totorotomoro
DOODLE階段で話す二人というのをお題で書いてみた話。どうにもエベは…こう…あまり…欲というものを出しにくい。
無題(階段) 階段を降りきれずに腰掛けて息を整えていると、エーベンホルツがバインダーを数冊抱えて登ってくるところに出会った。
「……貴殿の体の弱さは聞き及んでいるが、まさかそれほどまでに軟弱とは」
「ちが、違うよ。今日はちょっと調子が悪いだけだ」
何せ足が少し悪いので、段を降りるのでもよろよろとしかおりられない。それならエレベーターを使えばいいのだけれど定期的なリハビリをするのも課せられているのだ。
「それならせめて誰かオペレーターを供につけるなりしては? 万が一があっては困るだろう」
「普段から私の周りにそんなに人を割くわけにいかないよ。ロドスはただでさえ人材不足なんだから」
エーベンホルツはその言葉に少し考えこむように顎に指先を当てていたが、数段降りて手を伸ばした。
2066「……貴殿の体の弱さは聞き及んでいるが、まさかそれほどまでに軟弱とは」
「ちが、違うよ。今日はちょっと調子が悪いだけだ」
何せ足が少し悪いので、段を降りるのでもよろよろとしかおりられない。それならエレベーターを使えばいいのだけれど定期的なリハビリをするのも課せられているのだ。
「それならせめて誰かオペレーターを供につけるなりしては? 万が一があっては困るだろう」
「普段から私の周りにそんなに人を割くわけにいかないよ。ロドスはただでさえ人材不足なんだから」
エーベンホルツはその言葉に少し考えこむように顎に指先を当てていたが、数段降りて手を伸ばした。
落書き
DOODLE黑键博♂余裕ははりぼてだったので 許容量を超えたウォッカが腹の中でぐつぐつ煮えている。
吐きたいか。そう問われればぐたりと寝る彼は訳も分からず頷いただろうし、次は何にすると聞かれたら、適当に頭の中に浮かんだ文字列を吐き出していたことだろう。
けれどもドクターは、そのどちらも選ばなかった。発した声色は我ながらぞっとするほど平坦だ。物憂げにこの年若いキャプリニーを心配するでもなく、喉を鳴らして煽る気配も無い。幽霊のように足音を消してそっと隣に忍び寄り、バーチェアがくるりと回るやカウンターに肘をつく。己の腕を枕代わりにして半分落ちている男の顔を覗き込んだ。眉間に寄る皺が、この固く細い枕が気に入らないとぐずっているようだった。
潰れた酔っ払いに態々近寄る奴がいるなら、そいつには気を付けた方がいい。うねる髪を指先でも弄びながら、口にするのが恥ずかしくなってしまうぐらい当たり前のことを吹き込んで、黒い牡山羊を夢の世界から引き戻した。
3854吐きたいか。そう問われればぐたりと寝る彼は訳も分からず頷いただろうし、次は何にすると聞かれたら、適当に頭の中に浮かんだ文字列を吐き出していたことだろう。
けれどもドクターは、そのどちらも選ばなかった。発した声色は我ながらぞっとするほど平坦だ。物憂げにこの年若いキャプリニーを心配するでもなく、喉を鳴らして煽る気配も無い。幽霊のように足音を消してそっと隣に忍び寄り、バーチェアがくるりと回るやカウンターに肘をつく。己の腕を枕代わりにして半分落ちている男の顔を覗き込んだ。眉間に寄る皺が、この固く細い枕が気に入らないとぐずっているようだった。
潰れた酔っ払いに態々近寄る奴がいるなら、そいつには気を付けた方がいい。うねる髪を指先でも弄びながら、口にするのが恥ずかしくなってしまうぐらい当たり前のことを吹き込んで、黒い牡山羊を夢の世界から引き戻した。
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DOODLE鍵博。それはおだやかな 朝はドクターよりもエーベンホルツのほうが起きるのが早い。共に横たわるドクターを跨いで床に降り、昨夜の情事で散らかした服を集めて洗濯カゴに放り込む。
冷たい水で顔を濯ぎ、着替えを済ませてドクターの服を取り出して寝室の机に置く。
そしてドクターから教わったようにパンをトースターに放り込み、電子ケトルで湯を沸かすスイッチをオンにしてドクターを揺り起こした。ふかふかとした羽布団から顔がのぞき、エーベンホルツはその頬にキスをした。
「起きろドクター。朝食の時間だ」
「───いやだ、ねむい」
おはようと唇にキスを返すくせにそのまま布団に沈もうとするドクターをエーベンホルツは布団を剥ぎ取ることで強制的に目を覚まさせる。
1221冷たい水で顔を濯ぎ、着替えを済ませてドクターの服を取り出して寝室の机に置く。
そしてドクターから教わったようにパンをトースターに放り込み、電子ケトルで湯を沸かすスイッチをオンにしてドクターを揺り起こした。ふかふかとした羽布団から顔がのぞき、エーベンホルツはその頬にキスをした。
「起きろドクター。朝食の時間だ」
「───いやだ、ねむい」
おはようと唇にキスを返すくせにそのまま布団に沈もうとするドクターをエーベンホルツは布団を剥ぎ取ることで強制的に目を覚まさせる。
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DOODLEムラムラするってあるよね(何)致してないです。キスはしてる。鍵博。
欲求不満 昼に得る多くの惰眠は忌避すべきだが、少しの睡眠はむしろ喜ばしい。何よりも頭の声が少しはマシになる。
なんなら御年寄殿は昼寝がお得意なのであろう。エーベンホルツが起きてからも寝ているのか夢現ですっきりとして作業にかかれる。だから昼間は時間を見つけては少しの仮眠をとるようにしていた。だというのに。
起きればそこには隣でこちらを伺っているドクターがいた。
「……何か?」
「君を観察していたんだよ。エーベンホルツ」
ひだまりで温もりのある髪の中に手を差し込み、うっとりとした口調で髪を撫でる。この『うっとりと』した口調が曲者であり、大体こういう口調のドクターは飢えている。唇を寄せ、我が物のようにエーベンホルツから昼休憩と体力と理性を奪っていくのだ。
1196なんなら御年寄殿は昼寝がお得意なのであろう。エーベンホルツが起きてからも寝ているのか夢現ですっきりとして作業にかかれる。だから昼間は時間を見つけては少しの仮眠をとるようにしていた。だというのに。
起きればそこには隣でこちらを伺っているドクターがいた。
「……何か?」
「君を観察していたんだよ。エーベンホルツ」
ひだまりで温もりのある髪の中に手を差し込み、うっとりとした口調で髪を撫でる。この『うっとりと』した口調が曲者であり、大体こういう口調のドクターは飢えている。唇を寄せ、我が物のようにエーベンホルツから昼休憩と体力と理性を奪っていくのだ。
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DOODLE目覚ましには向かない「───い、───おい、ドクター」
遠くから聞こえる少し苛立たしげな、それでいてとろけるような声、ふわふわと甘くて霞がかるわたあめのようなしゅわりと溶ける気持ちよさ。しかし強めに揺すぶられているのに不快を感じて目を開けば、眩しさに目を細める。
「起きたか、いや起きろ」
「……んぅ、ねむい」
頭を振り、あのわたあめのような気持ちよさを思い出そうとするけれど、それは溶けてなくなってしまったようで。掠める不愉快感に包まれていた人物の服で顔をこする。
「ひどい、いいここちだったのに」
そう呟けば強めのため息があって、頬にかかった髪が揺れた。フェイスシールドを外していたらしい。顔がこすれたのだからフェイスシールドは外しているはずなのだが、私はそれをいつ外したのかも思い出せない。
1178遠くから聞こえる少し苛立たしげな、それでいてとろけるような声、ふわふわと甘くて霞がかるわたあめのようなしゅわりと溶ける気持ちよさ。しかし強めに揺すぶられているのに不快を感じて目を開けば、眩しさに目を細める。
「起きたか、いや起きろ」
「……んぅ、ねむい」
頭を振り、あのわたあめのような気持ちよさを思い出そうとするけれど、それは溶けてなくなってしまったようで。掠める不愉快感に包まれていた人物の服で顔をこする。
「ひどい、いいここちだったのに」
そう呟けば強めのため息があって、頬にかかった髪が揺れた。フェイスシールドを外していたらしい。顔がこすれたのだからフェイスシールドは外しているはずなのだが、私はそれをいつ外したのかも思い出せない。
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DOODLEたらいにお湯張ってドクターに洗われるエベが見てみたかったのに、なんか……あれっ?なんか、まあこれはこれで私好きなんだけど、たまに書く真っ黒ドクターがうっすら出てしまった。どうしても書いてみたくて出力するうちに、オチがなんかこれでいいのかな感。
黑键博と言い張ります。
バスタイム「お互い傷を持つ身だろう。違うかい?」
ドクターの言葉に、エーベンホルツは聞こえないように紳士的でない舌打ちをした。
■□■
ハイビスカスが困ったようにエーベンホルツが風呂に入らないと伝えに来た。
「はい?」
「ですから、エーベンホルツさんが───」
書類の山に囲まれてペンを動かしていたドクターは手を止め、ハイビスカスの言葉を手を挙げて制した。
「すまない、言葉は聞こえていた。……それを私に伝えに来る意味を聞いてもいいだろうか」
「エーベンホルツさんはドクターの言うことなら聞いてくれると思ったので」
ハイビスカスは柔らかく優しい微笑みを向けた。慈愛あふれる笑顔だ。ドクターもつられて微笑む。
「それはどうかは知らないけれど、注意はしよう。曲がりなりにも製薬会社だからね。彼は外交を対応してもらうオペレーターだったはずだから、清潔にすることも大事なことだ」
3438ドクターの言葉に、エーベンホルツは聞こえないように紳士的でない舌打ちをした。
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ハイビスカスが困ったようにエーベンホルツが風呂に入らないと伝えに来た。
「はい?」
「ですから、エーベンホルツさんが───」
書類の山に囲まれてペンを動かしていたドクターは手を止め、ハイビスカスの言葉を手を挙げて制した。
「すまない、言葉は聞こえていた。……それを私に伝えに来る意味を聞いてもいいだろうか」
「エーベンホルツさんはドクターの言うことなら聞いてくれると思ったので」
ハイビスカスは柔らかく優しい微笑みを向けた。慈愛あふれる笑顔だ。ドクターもつられて微笑む。
「それはどうかは知らないけれど、注意はしよう。曲がりなりにも製薬会社だからね。彼は外交を対応してもらうオペレーターだったはずだから、清潔にすることも大事なことだ」
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TRAININGフォロワーさん応援作文(感想には及びません。勝手にネタにしてすいません)
黒鍵博 耳慣れない穏やかなメロディで眠りの国から引きはがされた。前に使っていたデスボイスのアラーム音は隣で眠っている男から激怒され、彼の選曲によってこの穏やかな音楽のアラームに変えられてしまった。こんな穏やかな音では起きられないと抗議したが、ところが存外に目が覚めるものだ。
手探りで端末を取り出してスヌーズをオフにする。同衾していた男がみじろぎする気配がして、これまた腕のスペースを開けるようにするとそのまま器用に腕の中に潜り込んでくる。足を絡めてぴったりとくっつくと胸に額と角をこすりつけて、寝ぼけている時にしか見せない甘えた仕草を今日もしていたので、角の根本にある髪をとかす様に揉むと、ゆっくりと大人しくなってくる。
2110手探りで端末を取り出してスヌーズをオフにする。同衾していた男がみじろぎする気配がして、これまた腕のスペースを開けるようにするとそのまま器用に腕の中に潜り込んでくる。足を絡めてぴったりとくっつくと胸に額と角をこすりつけて、寝ぼけている時にしか見せない甘えた仕草を今日もしていたので、角の根本にある髪をとかす様に揉むと、ゆっくりと大人しくなってくる。
落書き
DOODLE黑键博♂初歩的なコミュニケーション エーベンホルツの背は針金を通されたかのように座面に対して垂直に伸びていた。唇は固く引き結ばれ、よせばいいのに瞼を閉じるから、耳の裏を擽る癖毛の柔らかな感触と、それを梳く指の温度を殊更に意識する羽目になる。肩には必要以上に力が入り、物音一つにさえ神経が過敏になり、やがて疲労から呼吸すら弱々しくなっていくのだろうと思われた。端的に言って緊張している。それはもう、筆舌に尽くしがたいほどに。
背凭れに自重を預ければ多少は楽になるのだろうが、それはただの板切れと化して用を成さぬ。「取って食いやしないよ」二本の角に絡まる髪を解いてやると、いっそ可哀想なぐらいに青年の煩悶が伝わってくるので、ドクターは哀れに思って一言断りを入れた。「嫌なら言ってくれ」強要するつもりは端から無く、用意した油の封を切らないままにこの青年に押し付けてしまうつもりだった。けれどもそうはならないことを薄々予感している。彼はただ、緊張しているだけだ。恐怖から身体を引き攣らせているわけではない。髪を梳くことを止めれば、事が終わるまで閉じたままかと思われた唇が僅かに開き、空気を吸い込んだ。
4111背凭れに自重を預ければ多少は楽になるのだろうが、それはただの板切れと化して用を成さぬ。「取って食いやしないよ」二本の角に絡まる髪を解いてやると、いっそ可哀想なぐらいに青年の煩悶が伝わってくるので、ドクターは哀れに思って一言断りを入れた。「嫌なら言ってくれ」強要するつもりは端から無く、用意した油の封を切らないままにこの青年に押し付けてしまうつもりだった。けれどもそうはならないことを薄々予感している。彼はただ、緊張しているだけだ。恐怖から身体を引き攣らせているわけではない。髪を梳くことを止めれば、事が終わるまで閉じたままかと思われた唇が僅かに開き、空気を吸い込んだ。