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    精霊

    EIGOnon

    DONE❄️🌸ワンライ3話目。
    お題は「匂い」をお借りしました。ネロくん(意地による)成長期の話
    ブが名付けている狼たちは普通の狼とは異なり、精霊の従者として働いています。なのでブが消えない限り彼らも寿命は尽きません。皆ボスが大好き。
    森には普通の狼達もおり、求めに応じて色々と手伝ってくれています。
    次回は思春期編の予定です。
    冬に添う 三《匂い》「あの、ブラッドリー様……本当に宜しいので?」
    「んだよ。地霊の元なら不満なんてねえだろ」
    「いえ、我々は良いのですが……」
     ブラッドリーの眼前で老夫婦が顔を見合わせる。
     老夫婦、とはいえどブラッドリー同様人間ではなく、数百年に亘りこの地を司っている地霊だ。
     このか細くも頑迷な冬の国、その山麓の村で人と共に暮らし、種の温存や貴重な薬となる草花の生育に携わっていた。
     ブラッドリーともここ数十年の付き合いがあり、持ちつ持たれつの関係を築いていた。
     つまり、相手の素性は知れている。
     老夫婦は必要時以外は関わらないブラッドリーとは全く異なり、常に弱い人々を慈しむように守り、育ててきた。
     人間に親愛の情を抱かれるなど、精霊としてどうかとは思っていたのだが今はありがたい。余程子育てに向かない自身より、彼らの手元に置いた方がネロは育ちやすかろう。顔立ちも温和そのものを体現したかのような、ふくよかな老夫婦だ。
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    EIGOnon

    DONEブラネロ❄️🌸ワンライ投稿作品。
    お題は「出会い」をお借りしました。
    ブラッドリーもネロも人ではなく、人を庇護する立場にある高位精霊と設定しています。こんな血生臭い精霊おるんか? と思いましたが、北だしということでなんとか……(?)次回は子育て編です。
    冬に添う 一《出会い》 冬猟の季節に、自分は生まれたのだと言う。
     毛皮や脂肪を蓄えた獲物を狩る、猟師たちの季節のことだ。

     生誕してから約五十年。
     長じたブラッドリーが与えられた土地は、厳しい地にあっても雄々しく生きる者達が台頭する、冬の国の中でもとりわけ深い山野だった。
     主な住民は猟を生業とする人間達で、彼らは冬国に育つ獲物を狩って糧としている。
     獲物と云っても、ただの鹿や猪ではない。厳寒に生きる生物は、他国のそれと比較するまでもなく巨大で、凶暴だ。そんな生き物を相手にするのだから、山野の住民達は皆逞しかった。
    「冬猟の主人」
     いつしか、彼らがそう呼び始めたのをきっかけにブラッドリーの称号はそれに固定された。
     その冬猟の主人にも、負わされた役目というものがある。まずは住民である彼らの庇護。加えて、森が荒れる原因となる草食動物の繁殖過多を、部下を使って管理、調整することだ。
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