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    #蛍火艶夜

    さくらい

    MOURNING蛍🔥/こいさや
    現パロ。狭山くんイメージ香水を作ったので香水作りに行くこいさやを書きました。
    選ばれしもの「香水?」
     買いに行きたい、じゃなく作りに行きたいと言われた時は驚いた。香水って作るもんなのかー、って。
    「この店だ」
     狭山に連れられて行った店は商業施設の中にあって、そこであいつはなにやら真剣な顔をして店員のお姉さんと話してた。てっきり一緒に選ぶのかと思ったのに「お前は適当にその辺見ていてくれ」と言われてしまい暇な俺は言われた通り適当にその辺に置いてあった香水の香りを手当たり次第に嗅いだ。
    (お、いい匂い)
    (甘ったる)
    (……草?)
    (どっかで嗅いだな……柔軟剤か?)
    (おーっ! これクレっぽい! あとで教えてやろ)
     十数種類も嗅ぐとさすがに鼻が馬鹿になってくる。遠目に狭山の方を見てみるとまだお姉さんとなにやら真剣な顔で話をしていた。【ご自由にお使いください】というラベルが貼られた小瓶には珈琲豆が入っていて、嗅いでみると鼻の中のごちゃごちゃした香りがいくらかマシになった。気を取り直してまたいくつか香水の香りを嗅いでから狭山の隣に行くと「香水を作りに行きたい、お前も付き合え」と言った割には話に入ってきてほしくないようで向こうへ行ってろと言いたげな視線を向けてくる。なんだよー、そんなにお姉さんと二人きりで真剣な顔で話すことがあるのか。仕方ない。店内はカップルや若い女の子のグループでいっぱいだ。みんな匂いを嗅ぎながらキャンキャンもといキャーキャー言っている。うふふ、あははと楽しそうな声も聞こえる。俺はきれいなお姉さんと二人で真剣に話し合う狭山の横顔を見つめてた。そんな顔久しぶりだ、と言うか滅多にしたことないだろ、俺にだって。でもそんな顔も好きなんだよなー。色んな匂いを嗅ぎすぎて俺は鼻どころか頭も心も色んな感情でぐちゃぐちゃになったらしい。リラックスとかリフレッシュとか森林浴、とか書いてあるものも嗅いでみたが全然落ち着けない。それどころかざわざわするしイライラもしてきて、なのにお前は変わらずきれいな顔してそこにいる。ここに俺がいるのにまるで眼中にないみたいに。なんだか初めて会った時のことを思い出した。俺に興味がない、眼中にないってツラしてツンとすましてたな。そんな俺と、興味なかったはずの男と楽しげに歩いてるお前が好きだ。なんだか照れくさくて、嬉しくなるから。でも今はちょっとだけ初めて会った時よりも遠く感じる。他人より、他人に感じるよ。
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    佐伯雛子

    DONEサカノーエさんと姪っ子がきゃっきゃしてるところが書きたかっただけの話です。捏造純度100パーのサカノーエさんの姪っ子が登場します。下記姪ちゃんの設定です。7月の本にもこの子は登場します。こんな感じの姪ちゃんとサカノーエさんの話をいつか本にしたいです。言うのはタダ。

    メイちゃん=庚二の兄の娘(ひとりっ子)私立幼稚園に通っている。ギフテッドな三歳児。コウちゃん(高3)が大好き。
    メイちゃんとおままごと【現パロDKノ上君と姪ノ上ちゃんss】「あなた、そこのお皿を取ってくださる? ……ねぇ、あなたってば!」
    「ん? あだっ」
    「聞いてます?」
    「き、聞いてなかった。……あー、何だ? これ?」
    「そう、それよ。……んもうっ、本当に困った人ねぇ」
    「あー……どうもすみませんでした」
    「分かればいいんです。分かれば」

    何故俺は今母にそっくりな喋り方をした三歳児に“あなた”と呼ばれているのだろうか。

    「聞いてなかったのは俺が悪いんですが、物を投げるのはよくないよ。“メイ”ちゃん」
    坂ノ上庚二はいつの間にか眼前で鼻息荒く仁王立ちしている幼女に皿を手渡した。幼いながらにも坂ノ上家特有の顔をしたその子は制服の上から纏ったエプロンの裾を整えながら、満足げな笑みを顔いっぱいに浮かべている。その笑顔は何とも既視感を感じずにはいられなかった。
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    佐伯雛子

    DONE坂視点坂伴ssです。坂の母を捏造していたり、モブ上官が出てきてたりな短い話です。ピアノを弾くサカノーエコージが書きたかったんです。
    因みに作中で坂が弾いている曲はタイトルの曲です。編曲は作曲者の妻版でご想像ください。元々原曲が歌曲でそれをピアノ用に編曲しているので、歌詞を読みながら、曲を聴きながら読んでみるとより楽しいかもしれません。

    ※9話ネタバレ注意
    ※ばんちゃは最後しか出ません。
    Widmung【坂視点坂伴ss】少し昔話をしよう。
    これは私がまだ少尉に上がりたての頃。季節は夏、上官に連れて行かれた迎賓館での夜会での話だ。

    ***

    上流階級の社交場とは退屈なものである。華やかなドレスや着物に身を包んだ淑女達、仕立ての良い正礼装姿の紳士達が一つどころに集まっては噂話に花を咲かせ、上辺だけの微笑に、言葉尻にじわりと欲を潜ませて。何とも居心地の悪い場所であった。

    おまけに黒を纏った男達の中で第二種軍装の白は目立つのか。至る所から無数の視線を向けられているのが痛い程分かった。頭のてっぺんから爪先までを這う、ねっとりとした視線。粗はないかと誰も彼もが己に点数をつけているようで堪らなく不愉快だった。

    己の成功の為に飾り立てた連中から勧められるがまま上機嫌で杯を煽る上官を横目に、青二才であった私はこのくだらない集まりが早くお開きになることをただ願っていた。
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