saipoko2021
MOURNING今回のステGCを観劇して、勢いのまま書いてしまった寂左馬です。舞台後の世界線、
ネタバレへの配慮なしなのでその旨ご承知おきの上ご覧いただけるとありがたいです。 2034
ill_DOCyu
DOODLE【ヒプアニの開闢門と旧知の妄想その2】開闢門が同期の寂雷に告白した過去があり、それが獄のせいで叶わなかった過去があるとしたら…!!
大人になった寂雷が真正ヒプノシスマイクの性能について開闢門に助けを求めた時、交換条件として寂雷自身を求める展開もあったかも?!?!?
……という妄想です。
前作と繋がってます。
書きたいところだけ書き殴った。
⚠️全ては捏造です⚠️
交換条件「いいだろう。ただし条件がある」
「条件?」
「まさか君はこの高度な技術をタダでもらい受けようなんて思ってはいないだろう?」
「それに関しては先ほど謝礼の話を」
「俺が欲しいのは、金で買えないもの──」
開闢門が振り返る。大きく発光するモニターを背に、表情は見えない。
「君自身だ」
「どういう……意味かな」
「そのままだよ。大学時代のあの日のことを忘れたとは言わせない」
寂雷の脳にかつての記憶が蘇る。開闢門から告白されたあの日、確かに自分は首を縦には振らなかった。自分の隣にはいつも獄がいた。時を経て今も──。しかしそれとこれとは話が別だ。
「だが私は……!」
「生憎金は困ってないんだ。断るならそれもいいだろう。だがこの技術は、世界中探せどそう簡単には見つからない。君も本当は分かっているのだろう?」
892「条件?」
「まさか君はこの高度な技術をタダでもらい受けようなんて思ってはいないだろう?」
「それに関しては先ほど謝礼の話を」
「俺が欲しいのは、金で買えないもの──」
開闢門が振り返る。大きく発光するモニターを背に、表情は見えない。
「君自身だ」
「どういう……意味かな」
「そのままだよ。大学時代のあの日のことを忘れたとは言わせない」
寂雷の脳にかつての記憶が蘇る。開闢門から告白されたあの日、確かに自分は首を縦には振らなかった。自分の隣にはいつも獄がいた。時を経て今も──。しかしそれとこれとは話が別だ。
「だが私は……!」
「生憎金は困ってないんだ。断るならそれもいいだろう。だがこの技術は、世界中探せどそう簡単には見つからない。君も本当は分かっているのだろう?」
ill_DOCyu02
PROGRESS【⚖️💉】2023.8.12(土) 先生体調不良Webオンリー
『神様は絶不調』にて
公開予定小説のサンプルです。
⚠️この作品は成人向け🔞です!
サンプルはセーフですが、本編には成人向け描写が含まれます⚠️
※攻めフェラ有
何でも許せる方でお願いします。
解熱剤 【プロローグ】
「はぁ、はぁ……」
昼下がりの院内、辺りは忙しなくいつもの日常が通り過ぎる。
「っ、はぁ、は、ぁ……」
治療を受ける子供の泣き声、宥める看護師の声。パタパタと走り回る人々の喧騒、笑み、悩み。何も変わらない、あたりまえの日々。
どさり。不自然な音が廊下に響く。
「神宮寺先生?!?」
「先生! どうされましたか、先生!?」
日常は変わらず続くと思われた。
一人の男が意識を失う、
"あの時" までは――。
◇◇◇
「寂雷が倒れた?!」
突然の大声に道行く人が驚いたように振り返る。声を潜めて俺は電話を続けた。
「あいつは今何処に?」
『ご自宅に向かわれました。あまりに容体が悪そうで付き添いを申し出たのですが、その……』
1401「はぁ、はぁ……」
昼下がりの院内、辺りは忙しなくいつもの日常が通り過ぎる。
「っ、はぁ、は、ぁ……」
治療を受ける子供の泣き声、宥める看護師の声。パタパタと走り回る人々の喧騒、笑み、悩み。何も変わらない、あたりまえの日々。
どさり。不自然な音が廊下に響く。
「神宮寺先生?!?」
「先生! どうされましたか、先生!?」
日常は変わらず続くと思われた。
一人の男が意識を失う、
"あの時" までは――。
◇◇◇
「寂雷が倒れた?!」
突然の大声に道行く人が驚いたように振り返る。声を潜めて俺は電話を続けた。
「あいつは今何処に?」
『ご自宅に向かわれました。あまりに容体が悪そうで付き添いを申し出たのですが、その……』
ill_DOCyu
DONEゼロサム旧知(6.28)ホテルでの「その後」。
いやホテルで密会(※語弊)って……
情緒掻き乱されるでしょう😫😫😫
ほぼ勢いで書きました。
捏造しかありません、、、、
※全年齢
※コミカライズ世界線
※全ては捏造
ナゴジュクバトル後旧知「獄……」
「寂雷……ちょっといいか?」
部屋の扉を開ければそこに立っていたのは他ならぬ獄だった。一体どうしたというのだろう。しかし普段の彼からは感じない、どことなく申し訳なさそうでしおらしい姿に思わず中へと招き入れてしまう。
先程まで此処で話し合いをしていた独歩くんと一二三くんは気を利かせ席を立ってくれた。彼らの気遣いに再び心の中で感謝する。
ディビジョンバトルで割り当てられた部屋は幾分か殺風景だが、それでも、必要なものは清潔かつ整然と備えられている。椅子を勧めれば獄はそれに座り、暫く考え込んだ。先程まで全力をぶつけ合い、互いに汗と血と涙でぐちゃぐちゃに乱れた様は適度に整えられ、互いに見る影もない。急かさないよう、じっと黙って口が開くのを待つ。
1781「寂雷……ちょっといいか?」
部屋の扉を開ければそこに立っていたのは他ならぬ獄だった。一体どうしたというのだろう。しかし普段の彼からは感じない、どことなく申し訳なさそうでしおらしい姿に思わず中へと招き入れてしまう。
先程まで此処で話し合いをしていた独歩くんと一二三くんは気を利かせ席を立ってくれた。彼らの気遣いに再び心の中で感謝する。
ディビジョンバトルで割り当てられた部屋は幾分か殺風景だが、それでも、必要なものは清潔かつ整然と備えられている。椅子を勧めれば獄はそれに座り、暫く考え込んだ。先程まで全力をぶつけ合い、互いに汗と血と涙でぐちゃぐちゃに乱れた様は適度に整えられ、互いに見る影もない。急かさないよう、じっと黙って口が開くのを待つ。
saipoko2021
DONE11/27開催寂左・左寂webオンリーイベント【41.750km】展示作品寂雷と左馬刻がハマの酉の市に行くお話。二人で屋台を覗いたりお参りしたり、まったりラブラブ(?)デートしているだけのお話です。
ネップリあります。
A5二つ折り/12p/120円(モノクロ印刷A4(小冊子・右綴じ)20円×6枚) SNLU34Q8
『手を伸ばす幸福』 いつか、誰かと。
いつも、あんたと。
いつか、誰かの。
いつも、君の。
心のベクトルなんて、関係ない。
今ここにいる自分が、すべて。
駅から南北に延びる公園の切れ目から広がる光の波。色とりどりの出店が道の両側を埋めて、どこまでも延びている。
公園の木々の上に見えているのは熊手の屋台だろう。
「盛況、だね。」
横断歩道を渡ったところで、広がる景色と吸い込まれていく人の流れに寂雷が感嘆したように息をつく。
思わずこぼした言葉に、けれど隣に立つ男は赤い目を険しくしてその穏やかな横顔をにらみ上げた。
「あぁ。
シンジュクだって似たようなもんだろ。」
「まあ、ね。
けれど、こういう祭にはその街の色というか匂いがでるものだよ。」
9922いつも、あんたと。
いつか、誰かの。
いつも、君の。
心のベクトルなんて、関係ない。
今ここにいる自分が、すべて。
駅から南北に延びる公園の切れ目から広がる光の波。色とりどりの出店が道の両側を埋めて、どこまでも延びている。
公園の木々の上に見えているのは熊手の屋台だろう。
「盛況、だね。」
横断歩道を渡ったところで、広がる景色と吸い込まれていく人の流れに寂雷が感嘆したように息をつく。
思わずこぼした言葉に、けれど隣に立つ男は赤い目を険しくしてその穏やかな横顔をにらみ上げた。
「あぁ。
シンジュクだって似たようなもんだろ。」
「まあ、ね。
けれど、こういう祭にはその街の色というか匂いがでるものだよ。」
saipoko2021
DONE11/27開催寂左・左寂webオンリーイベント【41.750km】展示作品部屋で休む左馬刻の許にかかってきた1本の電話。寂雷がかけてきたその訳は。
ただ二人がいちゃついているだけのお話です。
夏に別カプで書いていた、推しの『声』をモチーフにしたシリーズの寂左馬バージョン。
『声』 君の声が聴きたいよ。
独りでいる夜は、ふとそう思う。
静かな部屋に響く微かなコール音。
特別なその音に、左馬刻はベッドの中でふと意識を浮上させる。薄い月明かりに手にした画面を見れば、見覚えのある名前が自分を呼んでいた。
「……あぁ?」
あの人が自分を呼んでいるという事実に、つい素直に頬がゆるむ。そんな自分を内心笑いながら、その自嘲さえどこかここちよい。
我ながら、業が深いと思うが。
しかし、共に目に入った現在時刻に首を傾げる。少なくとも、あの人が何の用もなくかけてくるような時間ではなかった。
数回のコール音の後、留守番電話になる直前に画面をタップする。
着信画面が通話のそれに切り替わり、あの人と空間が繋がる。
2729独りでいる夜は、ふとそう思う。
静かな部屋に響く微かなコール音。
特別なその音に、左馬刻はベッドの中でふと意識を浮上させる。薄い月明かりに手にした画面を見れば、見覚えのある名前が自分を呼んでいた。
「……あぁ?」
あの人が自分を呼んでいるという事実に、つい素直に頬がゆるむ。そんな自分を内心笑いながら、その自嘲さえどこかここちよい。
我ながら、業が深いと思うが。
しかし、共に目に入った現在時刻に首を傾げる。少なくとも、あの人が何の用もなくかけてくるような時間ではなかった。
数回のコール音の後、留守番電話になる直前に画面をタップする。
着信画面が通話のそれに切り替わり、あの人と空間が繋がる。
saipoko2021
DONE11/27開催寂左・左寂webオンリーイベント【41.750km】展示作品10月のCLBで配布したペーパーの再録です。
寂雷の思いつきからドライブ旅行に出た左馬刻が連れて行かれたのは。
ネップリ(豆本)在り。
A7折り本/8p/20円(モノクロ印刷A420円×1枚) RN8C4B6P
『箱根旅行記』~食欲の秋~『もしもし、左馬刻君?』
その声に逆らえる奴なんて、いない。
連休が取れたのでドライブに付き合って欲しいと、突然の誘いに頷いた左馬刻は寂雷が運転するアルファードに乗って国道1号を西に向かっていた。
代わり映えのない街並みを追い越して、人気のない海岸線を横目に古い城下町に入る。
途中、道の駅で腹拵えをして、今度はキツい傾斜の道を山へと向かった。
「道の駅、ではなくてあれは漁港の駅だよ。」
「……どっちだっていいだろ。」
至極冷静なツッコミにふんと鼻を鳴らせば、運転席でくすりと笑う気配。軽くあしらわれるその感覚が悔しくも心地よく。
ハマよりも一足先に色づき始めた山の稜線を見るとはなしに眺めやる。
狭い空間に二人きり。言葉少ないやり取りも不快ではなく。家にいるよりもむしろ寛いでいる自分にどこかくすぐったい気分になる。
2022その声に逆らえる奴なんて、いない。
連休が取れたのでドライブに付き合って欲しいと、突然の誘いに頷いた左馬刻は寂雷が運転するアルファードに乗って国道1号を西に向かっていた。
代わり映えのない街並みを追い越して、人気のない海岸線を横目に古い城下町に入る。
途中、道の駅で腹拵えをして、今度はキツい傾斜の道を山へと向かった。
「道の駅、ではなくてあれは漁港の駅だよ。」
「……どっちだっていいだろ。」
至極冷静なツッコミにふんと鼻を鳴らせば、運転席でくすりと笑う気配。軽くあしらわれるその感覚が悔しくも心地よく。
ハマよりも一足先に色づき始めた山の稜線を見るとはなしに眺めやる。
狭い空間に二人きり。言葉少ないやり取りも不快ではなく。家にいるよりもむしろ寛いでいる自分にどこかくすぐったい気分になる。
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DOODLED4の時空院くんとじゃくらい先生時空院くんの執着心と先生の平常心がぶつかり合ったら。
彼らにとって生きるとは。命とは。
全く異なる感性を持つからこそ、繰り広げられる歪んだ世界があると思いました。
時空院くんに見え隠れするヤンデレ気質にほんの少し触発されて。
「貴方がいつまで経っても殺してくれないから、私は思い立ったのです。貴方がむしろ殺したくなるようなことをすればいいのだと」
寂雷は眉をひそめた。これは執着だ。それも相当厄介な、粘着という名の執着。
極端な愛情は一種の執念に変わる。彼の捻じ曲がった究極の羨望の眼差しは、もはや自分へ関心を向けられることすら通り越し猛威を振るう異常なまでの破壊行為でしか満たせないのだ。
「そこまで殺してほしいと訴えるのに、私を殺そうとはしないのですか」
「解釈違いです」
「解釈違い?」
「人間はえてして自分より強い生き物に手をかけられたいと思う生き物でしょう?」
「言ってる意味が分からないのですが」
「私は貴方に強くあってほしい。そう、"私より"。
669寂雷は眉をひそめた。これは執着だ。それも相当厄介な、粘着という名の執着。
極端な愛情は一種の執念に変わる。彼の捻じ曲がった究極の羨望の眼差しは、もはや自分へ関心を向けられることすら通り越し猛威を振るう異常なまでの破壊行為でしか満たせないのだ。
「そこまで殺してほしいと訴えるのに、私を殺そうとはしないのですか」
「解釈違いです」
「解釈違い?」
「人間はえてして自分より強い生き物に手をかけられたいと思う生き物でしょう?」
「言ってる意味が分からないのですが」
「私は貴方に強くあってほしい。そう、"私より"。
saipoko2021
DONE『結果が発表された夜の二人』を題材に書いたSSです。和解もしてなければ相互理解もない二人(汗)
DRBを現実でしか知らないので、(ドラパ・コミカライズは半端に履修)
矛盾や解釈違いは笑って流して頂けると有り難いです(汗)
『その夜にー寂乱ー』 いつも見下ろしていた君を、初めて見上げたのかもしれない。
中王区の更に中心部、2thDRB決勝が行われた施設の廊下を、寂雷は一人出口向かって歩いていた。
大会後招集されたチームリーダーのみのミーティングも終わり、今日はもうホテルに戻って休むだけだ。そして、明朝にはこの地を離れる。
先に戻るように言っておいたけれど、あの二人はちゃんと帰ってくれただろうか。
物問いたげにこちらをみていた二人だけれど、今夜は二人が二人だけで過ごす時間も必要だと寂雷は感じていた。
もちろん、自分にとって二人は大切な仲間であり二人にとっての自分もそうだと自負しているけれど。それだけでは飲み込みきれない感情があることもまた、理解していた。
1319中王区の更に中心部、2thDRB決勝が行われた施設の廊下を、寂雷は一人出口向かって歩いていた。
大会後招集されたチームリーダーのみのミーティングも終わり、今日はもうホテルに戻って休むだけだ。そして、明朝にはこの地を離れる。
先に戻るように言っておいたけれど、あの二人はちゃんと帰ってくれただろうか。
物問いたげにこちらをみていた二人だけれど、今夜は二人が二人だけで過ごす時間も必要だと寂雷は感じていた。
もちろん、自分にとって二人は大切な仲間であり二人にとっての自分もそうだと自負しているけれど。それだけでは飲み込みきれない感情があることもまた、理解していた。
saipoko2021
DONE『結果が発表された夜の二人』を題材に書いたSSです。恋人同士な二人。
DRBを現実でしか知らないので、(ドラパ・コミカライズは半端に履修)
矛盾や解釈違いは笑って流して頂けると有り難いです(汗)
『その夜にー寂銃ー』 その瞬間。
貴方はその穏やかな瞳で、ただ前を見据えていた。
2thDRB決勝が終わり、中王区に急遽招集されたリーダーミーティングに向かう左馬刻を見送って、銃兎は煙草に火をつけた。
会場を共に出てきた理鶯には先に宿舎となるホテルに帰ってもらった。
自分が誰を待つのか分かっているのだろう。何も聞かず頷いてくれた理鶯に今更ながら気恥ずかしさがこみ上げる。
別に、待つ必要などなかった。何を約束をしている訳でもなし。ミーティングがどれだけかかるのかも、彼がそのまま出てくるのかすら銃兎は知らないのだから。
陽が落ちて冷たさを増す風に揺れる紫煙を、見るとはなしに目で追いかける。
それでも、このまま帰りたくなかった。
2397貴方はその穏やかな瞳で、ただ前を見据えていた。
2thDRB決勝が終わり、中王区に急遽招集されたリーダーミーティングに向かう左馬刻を見送って、銃兎は煙草に火をつけた。
会場を共に出てきた理鶯には先に宿舎となるホテルに帰ってもらった。
自分が誰を待つのか分かっているのだろう。何も聞かず頷いてくれた理鶯に今更ながら気恥ずかしさがこみ上げる。
別に、待つ必要などなかった。何を約束をしている訳でもなし。ミーティングがどれだけかかるのかも、彼がそのまま出てくるのかすら銃兎は知らないのだから。
陽が落ちて冷たさを増す風に揺れる紫煙を、見るとはなしに目で追いかける。
それでも、このまま帰りたくなかった。
ill_DOCyu
DONE【⚖️💉小説】寂雷が獄をやんわりと誘うお話。
脳がリラックスを求めてたので
自給自足に書いた超短編🌟
致してはないので全年齢です🌷
「……寂雷…おい、寂雷!」
遠くから獄の声が聞こえる。
ふわふわとした浮遊感の中で、その声だけがやけにツンと耳に響く。
ここは確か……
「寂雷!ほら起きろって!」
貼り付いたように重い瞼を開けると私の顔を覗き込む獄の顔がどアップで見えた。
「獄……」
「ったく、論文仕上げたいから付き合えって言ったのお前だろうが。開始早々10分で寝入るなんて問題外だぞ」
そうだ。再来週発表しなくてはいけない論文があったのだ。
始めは自力で取り掛かっていたものの、夜勤続きなこともあり自宅ではどうも睡魔に勝てない。
そこで獄の自宅にお邪魔して見張り役を頼んでいたのだが……
背もたれ付きの椅子の上でうーん、と伸びをする。
690遠くから獄の声が聞こえる。
ふわふわとした浮遊感の中で、その声だけがやけにツンと耳に響く。
ここは確か……
「寂雷!ほら起きろって!」
貼り付いたように重い瞼を開けると私の顔を覗き込む獄の顔がどアップで見えた。
「獄……」
「ったく、論文仕上げたいから付き合えって言ったのお前だろうが。開始早々10分で寝入るなんて問題外だぞ」
そうだ。再来週発表しなくてはいけない論文があったのだ。
始めは自力で取り掛かっていたものの、夜勤続きなこともあり自宅ではどうも睡魔に勝てない。
そこで獄の自宅にお邪魔して見張り役を頼んでいたのだが……
背もたれ付きの椅子の上でうーん、と伸びをする。