俺をほっといてカレーの買い出しに向かいやがった」と吐き捨てたのだった。それだけで待ちくたびれた三毛がわざわざ一年の教室まで向かって、あの王子様スマイルで誰かに甲斐の所在を尋ねた様子が想像できたので千熊は笑い、ここぞとばかりに話題を振ったのがついさきほど。しかし三毛はお気に召さない様子で、ごろんと横になってしまった。お手製の椅子ベッド、と千熊が呼ぶそれは甲斐が持ってきたクッションが置かれている。
    「でも三毛、甲斐のお誕生日だよ。お祝いしてあげようよ」
    「んなもん本人がカレー作っておしまいだっての。毎年だ」
    「毎年?」
    「そう。甲斐の誕生日だから甲斐が好きなことだけするって言って、あいつの好きなだけカレー作って、あいつの気が済むまで俺が食 1366