Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    #ハンルス

    heartbeat

    greentea

    MENU4月9日のオフイベにて頒布予定のハンルス本のサンプルです。
    価格1,000円、文庫、本文116P、再録込みとなります。
    よろしくお願いします。
    愛に飛ぶ準備は出来ているか 任務後の仲間たちの顔は晴れやかで、トップガン卒であり空の実力者だと自覚のあるものたちでもかなりのストレスとプレッシャーがかかっていたのがその表情から分かる。任務を達成できるのか、だとしても仲間と生きて帰還できるのか。紆余曲折があったものの、結果として任務は成功して誰も欠けることなく全員が生還することが出来た。
     喜びと解放感からハードデックに集まるやつらのビールを美味しそうに飲む様は楽しそうで、店内に流れる曲に合わせて体は揺れている。さっきまではルースターのピアノと歌声が周囲のコーラスと一緒に聞こえていたが、今ではジュークボックスの味のある音と笑い声が響いている。
     音楽の中心だったルースターであるが、店内を見回してもその姿は見当たらず。だが帰った様子もなくさてどこへ行ったのかと視線を巡らせると、窓の向こうに色鮮やかな布の端が見えた。それはルースターが来ていたアロハシャツの柄で、窓から顔を覗かせると人気の無い店外に置いてあるイスに座って海をのんびり眺めるルースターがいた。
    3306

    BBD_6P

    MOURNINGハン→→←ルス(ハンルス?)
    花吐き(※嘔吐表現あり)両片想い/保護者コヨ/冒頭にハンとモブのからみがある
    ハンは黄色い花ばっか吐くんじゃないか…と思って試しに書いてみました。
    Yellow Belly(en) 臆病者

    2022/9/15 15:34 /fusetter /再掲
    Yellow Belly 1.
     絶好調を標榜して憚らない男がその病を得たのは単なる偶然だった。
     任地から離れた街にある静かなバーのスツールのうえ、グラスの底に残ったわずかなバーボンを楽しみながら帰宅の頃合いを窺っていた彼の背に見知らぬ男が手を触れた。剣呑な気配に振り向くと男は慌てたように手を放し、失礼、とごく簡単に詫びてみせる。失礼した…知った顔だと思ったものだから。
     誰だか知らないが口説かれるつもりはない。笑顔に拒絶を滲ませると、気圧されたように男は身を引いた。本当に違うんです…あなたには、他意も興味もありません。ただ、ただ…死んだ親友に…見えて…。
     それは予想以上に弱い口調だったので、彼は初めて相手の顔を見た。誠実そうな男だ。そして疲れている。清潔なシャツの襟は崩れ、タイを引き抜いた胸元は漂うアルコールに薄っすらと赤らんで、しかし秀でた額は蒼褪めていた。なおも迷惑を詫びつつ去ろうとする男の体がゆらりと傾いだのを思わず抱き留めたのは生まれ持った何かのせいだったが、その腕の中で件の男は口許を押さえ激しくせき込み崩れ落ちる。いささかの切迫感を以て名も知らぬ男に呼びかけ、脱力するからだを抱きなおしたそのとき、真夏の草原のようなにおいが立ち込めた。思わず見おろした足元には、淡い紫のアスターが降り積もっていた。
    3811