オレオクラッシャー
DOODLE #ヒーローズ・シンドローム7話 英雄会議
英雄会議「定期開催、怪物対策英雄会議!きみの相棒も連れてくると良い、って事でヨロシク頼むぜ!」
あの後、突如現れた16番はロロの返答も待たず、言うだけ言って颯爽と去ってしまった。残されたロロはぽかんと立ち竦んで暫く呆気に取られていたが、如何することも出来ないので諦めて帰宅したのだった。
日時や場所の指定も無く、そもそも定期開催されているという会議の存在すら疑わしい。そして音沙汰も無く数日が経ち、ロロがその宣言を記憶の隅に追いやりかけた頃のある日、唐突に玄関のベルが鳴る。
「そういう訳で、迎えに来たぜ66クン!」
朝早くからその姿を表したトップヒーローは、開口一番にそう言った。
「…はあ」
ロロは若干16番の勢いに気圧されながら覇気の無い返事をする。
18207あの後、突如現れた16番はロロの返答も待たず、言うだけ言って颯爽と去ってしまった。残されたロロはぽかんと立ち竦んで暫く呆気に取られていたが、如何することも出来ないので諦めて帰宅したのだった。
日時や場所の指定も無く、そもそも定期開催されているという会議の存在すら疑わしい。そして音沙汰も無く数日が経ち、ロロがその宣言を記憶の隅に追いやりかけた頃のある日、唐突に玄関のベルが鳴る。
「そういう訳で、迎えに来たぜ66クン!」
朝早くからその姿を表したトップヒーローは、開口一番にそう言った。
「…はあ」
ロロは若干16番の勢いに気圧されながら覇気の無い返事をする。
オレオクラッシャー
DOODLE #ヒーローズ・シンドローム6話 ウェルカム・トゥ・リベリオン
ウェルカム・トゥ・リベリオン「…うわ」
午前巡回の帰りに郵便受けを覗いたロロは、投函されていた一通の封筒を見てあからさまに顔を顰めた。
「やっと帰られたんですか?」
その瞬間を見計らったかのように背後から声が掛かる。驚いたロロは反射的にその主を捕縛しようと黒髪を擡げたが、振り向きざまに視界が捉えた人畜無害そうな人影を認識してそれを霧散させた。
「お前…確か、あの横に居た…」
…見覚えはあるが、名前が思い出せない。確かあの夜会でトウヤの後ろに控えていた男だ。容姿にこれと言った特徴は無く、何処にでも居そうな…という形容が似合う。
「ニコです。ニコ・ライラ。そういえば俺はまだ名乗ってなかったような…まあいいか」
男…ニコはフラットな調子で名を述べる。掴み所の無い、乱暴に言えば地味で印象が薄いニコの言動にどう反応すべきかロロが困惑していると、ニコは満面に不満を湛えた呆れ顔になる。
18764午前巡回の帰りに郵便受けを覗いたロロは、投函されていた一通の封筒を見てあからさまに顔を顰めた。
「やっと帰られたんですか?」
その瞬間を見計らったかのように背後から声が掛かる。驚いたロロは反射的にその主を捕縛しようと黒髪を擡げたが、振り向きざまに視界が捉えた人畜無害そうな人影を認識してそれを霧散させた。
「お前…確か、あの横に居た…」
…見覚えはあるが、名前が思い出せない。確かあの夜会でトウヤの後ろに控えていた男だ。容姿にこれと言った特徴は無く、何処にでも居そうな…という形容が似合う。
「ニコです。ニコ・ライラ。そういえば俺はまだ名乗ってなかったような…まあいいか」
男…ニコはフラットな調子で名を述べる。掴み所の無い、乱暴に言えば地味で印象が薄いニコの言動にどう反応すべきかロロが困惑していると、ニコは満面に不満を湛えた呆れ顔になる。
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DONE #ヒーローズ・シンドローム五話 英雄教室
英雄教室「やあ、久しぶりだね!おかえり、ソラ!」
「リク、ただいま!」
玄関扉を開けて顔を出したリクに、ソラが弾んだ声を上げる。そのまま何方ともなく駆け寄って抱擁を交わした二人は暫く熱烈な再会の挨拶に興じていたが、やがてそれを一段落させたリクがソラの後ろへ目を遣った。
「いらっしゃい、ロロくん。君のことも待っていたよ!」
「どうも…」
そこに立っていたロロに向けて、リクが朗らかな声で歓迎を口にする。ソラの熱心な誘いを断り切れず此処まで着いてきたロロはぎこちない苦笑を浮かべた。如何にも拭い切れない疎外感と居た堪れなさを覚えながら、ロロはつい数刻前に思いを馳せる。
「そういえば、さっきリクから連絡があったんだけどね」
14148「リク、ただいま!」
玄関扉を開けて顔を出したリクに、ソラが弾んだ声を上げる。そのまま何方ともなく駆け寄って抱擁を交わした二人は暫く熱烈な再会の挨拶に興じていたが、やがてそれを一段落させたリクがソラの後ろへ目を遣った。
「いらっしゃい、ロロくん。君のことも待っていたよ!」
「どうも…」
そこに立っていたロロに向けて、リクが朗らかな声で歓迎を口にする。ソラの熱心な誘いを断り切れず此処まで着いてきたロロはぎこちない苦笑を浮かべた。如何にも拭い切れない疎外感と居た堪れなさを覚えながら、ロロはつい数刻前に思いを馳せる。
「そういえば、さっきリクから連絡があったんだけどね」
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DONE #ヒーローズ・シンドローム四話 ドレスアップ・ショウダウン
ドレスアップ・ショウダウン「見ろよロロ、あのチキン野郎からの招待状だぜ!」
出禁令が出されていた筈のクロは、ロロの家に駆け込むなり開口一番にそう言った。ロロは反省の色も見えないクロを睨むが、クロに堪える様子はない。ロロは態とらしく留息を吐いて、大人しくクロが喜々として掲げている便箋を受け取って目を通した。
「…依頼状?」
最初に目に入ったのは冒頭に記されたその文言だった。飛び込んできたクロの声に二階から降りてきたソラが何時の間にか傍に来て覗き込もうとしていたが、ロロは一先ず読み通すことを優先する。程無く便箋に敷き詰められた文字を辿り終えて首を傾げた。便箋の文章は婉曲表現や明らかな機嫌取りが透けて見える飾り文が大半を占めており、概要としては大体以下の通りだった。
18405出禁令が出されていた筈のクロは、ロロの家に駆け込むなり開口一番にそう言った。ロロは反省の色も見えないクロを睨むが、クロに堪える様子はない。ロロは態とらしく留息を吐いて、大人しくクロが喜々として掲げている便箋を受け取って目を通した。
「…依頼状?」
最初に目に入ったのは冒頭に記されたその文言だった。飛び込んできたクロの声に二階から降りてきたソラが何時の間にか傍に来て覗き込もうとしていたが、ロロは一先ず読み通すことを優先する。程無く便箋に敷き詰められた文字を辿り終えて首を傾げた。便箋の文章は婉曲表現や明らかな機嫌取りが透けて見える飾り文が大半を占めており、概要としては大体以下の通りだった。
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DONE #ヒーローズ・シンドローム3話 英雄曰く
英雄曰く「………」
ソラを駅まで送り届けたロロは、せかせかとリビングルームを歩き回っていた。数分おきに視線を送るカレンダーの赤丸は今日の日付を指している。時折椅子に掛けることもあるが、一分も経たないうちにまた立ち上がって彷徨いている。
「そんなにあの嬢ちゃんが心配か?」
三秒と落ち着く気配の無いロロに、いつの間にか起き出していたクロが茶々を入れる。たかが少女ひとりにこうも心を乱されているロロが相当可笑しいようで、これ見よがしににやけ面を浮かべている。
「五月蝿い」
ロロはロロで揶揄われたのが相当不愉快だったのか、不機嫌を隠す様子も無く苛苛した声でクロに当たる。
「それにしても、」
いつの間にか起き出したついでに人の家の戸棚から拝借して淹れた珈琲を優雅に啜っているモノが口を開いた。
18247ソラを駅まで送り届けたロロは、せかせかとリビングルームを歩き回っていた。数分おきに視線を送るカレンダーの赤丸は今日の日付を指している。時折椅子に掛けることもあるが、一分も経たないうちにまた立ち上がって彷徨いている。
「そんなにあの嬢ちゃんが心配か?」
三秒と落ち着く気配の無いロロに、いつの間にか起き出していたクロが茶々を入れる。たかが少女ひとりにこうも心を乱されているロロが相当可笑しいようで、これ見よがしににやけ面を浮かべている。
「五月蝿い」
ロロはロロで揶揄われたのが相当不愉快だったのか、不機嫌を隠す様子も無く苛苛した声でクロに当たる。
「それにしても、」
いつの間にか起き出したついでに人の家の戸棚から拝借して淹れた珈琲を優雅に啜っているモノが口を開いた。
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DONE #ヒーローズ・シンドローム二話 モノクローム・エンカウンター
モノクローム・エンカウンター あの巨大な怪物と交戦して数日、ロロはソラが頻りに病院に行けと口煩く言うのを聞き流して自宅で休養していた。
「ねえ、だから病院に…」
「いい」
幾度目か分からないその催促に素っ気無く返す。明日になればソラは一度家に帰る。その間に受診してしまおうというのがロロの考えだった。妙な意地を拗らせている自覚はあるが、出来れば構わないでほしい。
「その体じゃ戦えないよ」
「俺達なら何だって出来るんだろ。問題ねえよ」
少し語気を強めるソラに対し、初めて会った時の彼女の台詞を引用して屁理屈をこねる。しかし、ソラは怯むことも目を逸らすこともなかった。
「万全な状態、が前提の話だよ。勇敢と無謀は違う」
ロロは軽く目を見開く。真逆その台詞をソラの口から聞くことになるとは。
11889「ねえ、だから病院に…」
「いい」
幾度目か分からないその催促に素っ気無く返す。明日になればソラは一度家に帰る。その間に受診してしまおうというのがロロの考えだった。妙な意地を拗らせている自覚はあるが、出来れば構わないでほしい。
「その体じゃ戦えないよ」
「俺達なら何だって出来るんだろ。問題ねえよ」
少し語気を強めるソラに対し、初めて会った時の彼女の台詞を引用して屁理屈をこねる。しかし、ソラは怯むことも目を逸らすこともなかった。
「万全な状態、が前提の話だよ。勇敢と無謀は違う」
ロロは軽く目を見開く。真逆その台詞をソラの口から聞くことになるとは。
オレオクラッシャー
DONE #ヒーローズ・シンドローム一話:英雄少女
英雄少女「…あ?」
見知らぬ少女に名前を呼ばれ、突然訪れたまるで映画の冒頭の一場面のような突拍子も無い展開に、ロロは思わず間の抜けた声を漏らす。少女はロロの反応に首を傾げた。
「私は今日から君とコンビの…」
「聞こえなかった訳じゃねえよ」
律儀に名乗り直そうとする少女を制して、頭痛を抑える様に指先を顬に当てる。月並みなボーイミーツガールの如く現れた金髪の少女はロロの反応が理解し難いようだった。
「君には通達済みだと聞いてたんだけど…もしかして届いてなかった?」
そう言えば、とロロは昨晩受け取った封筒の事を思い出す。
日は沈み、月も高く昇った頃に現れた封筒の配達人は妙に神秘的な容貌をしていたので、記憶を手繰るのにそう時間は掛からなかった。褐色の肌に月光を淡く弾く白の長髪を携えて、睨め付けるような底知れない目をしたロロよりも大柄な男は一昼夜でそう忘れられるものではない。
9190見知らぬ少女に名前を呼ばれ、突然訪れたまるで映画の冒頭の一場面のような突拍子も無い展開に、ロロは思わず間の抜けた声を漏らす。少女はロロの反応に首を傾げた。
「私は今日から君とコンビの…」
「聞こえなかった訳じゃねえよ」
律儀に名乗り直そうとする少女を制して、頭痛を抑える様に指先を顬に当てる。月並みなボーイミーツガールの如く現れた金髪の少女はロロの反応が理解し難いようだった。
「君には通達済みだと聞いてたんだけど…もしかして届いてなかった?」
そう言えば、とロロは昨晩受け取った封筒の事を思い出す。
日は沈み、月も高く昇った頃に現れた封筒の配達人は妙に神秘的な容貌をしていたので、記憶を手繰るのにそう時間は掛からなかった。褐色の肌に月光を淡く弾く白の長髪を携えて、睨め付けるような底知れない目をしたロロよりも大柄な男は一昼夜でそう忘れられるものではない。
オレオクラッシャー
DONE #ヒーローズ・シンドローム政府組の番外編
本編出てないのに番外を出すな
ヒーローズ・シンドローム番外「はァ…」
この国の国家元首たるレイア・グラッドストンはひたすらに捺印を続ける手を止め、額を押えて一度深く息を吐いた。
「…ん」
紙屑と化した書類の束を抱え、処分の為持ち出そうとしていた側近が振り返る。
「…疲れたか?」
「問題無い…否、それの処理が終わったら珈琲を頼む」
相変わらず言葉数の少ない端的な問いに返す。
「承知した」
アンドゥがドアノブに手を掛けようとした瞬間、外から扉が開かれた。
「レイアさん、コーヒーをいれてきたよ」
顔を覗かせたのは、アンドゥの弟の少年…リドゥである。
「君は気が利くな…丁度君の兄に頼んだ所だった」
軽く微笑んで珈琲を受け取ると、彼の方もどういたしまして、と笑顔で言い、彼の兄に目を向けた。
4336この国の国家元首たるレイア・グラッドストンはひたすらに捺印を続ける手を止め、額を押えて一度深く息を吐いた。
「…ん」
紙屑と化した書類の束を抱え、処分の為持ち出そうとしていた側近が振り返る。
「…疲れたか?」
「問題無い…否、それの処理が終わったら珈琲を頼む」
相変わらず言葉数の少ない端的な問いに返す。
「承知した」
アンドゥがドアノブに手を掛けようとした瞬間、外から扉が開かれた。
「レイアさん、コーヒーをいれてきたよ」
顔を覗かせたのは、アンドゥの弟の少年…リドゥである。
「君は気が利くな…丁度君の兄に頼んだ所だった」
軽く微笑んで珈琲を受け取ると、彼の方もどういたしまして、と笑顔で言い、彼の兄に目を向けた。
オレオクラッシャー
DONE #ヒーローズ・シンドロームプロローグ
ヒーローズ・シンドローム…或いは英雄症候群。現代に蔓延した奇病の名だ。
感染経路も原因も不明、治療法はおろか予防法すら確立されておらず、それどころか患者同士の共通点すら碌に発見されていないなどと、その実態は全くもって解明されていない。
確かなのは、
一つ、発症すると異能が発現すること。
そして、
病状が進行した患者は意思の無い怪物と化すこと。
全く傍迷惑な病だ、と路面電車の線路の上をかつかつと革靴の底を鳴らしながら歩く長身の男は、一つに結った黒の長髪を靡かせながら顔を顰めた。視線の先では現在進行形で異形の怪物が暴れている。男は気怠げな顔で溜息を吐いて、怪物を見据える。
男が片腕をゆるりと上げて怪物を指すと、一際強い風に煽られて空を覆う闇のように拡がった黒髪が突如意志を持った様に蠢き始めた。それは忽ち一束に収束し、定められた照準に向けて漆黒の槍を形作ると、
1305感染経路も原因も不明、治療法はおろか予防法すら確立されておらず、それどころか患者同士の共通点すら碌に発見されていないなどと、その実態は全くもって解明されていない。
確かなのは、
一つ、発症すると異能が発現すること。
そして、
病状が進行した患者は意思の無い怪物と化すこと。
全く傍迷惑な病だ、と路面電車の線路の上をかつかつと革靴の底を鳴らしながら歩く長身の男は、一つに結った黒の長髪を靡かせながら顔を顰めた。視線の先では現在進行形で異形の怪物が暴れている。男は気怠げな顔で溜息を吐いて、怪物を見据える。
男が片腕をゆるりと上げて怪物を指すと、一際強い風に煽られて空を覆う闇のように拡がった黒髪が突如意志を持った様に蠢き始めた。それは忽ち一束に収束し、定められた照準に向けて漆黒の槍を形作ると、
Theith_TLblack
PROGRESS #ヒーローズ・シンドローム試作一話の序盤 取り敢えずの方向性確認
プロトタイプ・プロローグ ヒーローズ・シンドローム…通称英雄症候群、現代に蔓延した奇病である。
感染経路も原因も不明、治療法はおろか予防法すら確立されておらず、それどころか患者同士の共通点すら碌に発見されていないという正に奇病と呼ぶべき徹底した謎ぶりだ。
確かなのは、
一つ、発症すると異能が発現すること。
そして、
患者の遺体は、時折制御不能の怪物と化すこと。
全く傍迷惑な病だ、と街を歩く長身の男は一つに結った黒の長髪を靡かせながら顔を顰めた。視線の先では現在進行形で異形の怪物が暴れている。
男は気怠げな顔で溜息を吐いて、髪留めを外す。 鴉の羽のように拡がったそれは、忽ち意志を持ったようにざわざわと動き始めた。
「大人しく墓に戻ってろ」
1103感染経路も原因も不明、治療法はおろか予防法すら確立されておらず、それどころか患者同士の共通点すら碌に発見されていないという正に奇病と呼ぶべき徹底した謎ぶりだ。
確かなのは、
一つ、発症すると異能が発現すること。
そして、
患者の遺体は、時折制御不能の怪物と化すこと。
全く傍迷惑な病だ、と街を歩く長身の男は一つに結った黒の長髪を靡かせながら顔を顰めた。視線の先では現在進行形で異形の怪物が暴れている。
男は気怠げな顔で溜息を吐いて、髪留めを外す。 鴉の羽のように拡がったそれは、忽ち意志を持ったようにざわざわと動き始めた。
「大人しく墓に戻ってろ」