nokibi_aki
DONE6後真桐静かな夏の日。
##11##11
「あっついなあ」
エアコン下げるか?と設定温度26度のリモコンを持ち訪ねる。たしかに、梅雨が明けたと言っていたにも関わらず外の雲は重い。今日一日中、今にも雨が降り出しそうな気がしてならず、洗濯物をつぎ晴れた日へと見送った。
「いや、このボロいエアコンがアカンのやと思うわ」
ちらりと見上げれば、年季の入った、ヤニに焼けた色をしているエアコンがカタカタと音を立てていた。全てを捨てて、この世から上手く姿を消した筈であった桐生は、1年と少しの月日を経て真島に捕まった。新しい名前と、戸籍。田舎の寂れた一軒家の権利書。それ全てを持って迎えに来た真島は、少し疲れた顔をしていた。それは、桐生もまた同じであったが。ずっと、その3つを持ち自分を探し続けていたのだとカラカラ笑う真島の笑顔に、逃げる気にもなれず、「読めねえなあ、たんたは」と久しぶりに自然に笑みが溢れた事を覚えている。
1328「あっついなあ」
エアコン下げるか?と設定温度26度のリモコンを持ち訪ねる。たしかに、梅雨が明けたと言っていたにも関わらず外の雲は重い。今日一日中、今にも雨が降り出しそうな気がしてならず、洗濯物をつぎ晴れた日へと見送った。
「いや、このボロいエアコンがアカンのやと思うわ」
ちらりと見上げれば、年季の入った、ヤニに焼けた色をしているエアコンがカタカタと音を立てていた。全てを捨てて、この世から上手く姿を消した筈であった桐生は、1年と少しの月日を経て真島に捕まった。新しい名前と、戸籍。田舎の寂れた一軒家の権利書。それ全てを持って迎えに来た真島は、少し疲れた顔をしていた。それは、桐生もまた同じであったが。ずっと、その3つを持ち自分を探し続けていたのだとカラカラ笑う真島の笑顔に、逃げる気にもなれず、「読めねえなあ、たんたは」と久しぶりに自然に笑みが溢れた事を覚えている。
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DONE夏のお題ss若真桐
ごちそうさま 呼ぶ さくらんぼ
4##4
「冷たいもん食いに行こうや」
と、誘われたジメジメした夜。
日が落ちてもやはり蒸し暑い。そんな日に飯に誘われた。
珍しく喧嘩はええわと言われたのにはびっくりしてしまった。さすがの真島も、まとわりつくような暑さにはバテているのだろうか。確かに、体温は低いし、汗をあまりかかない男だから、体温調節が苦手なのかもしれない。
なんとなしに体温や汗を知っている事が恥ずかしくなり、男の視線から逃れるように空の器に視線を落とした。
真島に連れて来られたのは年季の入った立て看板が味を出している中華そば屋だった。夫婦でやっている店は広くは無いし、椅子だって古めかしく所々破けている。何ヶ月も前の雑誌や、自分が知らないような古い漫画が歯抜けに並んでいる小さな本棚。真島に連れられるのだから想像も出来なかったぶん、少し安心した。馬鹿のように高い店にも連れられた事もある。ドレスコードがあると言うウエイターに「俺はかまへんねん」とズカズカ店内に入るような人だ。古いくらいが丁度いいし、自分もまた、この雰囲気が嫌いでは無かった。
1932「冷たいもん食いに行こうや」
と、誘われたジメジメした夜。
日が落ちてもやはり蒸し暑い。そんな日に飯に誘われた。
珍しく喧嘩はええわと言われたのにはびっくりしてしまった。さすがの真島も、まとわりつくような暑さにはバテているのだろうか。確かに、体温は低いし、汗をあまりかかない男だから、体温調節が苦手なのかもしれない。
なんとなしに体温や汗を知っている事が恥ずかしくなり、男の視線から逃れるように空の器に視線を落とした。
真島に連れて来られたのは年季の入った立て看板が味を出している中華そば屋だった。夫婦でやっている店は広くは無いし、椅子だって古めかしく所々破けている。何ヶ月も前の雑誌や、自分が知らないような古い漫画が歯抜けに並んでいる小さな本棚。真島に連れられるのだから想像も出来なかったぶん、少し安心した。馬鹿のように高い店にも連れられた事もある。ドレスコードがあると言うウエイターに「俺はかまへんねん」とズカズカ店内に入るような人だ。古いくらいが丁度いいし、自分もまた、この雰囲気が嫌いでは無かった。
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DONE夏のお題 0.5真桐目を逸らす 無防備 昼寝
16##16
「エアコン…買って良かった…」
「俺が買うたったんやろが」
無防備に臍を晒しながら気持ちよさそうに目を閉じて寝転ぶ弟分に、ため息が出る。気に入られている自覚が有るのだろう、〝いつも〟のように見つけては声を掛けて喧嘩に誘う。それは、暑かろうが寒かろうが自分には関係無いと、この〝気に入り〟を通り過ぎて別の感情が腹の底から迫り上がってきている相手、桐生一馬を見つけては必ず誘う。喧嘩を断られたら飯。飯は済ませたと言われれば酒。
一度酔った勢いで唇を奪った事があった。その時は、まぁ、ぶん殴られてもいいと思っていたし、「冗談の解らんやつやなぁ」と笑っても良かったし、喧嘩に傾れ込んでも良し。そう思っていた。しかし、その時の反応が想像していたより何百倍も堪らない物だった事が、自分がこの男に惚れていると自覚した瞬間であった。
1516「エアコン…買って良かった…」
「俺が買うたったんやろが」
無防備に臍を晒しながら気持ちよさそうに目を閉じて寝転ぶ弟分に、ため息が出る。気に入られている自覚が有るのだろう、〝いつも〟のように見つけては声を掛けて喧嘩に誘う。それは、暑かろうが寒かろうが自分には関係無いと、この〝気に入り〟を通り過ぎて別の感情が腹の底から迫り上がってきている相手、桐生一馬を見つけては必ず誘う。喧嘩を断られたら飯。飯は済ませたと言われれば酒。
一度酔った勢いで唇を奪った事があった。その時は、まぁ、ぶん殴られてもいいと思っていたし、「冗談の解らんやつやなぁ」と笑っても良かったし、喧嘩に傾れ込んでも良し。そう思っていた。しかし、その時の反応が想像していたより何百倍も堪らない物だった事が、自分がこの男に惚れていると自覚した瞬間であった。
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DONE夏のお題目を瞑る 繋ぐ手 幽霊
梅雨 お化け屋敷にて。##24
(手だってつなげねぇ)
そうらしく無い事を思ってしまったのは夕立の匂いが幼かった頃を思い出させたからだろうか。
おデートしまへんか。だなんて、いつも通り飄々とした態度で言われた。自分たちは言うなれば恋仲なのだろうと思う。例えば「付き合ってください」と告白しただとか「恋人」とか言うはっきりとした物は無かったが。長くあの人と過ごせば嫌でも心に届いてしまう気持ちのような物がある。目線であったり、触れ方であったり。
自分は暑がりなので、このじとりとした日に、外で〝デート〟となると、少しだけ気分が乗りきれずにいるが、誘われれば頷く他は無い。好きなのだから。
しっとりとした手のひらを見つめる。
暑いなか、いつもの気に入りのスーツ。はじめこそ纏ったばかりの赤に少し慣れずにいたが、いまでは自分でも似合っていると思える程に着慣れて来た。
1843(手だってつなげねぇ)
そうらしく無い事を思ってしまったのは夕立の匂いが幼かった頃を思い出させたからだろうか。
おデートしまへんか。だなんて、いつも通り飄々とした態度で言われた。自分たちは言うなれば恋仲なのだろうと思う。例えば「付き合ってください」と告白しただとか「恋人」とか言うはっきりとした物は無かったが。長くあの人と過ごせば嫌でも心に届いてしまう気持ちのような物がある。目線であったり、触れ方であったり。
自分は暑がりなので、このじとりとした日に、外で〝デート〟となると、少しだけ気分が乗りきれずにいるが、誘われれば頷く他は無い。好きなのだから。
しっとりとした手のひらを見つめる。
暑いなか、いつもの気に入りのスーツ。はじめこそ纏ったばかりの赤に少し慣れずにいたが、いまでは自分でも似合っていると思える程に着慣れて来た。
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DONE夏のお題炎天 忘れられない。## 25
沖縄に来て数ヶ月。
それこそはじめは〝あの人〟に〝仕込まれた〟身体が時折じわりと熱を持つ時が有った。
しかし、大切な子供たちの笑顔を見るたび、沖縄の美しい海の青を見るたび自分の身体が、あの人を思う気持ちがとても汚れた物にも感じられ、まるでその熱から逃れるように技と考えないように、意識をしないように努めた。
じりじり
今年の夏は去年より暑い気がする。
肌を焼くような日差しに目を細めてどこまでも青い空を見る。
あの人と繋がる空。あの人ともう一年は会っていない。あの人に変えられた身体も、意識して行われた禁欲に慣れて、すっかり毒が抜けた気がした。あの人への気持ちからも、寂しいと思ってしまう自分からも、身体の鎮火しきれない炎からも逃げる様に会えて連絡をせず、またに掛かってくる電話すら取らなかった。
949沖縄に来て数ヶ月。
それこそはじめは〝あの人〟に〝仕込まれた〟身体が時折じわりと熱を持つ時が有った。
しかし、大切な子供たちの笑顔を見るたび、沖縄の美しい海の青を見るたび自分の身体が、あの人を思う気持ちがとても汚れた物にも感じられ、まるでその熱から逃れるように技と考えないように、意識をしないように努めた。
じりじり
今年の夏は去年より暑い気がする。
肌を焼くような日差しに目を細めてどこまでも青い空を見る。
あの人と繋がる空。あの人ともう一年は会っていない。あの人に変えられた身体も、意識して行われた禁欲に慣れて、すっかり毒が抜けた気がした。あの人への気持ちからも、寂しいと思ってしまう自分からも、身体の鎮火しきれない炎からも逃げる様に会えて連絡をせず、またに掛かってくる電話すら取らなかった。
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DONE夏、ひまわりにて。若島×しょた一馬。
サイダー。##サイダー。
どこまでも続くような高く青い空に透かしてみれば、ひやりと冷えた瓶の中のサイダーがちゃぽりと揺れる。
「お、ラムネやん。ええなあ」
おばさんに貰ったん?と薄く笑うのはきっとこの人、最近よく顔を出してくれるようになったおとこのひと。真島吾朗と言うお兄さんの癖なんだろう。
少し悪い人のような気がする。けれど、とても優しい。そして、タバコの匂いのする人。そして何故かこの真島と言う人の側にいると熱くなって、心臓がドキドキと煩くなる。
今日は雲ひとつ無い、とてもいい天気で。とてもとても暑い日。それなのに、せっかく園長先生である富子さんに冷えたサイダーを貰って一人縁の下で飲もうと思ってたのに。真島が来たらきっとサイダーの味もよくわからなくなってしまうかもしれない。と、まだ小さい手のひらを冷やす瓶をきゅ、と握る。
1066どこまでも続くような高く青い空に透かしてみれば、ひやりと冷えた瓶の中のサイダーがちゃぽりと揺れる。
「お、ラムネやん。ええなあ」
おばさんに貰ったん?と薄く笑うのはきっとこの人、最近よく顔を出してくれるようになったおとこのひと。真島吾朗と言うお兄さんの癖なんだろう。
少し悪い人のような気がする。けれど、とても優しい。そして、タバコの匂いのする人。そして何故かこの真島と言う人の側にいると熱くなって、心臓がドキドキと煩くなる。
今日は雲ひとつ無い、とてもいい天気で。とてもとても暑い日。それなのに、せっかく園長先生である富子さんに冷えたサイダーを貰って一人縁の下で飲もうと思ってたのに。真島が来たらきっとサイダーの味もよくわからなくなってしまうかもしれない。と、まだ小さい手のひらを冷やす瓶をきゅ、と握る。
ぺずぱ@🐍🐉
DONE桐生ちゃん誕生日に2022/6/17にpixiv掲載したものと同じですいつかの六月十七日―――明日六月十七日の関東の天気は、朝から夕方にかけて雨。夜六時以降は次第に天気は回復しますが、東京と神奈川の一部地域は、にわか雨にご注意ください―――
数多の大粒の雫が音を立てて硬いアスファルトの上で弾けては、水溜りの上にいくつもの波紋を広げている。
急遽雨宿りのために駆け寄った雑居ビルのエントランスでは、電球が切れかかっているのか、入居店舗のネオンがジジッ……と音を立てて不規則に点滅していた。
その横で、桐生はぶるぶると首を振って肩や腕についた水滴を払っている。ライトグレーのスラックスの裾には点々と跳ねた泥が付いていた。
そもそも、今日は雨に濡れるつもりなど毛頭無かった。
未だひまわりにいる遥と一緒に暮らすための手続きに、神室町近くまで来たので亜天使に立ち寄ってみたところ、ママから「連日の雨でバイトの子が体調を崩してしまって、人手が足りないから手伝ってほしい」と買い出しを頼まれて外出したのが雨もすっかり止んでいた夕方。
8424数多の大粒の雫が音を立てて硬いアスファルトの上で弾けては、水溜りの上にいくつもの波紋を広げている。
急遽雨宿りのために駆け寄った雑居ビルのエントランスでは、電球が切れかかっているのか、入居店舗のネオンがジジッ……と音を立てて不規則に点滅していた。
その横で、桐生はぶるぶると首を振って肩や腕についた水滴を払っている。ライトグレーのスラックスの裾には点々と跳ねた泥が付いていた。
そもそも、今日は雨に濡れるつもりなど毛頭無かった。
未だひまわりにいる遥と一緒に暮らすための手続きに、神室町近くまで来たので亜天使に立ち寄ってみたところ、ママから「連日の雨でバイトの子が体調を崩してしまって、人手が足りないから手伝ってほしい」と買い出しを頼まれて外出したのが雨もすっかり止んでいた夕方。
Karen_gotoku
DONEどこまじシリーズ第八弾! ゾンビ真島西田は空気を読んで途中で帰りました。
街中を歩いていると遠くからヘビ革ジャケットの姿が目に入る。彼の服はかなり目立つので遠目から見ても真島だとすぐ分かる。
また喧嘩を吹っかけられそうだ、と踵を返そうとしたとき様子がおかしいことに気付いた。
肌の色がいつもと違く、フラフラと覚束ない足取りで歩いていた。もしや、と眺めていると突然真島は桐生に向かって走り出した。
「ちょっと、齧らせてぇや!!!」
赤く光る目をギラギラと輝かせながら薄ら笑みを浮かべて襲ってくる姿はもはや恐怖。いくら恐怖にも耐性がある桐生とはいえ、今回の真島は本当にヤバイと脳が警報を鳴らす。
踵を返すと一目散に逃げた。だが、真島が見逃してくれる筈もなく突如として命を掛けた鬼ごっこが始まる。
2069また喧嘩を吹っかけられそうだ、と踵を返そうとしたとき様子がおかしいことに気付いた。
肌の色がいつもと違く、フラフラと覚束ない足取りで歩いていた。もしや、と眺めていると突然真島は桐生に向かって走り出した。
「ちょっと、齧らせてぇや!!!」
赤く光る目をギラギラと輝かせながら薄ら笑みを浮かべて襲ってくる姿はもはや恐怖。いくら恐怖にも耐性がある桐生とはいえ、今回の真島は本当にヤバイと脳が警報を鳴らす。
踵を返すと一目散に逃げた。だが、真島が見逃してくれる筈もなく突如として命を掛けた鬼ごっこが始まる。
Karen_gotoku
DONEどこまじシリーズ第5弾! みんなのアイドル吾朗ギャグ全振りした結果がこれだよ!!!!!!!!
真島からの電話を受けて桐生はデボラへと向かっていた。以前そこで真島が一昔前のアイドルのようなキラキラした衣装を身に纏い喧嘩ではなく『ブレイキングファイト』と称したくさんの客の前で真島と戦ったことがある。
今回もそれと同じようなものなんだと考え、仕方なく真島に付き合うかと半ば呆れつつも楽しみにしていた。
あの手この手を使って真島は桐生に喧嘩を仕掛けてくる。ある時は警官になったりある時はゾンビ、またある時はキャバ嬢にまでなって桐生に喧嘩を買ってもらおうとする。
「(変な所に金掛けてるよな…)」
ゾンビの時に至ってはどころから金が出てるのか大量のエキストラやメイクアップアーティストを雇っていたりもした。さすがと言うべきか喧嘩に対する執念が半端ではない。
1862今回もそれと同じようなものなんだと考え、仕方なく真島に付き合うかと半ば呆れつつも楽しみにしていた。
あの手この手を使って真島は桐生に喧嘩を仕掛けてくる。ある時は警官になったりある時はゾンビ、またある時はキャバ嬢にまでなって桐生に喧嘩を買ってもらおうとする。
「(変な所に金掛けてるよな…)」
ゾンビの時に至ってはどころから金が出てるのか大量のエキストラやメイクアップアーティストを雇っていたりもした。さすがと言うべきか喧嘩に対する執念が半端ではない。
Karen_gotoku
DONEどこまじシリーズ第四弾! ポリス真島全部兄さんの計画の内……だったりして
「そこの桐生ちゃん!止まりなさい!」
背後から声を掛けられてピクリと反応する。聞き覚えのある声にうんざりしながら振り向くと案の定どこから調達したのか分からない警官の服装に身を包んだ真島が居た。
「武器なんぞ持ち歩いとらんやろな!?」
「毎回毎回よく飽きねぇなぁ…」
半ば呆れながらもため息をつく。桐生の力を取り戻す為に四六時中付き纏うと宣言して実行している目の前の男が不思議でしょうがない。飽きる、という言葉を知らないようだ。
「桐生ちゃんとの喧嘩は楽しいからのぉ。ほれ、つべこべ言わんとはよ見せんかい!」
渋々といった風に腕を上げると真島が近付き体を弄る。ぺたぺたと体中を触られると何だか居心地が悪く身動ぎをするが真島は気に留めず手を動かす。が、武器の類が見つからないと分かると肩を落とした。
1838背後から声を掛けられてピクリと反応する。聞き覚えのある声にうんざりしながら振り向くと案の定どこから調達したのか分からない警官の服装に身を包んだ真島が居た。
「武器なんぞ持ち歩いとらんやろな!?」
「毎回毎回よく飽きねぇなぁ…」
半ば呆れながらもため息をつく。桐生の力を取り戻す為に四六時中付き纏うと宣言して実行している目の前の男が不思議でしょうがない。飽きる、という言葉を知らないようだ。
「桐生ちゃんとの喧嘩は楽しいからのぉ。ほれ、つべこべ言わんとはよ見せんかい!」
渋々といった風に腕を上げると真島が近付き体を弄る。ぺたぺたと体中を触られると何だか居心地が悪く身動ぎをするが真島は気に留めず手を動かす。が、武器の類が見つからないと分かると肩を落とした。