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    19

    gorogoro_ohuton

    PAST本アカからの再掲
    【狂聡】44と19の小話
    【狂聡】44と19の小話待ち合わせの場所にいくと、ガードレールにもたれかかり、狂児は煙草をふかしていた。街灯がスポットライトのごとく、その佇まいを照らす。黒のコート、黒のスーツ、そして、黒のセンチュリー。聡実には一枚の絵画のように見えているが、きっと、行きかう人々には異様な光景に見えているのだろう。
    明日の朝の天気予報は雪マークだった。積もらないようだが、交通機関の乱れが予想されるという。本当は今夜の最終の新幹線で東京に帰る予定だったが、仕事の都合をつけた狂児が、成人のお祝いさせてというので、こうしてノコノコとその誘いにのってしまい、五分程その姿を眺めていた。
    狂児と付き合い始めてからおよそ一年経とうとしているが、一緒にいる時間よりも、離れている時間の方が長い。狂児は東京で任された店の視察や、祭林組と懇意にしている組との会合で月に二、三回程東京を訪れているが、毎回会えるわけではない。最後に会ったのは11月も終わりに近づいた頃だ。12月は忘年会や組の行事が多く、シノギの稼ぎ時でもある。元々、12月は連絡できんかもしれんけど、なんかあったら遠慮なく連絡してなと言われていたが、本当に音沙汰がなかった。普段なら、光る犬がおったと電飾のように光っている首輪をつけた犬の写真を送ってきたり、虹が出てたといって虹の写真を送ってきたり、ちゃんと飯食っとる? などとりとめもないメッセージを送ってきたりしたくせに、何の音沙汰もなく、いよいよ死んだのかと思った。仕方がないとはわかっていても、一瞬でもクリスマスを一緒に過ごせないかと考えてしまったことは汚点でしかない。
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