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    自給自足

    さいか

    MOURNINGらぶらぶハッピー自給自足
    i犬みたいだと笑われることがあるけどそう言う自分だって小さな動物みたいじゃないかと思いながら見下ろしている。ベッドに押し倒して好き勝手して、そんな無体を易々と受け入れる恋人の頭を、耳を、頬を、撫でるたびにそう思っている。悩ましげに寄っていた眉間が緩んでぼんやりとした目の色が覗く。言葉に成りきらない甘えた声を微かに漏らす唇が笑む。ぐりぐりと、掌へじゃれつく仕草。柔らかい髪がくしゃりとからまる感触。たぶん、いま、顎の下を撫でたらごろごろっていうんじゃないだろうか、なんてからかうような軽やかな気持ちと裏腹に胸が詰まって、喉の奥は熱くて、なんだろうこの感覚、と思っている間になぜか涙が出そうになる。訝しむ瞳に名前を呼ばれるより先に動いて、呼吸ごと抱き締めて誤魔化した。衝動的にそうしたいと思ったことも、身の内に湧く暖かい何かだってたぶん愛と呼んでもいいもので、どうにかしてそれを明け渡したくてもどかしい。でも、目の前の恋人が求めているのは本当にそんなものなのか、いまいち自信が持てないでいる。自分の中にあるのが不純物だと知っている。だって、与えることだけを望むのは、どうしてもずっとできずにいるんだ。
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