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    パートナー

    sakuta_skt_

    CAN’T MAKEオー晶♂
    昔なにかの番組で、匂いに対して不快感を抱かないことを第1条件としてパートナーを見つけるみたいなことをしてたのを思い出して書き始めたけど、案の定途中で詰まったので供養です
    オー晶♂供養 雨が降って、虹が溶けて、濡れた木の葉から滑り落ちる水滴に動物たちがはしゃぐ頃、魔法舎に帰ってきたシノからも似たような匂いがしていたことがあった。けれど今、眠気の抜けない身体を無造作に動かして手繰り寄せた外套からは、その瑞々しさに舌先が痺れるような、目の奥から視界がじんと揺らいでしまいそうな甘い香りがした。
    「……くそ、ここどこ」
     気怠い、苛立ちの滲む声がする。
    「あっ」
    「は、何、賢者様……?」
     寝起きで乱れた髪からぎょろりと赤い目玉がこちらを睨んで、低い、低い声が重く頭の中を這う。何故オーエンが俺の部屋のベッドで、俺の横で寝ていたのか。彼がどういう理由で、どうやってここへ来たのか。事情を説明しようと口を開いても、既にオーエンはベッドから降りて魔法で髪や衣服を整えていた。彼が小さく呪文を口にすると淡い光がひとつふたつと室内を飛びまわり、やがてそれは雀ほどの大きさの小鳥に形を変えると、俺が持ったままだった外套を預かって彼の肩にそっとかけた。口を挟めそうにない、尖った空気が肌を刺す。
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    kudouhikaru

    PASTママとミヤモトちゃんの一件があるので、ムサシのことを密かに妹分として大切にしているサカキ様が見たかった、などと供述しており。
    もしも、ムサシのパートナーとしてコジロウを見初めたのがサカキ様だったら。
    ムサシ不在のコジムサ。
    ピクシブより再掲。
    神のはかりごと「ムサシちゃん」

    弓なりに反った赤い房の束を凝った編み込みに結い上げた少女が、不思議そうにこちらを振り返る。その表情を見て、サカキは違う、と確信した。

    ここは、ある高級ホテルの立食形式によるビュッフェレストランの会場だった。母が興した財閥ーーロケットコンツェルンをいずれ継ぐ身ではあるが、まだ十四歳であるサカキとしては、こういう上流階級の人間しか集まらない立食形式のパーティーは堅苦しさと息苦しさしか感じない。サカキの家に専属で仕えている料理長が提供してくれる食事の方がいくらもマシだ。が、「これも社会勉強よ」と母に強制的に連れてこられては、まだ幼いサカキに拒否権など存在しない。何せ食事を共にする相手は母の仕事相手ばかりだ。適当に愛想と笑顔を売っておいた方がいい、とはサカキにもわかっている。飲み物を選んで歩いている道すがら、ふと、すれ違った少女が母の親友兼部下である女性の娘とよく似ていた。母が女性ーーミヤモトから貰った写真を一度見せられただけだがーー、よく覚えている。名をムサシ。
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    zeppei27

    PROGRESS傭泥連載、鍵と錠六話目の中盤くらいまで書けてきたよ!パートナー代行としてそれらしいお仕事を始めたナワーブが、まさかの場所にあるパーティ会場に入ったが……
    鍵と錠#6 小難しい理論だと思われがちな話も、案外簡単に飲み込めることがある。例えばかの有名な相対性理論は、門外漢には到底理解できないと敬遠する人間は多い。しかし、『素敵な女性と並んで座って過ごす2時間は1分のように感じられるかもしれないが、熱いストーブの上に座った1分間は2時間過ごしたかのように感じられるだろう。それが相対性というものだ』と日常的な言葉で説明されたらば、やや気持ちは和らぐ可能性が高い。要するに、遠い出来事も身近になれば多少はわかった気になりうるのだ。

     クリーチャー・ピアソンは、ルカ・バルサーにこの説明で相対性理論を解説されてもまるで理解できなかった朴念仁である。なんでもアインシュタイン自身が語った言葉らしいが、アインシュタインが誰だと言うのだろう?自分の人生にはまるで関係あるまい――そう思っていたのだが、今となってはクリーチャーは誰よりも相対性なるものを深く理解していた。確かに、時間の重みとでも言うべきものは対象によって随分と変わる。
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