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REHABILIあらむらが気になるはんざきくん。「あ、」
鈴鳴支部の扉が開かれて、声を発したのは半崎だった。雨音が煩く、掻き消えただろうそれに反応することなく所属隊員である別役太一は一歩を踏み出す。やけに静かに。ぺしょりという情けない靴音と共に。俯きながら。
「お帰り、太一」
「ただいまです〜」
村上の出迎えに弱った声を返し、目の届く範囲を探る。何となく察したのか村上も室内に目を配ったがすぐに別役と半崎を屋内に招いて問いかけた。
「濡れたのか」
「すんません、おれの傘取られてて」
「災難だったな」
別役との距離を詰めた村上に対し、荒船は動かずに労う。ちらりと盗み見た半崎は予想外の自隊隊長の存在に驚きつつも、上級生達の関係を思えば不思議ではないと判断して視線を村上へと戻す。
2327鈴鳴支部の扉が開かれて、声を発したのは半崎だった。雨音が煩く、掻き消えただろうそれに反応することなく所属隊員である別役太一は一歩を踏み出す。やけに静かに。ぺしょりという情けない靴音と共に。俯きながら。
「お帰り、太一」
「ただいまです〜」
村上の出迎えに弱った声を返し、目の届く範囲を探る。何となく察したのか村上も室内に目を配ったがすぐに別役と半崎を屋内に招いて問いかけた。
「濡れたのか」
「すんません、おれの傘取られてて」
「災難だったな」
別役との距離を詰めた村上に対し、荒船は動かずに労う。ちらりと盗み見た半崎は予想外の自隊隊長の存在に驚きつつも、上級生達の関係を思えば不思議ではないと判断して視線を村上へと戻す。
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REHABILI一緒にお鍋の支度する水と村(⚠︎あらむらとみずいこの二人)
「洒落てんなぁ」
真新しいマンションの三階。玄関に入ってすぐ、壁に備え付けられた靴箱の上に並んだハーバリウムを眺めて水上が言う。猫瓶と呼ばれるそれの中に、紫を基調とした配色の花が収まっている。隣には緑を基調とした同じ形の物。二つはぴたりとくっつき、安定した様子で白い壁を背景に人の目を惹く。
「少し殺風景かなと思ったんだ」
「へえ…。」
家主達はあまりこういった飾りに手を伸ばしそうにないと思っていた水上は感情をそのままに意外だという声を発する。だが、言われてみれば至極シンプルだ。サイズは小さく、中の花も色とりどりの華美な雰囲気はない。リボンや飾りの類いも付いていなかった。知り合いの女性陣から新居にと送られた品ならば、祝いということも踏まえもう少し可愛らしいデザインでもおかしくないだろう。
2755真新しいマンションの三階。玄関に入ってすぐ、壁に備え付けられた靴箱の上に並んだハーバリウムを眺めて水上が言う。猫瓶と呼ばれるそれの中に、紫を基調とした配色の花が収まっている。隣には緑を基調とした同じ形の物。二つはぴたりとくっつき、安定した様子で白い壁を背景に人の目を惹く。
「少し殺風景かなと思ったんだ」
「へえ…。」
家主達はあまりこういった飾りに手を伸ばしそうにないと思っていた水上は感情をそのままに意外だという声を発する。だが、言われてみれば至極シンプルだ。サイズは小さく、中の花も色とりどりの華美な雰囲気はない。リボンや飾りの類いも付いていなかった。知り合いの女性陣から新居にと送られた品ならば、祝いということも踏まえもう少し可愛らしいデザインでもおかしくないだろう。
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REHABILI一緒にカーテンを買いに行く荒と村「こういうの見るのわりと楽しいよな」
「そうなのか」
肩にかけた鞄を正し、家具を眺めながら荒船が発した一言に、村上は少しばかり驚いていた。その反応を受けて辺りを見渡していた荒船が質問を投げかける。
「お前はあんまり興味ないのか」
「楽しいとは思うけど…拘りはないかな」
「成程な」
村上は家具を見ることに対してではなく、荒船がこういった場所を楽しんでいることを意外に思ったのだが、伝わらなかったようだ。
「じゃあ…今日付き合わせて悪いなと思ってたんだけど、良かった」
「おう。わりと乗り気だぞ」
しかし、自身の用事に付き合わせてやって来た場所でそう言われれば少なからずありがたかった。
支部のカーテンが汚れたのは今朝のことだ。明るい布地に本物の悪こと別所太一が珈琲をかけてしまった。洗う為にと外したところ足で踏んだまま持ち上げ更に裂けてしまったのだ。流石に新しいものを買おうと判断が下されされ、村上が出掛けるついでにと購入に名乗りをあげた。近くに大型インテリア用品店があることは知っていたが、入ったことはない。もとから会う約束をしていた荒船が土地勘のある人物だったため頼ることしにしたのだ。申し訳なさそうな後輩の姿が蘇る。荒船の台詞も添えて新しいものを持ち帰ろうと決めた。
2070「そうなのか」
肩にかけた鞄を正し、家具を眺めながら荒船が発した一言に、村上は少しばかり驚いていた。その反応を受けて辺りを見渡していた荒船が質問を投げかける。
「お前はあんまり興味ないのか」
「楽しいとは思うけど…拘りはないかな」
「成程な」
村上は家具を見ることに対してではなく、荒船がこういった場所を楽しんでいることを意外に思ったのだが、伝わらなかったようだ。
「じゃあ…今日付き合わせて悪いなと思ってたんだけど、良かった」
「おう。わりと乗り気だぞ」
しかし、自身の用事に付き合わせてやって来た場所でそう言われれば少なからずありがたかった。
支部のカーテンが汚れたのは今朝のことだ。明るい布地に本物の悪こと別所太一が珈琲をかけてしまった。洗う為にと外したところ足で踏んだまま持ち上げ更に裂けてしまったのだ。流石に新しいものを買おうと判断が下されされ、村上が出掛けるついでにと購入に名乗りをあげた。近くに大型インテリア用品店があることは知っていたが、入ったことはない。もとから会う約束をしていた荒船が土地勘のある人物だったため頼ることしにしたのだ。申し訳なさそうな後輩の姿が蘇る。荒船の台詞も添えて新しいものを持ち帰ろうと決めた。
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REHABILI荒の寝顔が気になる村の小話。村上はそのSEの性質上、よく眠る。意識がないので断言はできないが寝姿を誰かに見られることなどざらにあるはずだ。勿論、時と場合は選ぶが必要ならば本来は寝床に適さない場所で眠ることだってあった。部隊に配属後、早くに任務に出られたのはその成果といえる。だが、もとより何処でも眠れる性分だったかといえばそれは違う。本部内で眠ることに抵抗がなくなったのは自身のSEを把握し稽古をつけてくれた師匠の意向によるところが大きい。どういったSEでどの程度の再現が可能でどれくらいで反映されるのか。それを見極めながら実地で弧月の扱いを教わったのだ。疲れのせいではなく学習の為に、皆が目に見える努力を重ねる新天地で一人眠ってしまうことに恐れに似た感情があったことは誰にも言っていない。目覚める度に誰かが迎えてくれたことで寝入ることへの抵抗が薄れていった。得られた成果を褒められることで、もはや自然に行えるようになったのだ。支部で自室を与えられていることを思えば、家族を除き村上の寝姿を見た回数が最も多いのは荒船という師匠だろう。だからこそとでも言おうか。目覚めの際に真面目な顔で声を掛けられ、時には笑いながら促された。そんな相手の寝顔は、村上にとってとても貴重なものに感じられたのだ。
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REHABILIみずいこ未満に遭遇してしまった諏訪さんの話。(⚠︎荒村要素あります)
放送事故みたいな現場に居合わせちまったんだよ。見慣れた顔を突き合わせた早めの忘年会の席で、数ヶ月前を振り返った諏訪洸太郎はそう語る。当時は兎に角必死で、通りがかりの嵐山と柿崎に放心中の生駒を任せて諸悪の根源と思わしき水上を急ぎ自隊の作戦室に引き摺り込んだ。それで手一杯だったのだが、よく行動したものだと自分を褒めることにしている。
「俺のことなんか好きになろうがなるまいがどうでもええんです」
同じく放心しているかと思いきや事情を尋ねてみれば自棄になっているらしいとわかった。もとより作戦室に来る途中だった後輩も一緒になって水上を捕まえたため椅子に着席している。なぜか三人しかいない室内で、最も部屋を使い慣れているはずの諏訪だけが立ったまま無駄に文庫本を整理していた。落ち着かないのだ。言葉を選んでいる間に、学力も情報処理能力もついでに顔面偏差値まで高い後輩が会話を進める。
3807「俺のことなんか好きになろうがなるまいがどうでもええんです」
同じく放心しているかと思いきや事情を尋ねてみれば自棄になっているらしいとわかった。もとより作戦室に来る途中だった後輩も一緒になって水上を捕まえたため椅子に着席している。なぜか三人しかいない室内で、最も部屋を使い慣れているはずの諏訪だけが立ったまま無駄に文庫本を整理していた。落ち着かないのだ。言葉を選んでいる間に、学力も情報処理能力もついでに顔面偏差値まで高い後輩が会話を進める。
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DONE影と村と出遅れた荒のお話。(カゲとコウくんがお付き合いしています注意。悲しいお話ではありません。三角関係の皮をかぶった笑い話。)
「鋼くんとカゲ、順調にお付き合いしてるみたいだよ」
高校時代の生徒会長の結婚式に呼ばれ、同じテーブルを囲んだ犬飼が発した台詞には衝撃を受けた。内容もさることながら、一番の衝撃は当人達の口からよりも先にこの場で事態を知ったこと。顔に出ていたのか、意外そうに笑いながらも犬飼はわからないでもないといった様子だ。人差し指を顔の横で揺らして愛想のいい様相を崩さずにいる。
「鋼くんの一人暮らしに便乗してカゲも一人暮らし始めたのは聞いたでしょ」
「それは聞いた」
「近所に住み始めて、なんか流れでそうなったみたい」
「なんだよ流れって」
「まあまあ。あの二人なりの付き合い方って話だよ」
やけに微笑ましげな様子は、荒船の解釈する付き合いと定義が少し違うからということらしい。できるだけ静かにと置いたはずの食器の音がやけに耳に響いた。
7940高校時代の生徒会長の結婚式に呼ばれ、同じテーブルを囲んだ犬飼が発した台詞には衝撃を受けた。内容もさることながら、一番の衝撃は当人達の口からよりも先にこの場で事態を知ったこと。顔に出ていたのか、意外そうに笑いながらも犬飼はわからないでもないといった様子だ。人差し指を顔の横で揺らして愛想のいい様相を崩さずにいる。
「鋼くんの一人暮らしに便乗してカゲも一人暮らし始めたのは聞いたでしょ」
「それは聞いた」
「近所に住み始めて、なんか流れでそうなったみたい」
「なんだよ流れって」
「まあまあ。あの二人なりの付き合い方って話だよ」
やけに微笑ましげな様子は、荒船の解釈する付き合いと定義が少し違うからということらしい。できるだけ静かにと置いたはずの食器の音がやけに耳に響いた。
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REHABILI喧嘩できないみずいこのお世話を焼くあらむら+
喧嘩したあらむらに恩返しするみずいこ
(みんな大人です。違う形でだしたものを少し修正しました。)
【喧嘩できないみずいこのお世話を焼くあらむらのお話】
「イコさんに怒られへんねん、俺」
テーブルに突っ伏す男が発した独り言のような嘆きに、荒船は眉を寄せた。付き合いの長さはそれなり。出身校の同級生というわけではないが、不思議と縁がある。少なからず遠慮はいらない相手だ。
「はあ?」
「腹立つこともあるし注意もする。せやけど喧嘩にならん」
「平和でいいだろ」
もとより配慮はできるが遠慮がないと評される性格の荒船である。恋人との予定が流れたタイミングで狙ったように声を掛けられ、久方ぶりに顔を突き合わせたと思えば酒のつまみにこの吐露。気を回してやる所以はない。
「昨日、女にくっつかれとるとこ見てもよう喧嘩にならんかった」
5386「イコさんに怒られへんねん、俺」
テーブルに突っ伏す男が発した独り言のような嘆きに、荒船は眉を寄せた。付き合いの長さはそれなり。出身校の同級生というわけではないが、不思議と縁がある。少なからず遠慮はいらない相手だ。
「はあ?」
「腹立つこともあるし注意もする。せやけど喧嘩にならん」
「平和でいいだろ」
もとより配慮はできるが遠慮がないと評される性格の荒船である。恋人との予定が流れたタイミングで狙ったように声を掛けられ、久方ぶりに顔を突き合わせたと思えば酒のつまみにこの吐露。気を回してやる所以はない。
「昨日、女にくっつかれとるとこ見てもよう喧嘩にならんかった」
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DONEおかきさん(@okakitarosan)の作品の好きなところ描かせていただきました。作品はこちら→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18233305
鋼さんがおかずを落とすところと「全力で努力しろ」の言い方と最後のセリフが一番好きです。荒村幸せになってくれ。(セリフを少し追加しています) 3