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    ギム

    Gym_the2nd

    DOODLE麦と元カノと夢の話。事後表現注意。

    少し前に書いたIF日常編のギムかんの話と若干繋がってます。
    灰色の雲の中を、必死に羽を傾けながら飛んでいく。鳴り響く雷鳴の響きを頼りに、先の見えない嵐の雨雲を切り裂いていく。甲高い風切り音と激しい雷雨に混じり、身を掠めていく鋼の欠片が自分を包む黒い羽を一枚一枚剥がしていく。どうにかして乱気流に耐え続けていた羽は長く続いた逃避行に耐えかねて、ついには嵐の海を潜っていくように暗雲の下へと沈んでいった。

     火花、光、轟音と悲鳴。眼下で絶え間なく続く争いの波紋をその身で受けながら先を急ぐ。理由は分からない。ただ、急がなければならないという想いだけが、満身創痍のこの身を奮い立たせる。

     地の裂ける音と共に、高く高く昇る爆煙が視界を遮る閉じた瞬膜の向こう。その先に見えたシルエットが、すでに悲鳴を上げていた全身に久方ぶりの高揚を与えた。

    やっと、たどり着いた。█████。あそこへたどり着ければ――

     探し続けた明かりに、思わず意識が緩む。その緩みの隙間を縫うように、パン、と一発の破裂音が響いた。

    「――――――!」

     声が出ない。腹部から背中へと突き抜ける痛み。耐えきれず羽ばたきをやめた身体は、煙たい大気の中を真っ逆さまに落ちていく。

    鈍い衝撃 1734