tomiya_misa_00
PASTジョルブジョルガチリバ本のweb再録です。濡れ場多め。イヴァンさんが描いてくださった素晴らしい挿絵が1枚含まれております!
あらすじ:ブチャラティはジョルノから誘われ肉体関係を持った。可愛らしい誘惑をする彼を心底可愛いく思いながら抱いていたブチャラティだが、実は抱かれたい気持ちを持っていた。ある日ブチャラティは思い切ってジョルノにそれを告げ、そしてふたりは…… 24
ゆかりこ.
PROGRESS原稿85.
「よう、ジョルノ!」
側近用のオフィスのドアを開ければ、寝転ぶミスタが真っ先に目に入った。ソファーの上で朝から寛いでいるミスタを、フーゴが苦々しい表情で睨んでいる。
「おはようございます」
「おはようございます、ジョジョ。こちらが今日、ルカーノにサインをさせる書類です。目を通してください」
書類の積まれたデスクから立ち上がり、フーゴがジョルノに近づいた。
差し出された書類の束を受け取ると、ジョルノは目を通し始めた。業務提携というよりは、互いに協力して麻薬の売人及び販売ルートを締め出そうという協定だ。パッショーネから逃げ出した連中を締め付けるためには、近隣の組織との協力が不可欠となる。彼らが隣接する組織の中で優遇されては、苦労は全て水の泡となる。パッショーネは本格的に麻薬の排除を行なう。その宣言でもあるのだ。この協定はその第一段階と言えるだろう。
3733「よう、ジョルノ!」
側近用のオフィスのドアを開ければ、寝転ぶミスタが真っ先に目に入った。ソファーの上で朝から寛いでいるミスタを、フーゴが苦々しい表情で睨んでいる。
「おはようございます」
「おはようございます、ジョジョ。こちらが今日、ルカーノにサインをさせる書類です。目を通してください」
書類の積まれたデスクから立ち上がり、フーゴがジョルノに近づいた。
差し出された書類の束を受け取ると、ジョルノは目を通し始めた。業務提携というよりは、互いに協力して麻薬の売人及び販売ルートを締め出そうという協定だ。パッショーネから逃げ出した連中を締め付けるためには、近隣の組織との協力が不可欠となる。彼らが隣接する組織の中で優遇されては、苦労は全て水の泡となる。パッショーネは本格的に麻薬の排除を行なう。その宣言でもあるのだ。この協定はその第一段階と言えるだろう。
ゆかりこ.
PROGRESSえーっと、朝です。途中は書けてないけど。原稿74.
いつもより早く目が覚めてしまい、隣にある温もりの元を見つめる。少し焼けた肌、真っ直ぐな眉、閉じた目の奥には深い海がある。青みを帯びた黒髪が、枕の上に広がっている。湿ったままで眠ったので、寝癖が酷いだろう。眉間に寄った皺を指で撫でながら、この男の見る夢を思う。
痛む腰を押さえながら、ベッドから抜け出した。昨夜は夢も見ずに、ぐっすりと眠ってしまった。開いたままの窓のせいで、室内の空気は清浄だ。事後の気配は消え去っている。床に落ちていた昨夜の下着に足を通した。
裸足のまま音を立てぬようにドアを開けて、キッチンへと向かう。食器棚の中から安物のグラスを見つけて冷蔵庫を開けると、賞味期限前の未開封のオレンジジュースを探し出す。勝手に封を切りグラスに注ぐと、甘い香りが漂ってきた。ジョルノは一気にオレンジ色の液体を胃袋に流し込む。
2175いつもより早く目が覚めてしまい、隣にある温もりの元を見つめる。少し焼けた肌、真っ直ぐな眉、閉じた目の奥には深い海がある。青みを帯びた黒髪が、枕の上に広がっている。湿ったままで眠ったので、寝癖が酷いだろう。眉間に寄った皺を指で撫でながら、この男の見る夢を思う。
痛む腰を押さえながら、ベッドから抜け出した。昨夜は夢も見ずに、ぐっすりと眠ってしまった。開いたままの窓のせいで、室内の空気は清浄だ。事後の気配は消え去っている。床に落ちていた昨夜の下着に足を通した。
裸足のまま音を立てぬようにドアを開けて、キッチンへと向かう。食器棚の中から安物のグラスを見つけて冷蔵庫を開けると、賞味期限前の未開封のオレンジジュースを探し出す。勝手に封を切りグラスに注ぐと、甘い香りが漂ってきた。ジョルノは一気にオレンジ色の液体を胃袋に流し込む。
ゆかりこ.
PROGRESS原稿62.
ガラス扉の中は広めのエントランスホールになっている。古びた外見の割には、美しい大理石の床が光っていた。コンシェルジュ用のカウンターには、小さな銀色のベルが置かれている。どうやら、昼間はコンシェルジュが在中する程度には、高級な部類のアパルトマンなのだろう。
「前の部屋は追い出されたんだ。ちょっと煩い客があったもんでな」
周囲をキョロキョロと無遠慮に見回すジョルノへと、言い訳じみた言葉が降ってきた。そう言えば、少し前に麻薬の売人から自宅への襲撃があったと聞いたような気がした。
エントランスを突っ切ると、男は正面にあるエレベーターで五階のボタンを押した。クラッシックな木のエレベーターは、古めかしさの割には小さな作動音でゆっくりと上がっていった。
3442ガラス扉の中は広めのエントランスホールになっている。古びた外見の割には、美しい大理石の床が光っていた。コンシェルジュ用のカウンターには、小さな銀色のベルが置かれている。どうやら、昼間はコンシェルジュが在中する程度には、高級な部類のアパルトマンなのだろう。
「前の部屋は追い出されたんだ。ちょっと煩い客があったもんでな」
周囲をキョロキョロと無遠慮に見回すジョルノへと、言い訳じみた言葉が降ってきた。そう言えば、少し前に麻薬の売人から自宅への襲撃があったと聞いたような気がした。
エントランスを突っ切ると、男は正面にあるエレベーターで五階のボタンを押した。クラッシックな木のエレベーターは、古めかしさの割には小さな作動音でゆっくりと上がっていった。
ゆかりこ.
PROGRESS原稿5「おや、こんなところにいらしたんですね、ドン・パッショーネ」
幹部のひとりが、カウンターに近付いて来た。ジョルノ・ジョバァーナの前に立ち止まり、笑顔で見つめる。
「セザール・シニャックです。最近、幹部に昇格致しました。どうぞ、お見知りおきを」
最近、幹部に昇進したばかりの男が、そっとジョルノ・ジョバァーナの右隣の空いている椅子に座った。ブルネットの男は爽やかな笑顔を浮かべる。かなり派手に麻薬を扱っていた幹部の首を土産に、自らが幹部へとのし上がった男だ。身上書では確か年齢は四十半ばだった筈だ。
「不躾なことをお聞きして申し訳ない。ですが、切実なことなので……」
ヘーゼルの瞳には真剣な色が浮かんでいる。
3672幹部のひとりが、カウンターに近付いて来た。ジョルノ・ジョバァーナの前に立ち止まり、笑顔で見つめる。
「セザール・シニャックです。最近、幹部に昇格致しました。どうぞ、お見知りおきを」
最近、幹部に昇進したばかりの男が、そっとジョルノ・ジョバァーナの右隣の空いている椅子に座った。ブルネットの男は爽やかな笑顔を浮かべる。かなり派手に麻薬を扱っていた幹部の首を土産に、自らが幹部へとのし上がった男だ。身上書では確か年齢は四十半ばだった筈だ。
「不躾なことをお聞きして申し訳ない。ですが、切実なことなので……」
ヘーゼルの瞳には真剣な色が浮かんでいる。
ゆかりこ.
PROGRESS原稿 プロローグ1 私、砂漠の夢を見るの。ええ、時々なんだけど……。あんたの父親――あ……あの方は人だったのかしら? ええ、とにかくその方の夢を見るのよ。
私、若い頃にエジプトに一人旅をしたの。何故かしらね? もっと安全で、おしゃれな国はあったのに……。理由なんか忘れたわ。異国情緒溢れる街を歩いていると、日本という名の狭いつまらない現実を忘れられたのよ。私にはあの国は、似合わない。
でも、馬鹿よねぇ。カイロの雑踏を歩いていたら、突然見知らぬ男に腕を掴まれて地下室に監禁されてた。こんなに治安が悪いのかって呆れちゃったわ。だって、昼間だったのよ。それも、市場だったのに。
塀の高い大きな屋敷には、何人もの男たちがいたわ。一階の廻廊では、大きな隼が鋭い目でいつも庭を眺めていた。
1525私、若い頃にエジプトに一人旅をしたの。何故かしらね? もっと安全で、おしゃれな国はあったのに……。理由なんか忘れたわ。異国情緒溢れる街を歩いていると、日本という名の狭いつまらない現実を忘れられたのよ。私にはあの国は、似合わない。
でも、馬鹿よねぇ。カイロの雑踏を歩いていたら、突然見知らぬ男に腕を掴まれて地下室に監禁されてた。こんなに治安が悪いのかって呆れちゃったわ。だって、昼間だったのよ。それも、市場だったのに。
塀の高い大きな屋敷には、何人もの男たちがいたわ。一階の廻廊では、大きな隼が鋭い目でいつも庭を眺めていた。