エンジェライト
DONE病気を抱えるトワとの非日常な日常。トワがいつもと異なる症状に苦しみ、そこにブレが寄り添い、ふたりで共に夜を乗り越えます。
ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。
天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。
舞台はトワの方のハイラルです。
光と花※補足
ブレはこちらのハイラルに来てゼルダ姫に手ほどきを受け、光の治癒魔法を習得しています。
マリン→ブレとトワの飼い猫。メスの成猫。
おれ達の住むラネール地方にしては珍しく、大気中の湿度の高い日だった。
湿度によって、リンクの患う天気病は様々な弊害を引き起こす。
その夜、リンクは身体中の関節の痛みに苦しんでいた。
今までにない症状だったため、診療所でこれに対応する薬などは受け取っていなかった。
痛みに身体が熱を持ち、リンクの皮膚にはうっすらと汗が滲む。
苦しそうに小さく呻くその声が、おれの心臓をざわざわとさせた。
深夜まで起きて寄り添い、おれの治癒魔法で限界十五分の手当てを試みて、だが流石に全身に及ぶ痛みには対応し切れなかった。
5413ブレはこちらのハイラルに来てゼルダ姫に手ほどきを受け、光の治癒魔法を習得しています。
マリン→ブレとトワの飼い猫。メスの成猫。
おれ達の住むラネール地方にしては珍しく、大気中の湿度の高い日だった。
湿度によって、リンクの患う天気病は様々な弊害を引き起こす。
その夜、リンクは身体中の関節の痛みに苦しんでいた。
今までにない症状だったため、診療所でこれに対応する薬などは受け取っていなかった。
痛みに身体が熱を持ち、リンクの皮膚にはうっすらと汗が滲む。
苦しそうに小さく呻くその声が、おれの心臓をざわざわとさせた。
深夜まで起きて寄り添い、おれの治癒魔法で限界十五分の手当てを試みて、だが流石に全身に及ぶ痛みには対応し切れなかった。
エンジェライト
DONE体調が悪いトワとの、優しいコミュニケーション。超短編。ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。
天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。
舞台はトワの方のハイラルです。
宝玉風の強い日だった。
リンクは日中ずっと体調がすぐれず、激しい気分の落ち込みで布団から起き上がれずにその日を過ごしていた。
今、夜になりおれが風呂から上がってきても、リンクはつらそうにベッドの上で布団を被り横になっていた。辛うじて風呂には入れたものの、それ以外の時間はこうして横になっている。
「リンク」
ベッドの、リンクの隣の空いたスペースに座りながら呼びかける。窓の外では風が鳴り、窓ガラスをカタカタと鳴らしている。
リンクはおれの呼びかけに反応して、眉間に皺を寄せ枕に頭を押し付けたまま目を動かした。
「吐き気はある?」
質問すると、リンクは黙って小さく首を横に振った。ふうと息を吐いて余計に枕に頭を押し付けている。
1168リンクは日中ずっと体調がすぐれず、激しい気分の落ち込みで布団から起き上がれずにその日を過ごしていた。
今、夜になりおれが風呂から上がってきても、リンクはつらそうにベッドの上で布団を被り横になっていた。辛うじて風呂には入れたものの、それ以外の時間はこうして横になっている。
「リンク」
ベッドの、リンクの隣の空いたスペースに座りながら呼びかける。窓の外では風が鳴り、窓ガラスをカタカタと鳴らしている。
リンクはおれの呼びかけに反応して、眉間に皺を寄せ枕に頭を押し付けたまま目を動かした。
「吐き気はある?」
質問すると、リンクは黙って小さく首を横に振った。ふうと息を吐いて余計に枕に頭を押し付けている。
エンジェライト
DONE新作。ブレとトワの夜の営みについてインタビューするソラさんの巻。ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。
ソラ→スカイウォードソードの主人公リンク。十八才くらい。
舞台はトワの方のハイラルです。
ソラさんがやってきた!3「いやぁ、また来ちゃったよ〜!もはや君達に会うのは僕の趣味になりつつあるね!今日はあるテーマを持って来ましたっ!!」
やって来たのは毎度お馴染みソラさんだ。
彼は勇者業はどうした、なんでこんなにこっちの世界にやって来る余裕がある?暇なのか?
と思いながらも、こちらもお馴染みの怪訝な顔を向けながら、とりあえず邪険にも出来ずに、我が家のリビングでソラさんにお茶を出す。
「ソラさん、来て下さったんですね」
リンクが二階からおりてきて、柔らかな笑みをソラさんに向けて言った。
ソラさんはおれの出したお茶を一口飲んで、顔を上げ、
「やあトワ!久し振りだね、会いたかったよ、再会のハグしとこうかっ?」
と言うものだから、おれはすかさず、
2998やって来たのは毎度お馴染みソラさんだ。
彼は勇者業はどうした、なんでこんなにこっちの世界にやって来る余裕がある?暇なのか?
と思いながらも、こちらもお馴染みの怪訝な顔を向けながら、とりあえず邪険にも出来ずに、我が家のリビングでソラさんにお茶を出す。
「ソラさん、来て下さったんですね」
リンクが二階からおりてきて、柔らかな笑みをソラさんに向けて言った。
ソラさんはおれの出したお茶を一口飲んで、顔を上げ、
「やあトワ!久し振りだね、会いたかったよ、再会のハグしとこうかっ?」
と言うものだから、おれはすかさず、
エンジェライト
MOURNINGドタバタコメディ。ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。
ソラ→スカイウォードソードの主人公リンク。
舞台はトワの方のハイラルです。
ソラさんがやってきた!2(Side.Bure)
「いやぁ〜あれから帰って考えてたんだけど、なんか僕、ふたりにちょっかい出してブレの反応見るのが癖になりそうだなって」
「…はい?」
「というわけで帰って来ました!どうぞ宜しく!」
前回と同じく突然やって来たソラさんに、おれは怪訝な顔を向けた。場所は自宅玄関、以前色々とやらかされた記憶から思わず苦い表情を浮かべたくなる。
「とんでもねぇ理由ですね」
「まあそう堅いこと言わず。遊びだよ遊び。人生楽しまなくちゃ」
「楽しみ方間違ってますよ」
二人で話していると二階からリンクがおりてやって来た。おれはソラさんを警戒して、すぐさまリンクの傍に庇うように立った。
「リンク体調良くないなら無理して来なくていい、相手はソラさんなんだから!」
3897「いやぁ〜あれから帰って考えてたんだけど、なんか僕、ふたりにちょっかい出してブレの反応見るのが癖になりそうだなって」
「…はい?」
「というわけで帰って来ました!どうぞ宜しく!」
前回と同じく突然やって来たソラさんに、おれは怪訝な顔を向けた。場所は自宅玄関、以前色々とやらかされた記憶から思わず苦い表情を浮かべたくなる。
「とんでもねぇ理由ですね」
「まあそう堅いこと言わず。遊びだよ遊び。人生楽しまなくちゃ」
「楽しみ方間違ってますよ」
二人で話していると二階からリンクがおりてやって来た。おれはソラさんを警戒して、すぐさまリンクの傍に庇うように立った。
「リンク体調良くないなら無理して来なくていい、相手はソラさんなんだから!」
エンジェライト
MOURNINGブレとトワの元にソラがやってきてあることを確かめると言い出して…。ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。
ソラ→スカイウォードソードの主人公リンク。
舞台はトワの方のハイラルです。
ソラさんがやってきた!「と、言うわけで僕はソラ。君達って勇者の魂の強化のために女神様によって出逢わされたんだよね、僕ちょっとそのことでふたりに用があって」
おれとリンクが住む、ある村の入り口で、突如現れたその“ソラ”さんがこう言った。
彼曰く、彼もまたおれ達と同じ勇者の魂を持つ存在で、おれ達のご先祖に当たる人らしいのだが、おれは今更驚かなかった。リンクと出会ってから様々な奇跡を目の当たりにしてきたし、なによりそのリンクが既におれと同じ勇者の魂の持ち主なのだから、おれには若干の免疫がついていた。
「なんでそのことを知ってるんですか。というか、そのソラさん、が一体なんの用ですか」
おれが淡々と言うと、ソラさんは胸の前で腕を組んで、
7998おれとリンクが住む、ある村の入り口で、突如現れたその“ソラ”さんがこう言った。
彼曰く、彼もまたおれ達と同じ勇者の魂を持つ存在で、おれ達のご先祖に当たる人らしいのだが、おれは今更驚かなかった。リンクと出会ってから様々な奇跡を目の当たりにしてきたし、なによりそのリンクが既におれと同じ勇者の魂の持ち主なのだから、おれには若干の免疫がついていた。
「なんでそのことを知ってるんですか。というか、そのソラさん、が一体なんの用ですか」
おれが淡々と言うと、ソラさんは胸の前で腕を組んで、
エンジェライト
PASTトワが嫉妬に似た気持ちに戸惑うお話。ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。
天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。
舞台はトワの方のハイラルです。
白い花眠っていた。夢を見ていた。
大切で大好きな人が、見知らぬ誰かと連れ立っていく姿を見る。なんてことのない風景とばかり思っていたのに、夢の中でオレは、息が苦しくなるほど胸が痛かった。嫉妬したことはなかったのに、一体。この感情は―。
目覚めて、目尻に涙が溜まっていることに気付く。オレは悲しかったのか。よく分からない心境のまま隣を見ると、いつも隣に眠る彼はもう任務に出掛けてそこにはいなかった。それが、夢の中の光景に重なって、無性に悲しさを煽った。
嫉妬。いや、なんだか微妙に異なる気もする。オレはいつも、例え怒り等を感じたとして、それが通り越して悲しみに直結しやすい質だ。だから多分、あの光景を見てなにかを感じて、またそうして通り越して悲しくなって涙が出たに違いない。
2708大切で大好きな人が、見知らぬ誰かと連れ立っていく姿を見る。なんてことのない風景とばかり思っていたのに、夢の中でオレは、息が苦しくなるほど胸が痛かった。嫉妬したことはなかったのに、一体。この感情は―。
目覚めて、目尻に涙が溜まっていることに気付く。オレは悲しかったのか。よく分からない心境のまま隣を見ると、いつも隣に眠る彼はもう任務に出掛けてそこにはいなかった。それが、夢の中の光景に重なって、無性に悲しさを煽った。
嫉妬。いや、なんだか微妙に異なる気もする。オレはいつも、例え怒り等を感じたとして、それが通り越して悲しみに直結しやすい質だ。だから多分、あの光景を見てなにかを感じて、またそうして通り越して悲しくなって涙が出たに違いない。
エンジェライト
PAST悪夢を見るブレと、その後のトワとの平和な時間のお話です。これは私が眠っている時に降りてきたアイディアを元に作ったお話です。
ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。
舞台はトワの方のハイラルです。
夢の果て無数の矢の雨が飛び交う戦火の中。
ここはおれの元いた“息吹の”ハイラル。
魔物達が矢を頻りに放ち、その魔物の数も多勢に無勢で、壊れかけの建物の壁に身を寄せ敵の攻撃を凌ぐので精一杯。
矢が上からも横からも飛んできて鼻先を掠めた。
おれの腕の中にはぐったりとしたリンクが、腹部や胸に矢を受けて倒れていた。
おれも腕や背中に数本の矢を受けたまま、それでも構っていられずに、青白い顔をしたリンクの血糊にまみれた手をひしと握り締めた。
リンクの傷口を必死で押さえつける。
だが、矢じりに毒でも塗られていたのか、傷口からはとめどなく血液が溢れた。
「クソ…ッ!!クソ、クソクソクソ……ッッッ!!!止まれ………!!!止まれったら!!!」
3051ここはおれの元いた“息吹の”ハイラル。
魔物達が矢を頻りに放ち、その魔物の数も多勢に無勢で、壊れかけの建物の壁に身を寄せ敵の攻撃を凌ぐので精一杯。
矢が上からも横からも飛んできて鼻先を掠めた。
おれの腕の中にはぐったりとしたリンクが、腹部や胸に矢を受けて倒れていた。
おれも腕や背中に数本の矢を受けたまま、それでも構っていられずに、青白い顔をしたリンクの血糊にまみれた手をひしと握り締めた。
リンクの傷口を必死で押さえつける。
だが、矢じりに毒でも塗られていたのか、傷口からはとめどなく血液が溢れた。
「クソ…ッ!!クソ、クソクソクソ……ッッッ!!!止まれ………!!!止まれったら!!!」
エンジェライト
PASTふたりでピクニックでラブラブ。ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。
トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。
天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。
舞台はトワの方のハイラルです。
花かんむり麗らかな日和。小さな花が咲く樹の下で野原に群生する白い花々が風に揺れる姿を眺めた。
おれ達が暮らす村の外にあるちょっとした野原に、ピクニックと称してリンクとふたり、やって来ていた。今は平和なこのハイラルでこうしてふたりで過ごすのはおれの夢でもあった。
籠に入れて持ってきたサンドイッチとリンゴジュースをのんびり飲食しながらのどかな景色を心ゆくまで楽しむ。小鳥がどこかでさえすり、風が草木を撫でる音が耳を癒してゆく。
陽光はあたたかいが風は少し肌寒く、体調が万全でないリンクは肩にショールをかけて景色を眺めていた。
「あの花」
静かにリンクが言った。
「故郷の森にも咲いてた。なんだか懐かしい」
おれは口に入れていたサンドイッチの欠片を飲み込んで、手についた屑をパンパンとはたくと、しばしその群生した白い花々を見つめた。
1807おれ達が暮らす村の外にあるちょっとした野原に、ピクニックと称してリンクとふたり、やって来ていた。今は平和なこのハイラルでこうしてふたりで過ごすのはおれの夢でもあった。
籠に入れて持ってきたサンドイッチとリンゴジュースをのんびり飲食しながらのどかな景色を心ゆくまで楽しむ。小鳥がどこかでさえすり、風が草木を撫でる音が耳を癒してゆく。
陽光はあたたかいが風は少し肌寒く、体調が万全でないリンクは肩にショールをかけて景色を眺めていた。
「あの花」
静かにリンクが言った。
「故郷の森にも咲いてた。なんだか懐かしい」
おれは口に入れていたサンドイッチの欠片を飲み込んで、手についた屑をパンパンとはたくと、しばしその群生した白い花々を見つめた。
エンジェライト
MOURNINGパン屋でバイトをするトワと、そのトワに出会って一目惚れをする息吹(ブレ)。紆余曲折を経て最終的に彼らが恋人同士になるまでの過程を描きます。
息吹の通う高校名はブレリンの声優さん由来です(笑)あとハイラルの“ハイ”の高いという言葉を入れてみたくて。
なお、トワの性格は温和です。
少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
レンズフレア(Side.Ibuki)
一目惚れをした。
おれの通う高校の近くにある、駅近のパン屋の、レジカウンターに立つアルバイト店員に、ある日おれは衝撃的な出会いをした。
そのパン屋は、小規模展開するチェーン店でありながら、大変人気があり、特に朝や昼の時間帯は客で溢れていて、店員の客さばきが上手いのか客の出入りの回転も速い。
店内には広いイートインスペースが設置され、その盛況の忙しさと切り離されたかのようにそこではゆっくりとした時が流れ、利用客は主婦や年配の人が多いようだ。
店内を流れるカントリー調の曲とも相俟って店の売りとなっている。
一目惚れをしたそのアルバイトの子に会うためにおれは学校が終わった後、足繁くパン屋に通った。
16612一目惚れをした。
おれの通う高校の近くにある、駅近のパン屋の、レジカウンターに立つアルバイト店員に、ある日おれは衝撃的な出会いをした。
そのパン屋は、小規模展開するチェーン店でありながら、大変人気があり、特に朝や昼の時間帯は客で溢れていて、店員の客さばきが上手いのか客の出入りの回転も速い。
店内には広いイートインスペースが設置され、その盛況の忙しさと切り離されたかのようにそこではゆっくりとした時が流れ、利用客は主婦や年配の人が多いようだ。
店内を流れるカントリー調の曲とも相俟って店の売りとなっている。
一目惚れをしたそのアルバイトの子に会うためにおれは学校が終わった後、足繁くパン屋に通った。