umemhyk
PROGRESS【1話後編プロローグ】銀細工師として修行をする名無しモブがブラッドリーと出会うお話。後編はお師匠の元を離れたその後のお話です。ブラッドリーオンリー「我らがボスに祝福を!2nd」にて限定公開していた序盤部分をパス外しました!夏が終わるまでに書き切れたらいいな…
名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師 後編「立派な衛兵になったら攫いに来てやるよ」
ここに来る前、ブラッドリーという魔法使いからもらった言葉を思い出す。
北との国境を守るこの基地に連れて来られるのは、徴兵制度の対象となる西の国北部に住む私たちのような若者たちだ。
(立派な衛兵って言ってもなあ……)
工房に引きこもってばかりいた私が工場育ちの屈強な男たちに腕っぷしで張り合えるはずもなく、今日も国境防衛隊の補給班員として弾薬作りに勤しんでいた。毎日血の滲むような訓練をして恐ろしい魔物や悪い魔法使いから前線で国境を守っている防衛班に比べたら、立派な衛兵と呼ばれる存在には程遠い。
(私も防衛班に志願すれば、あの人も一度くらいは会いに来てくれるかな?)
「ー」
776ここに来る前、ブラッドリーという魔法使いからもらった言葉を思い出す。
北との国境を守るこの基地に連れて来られるのは、徴兵制度の対象となる西の国北部に住む私たちのような若者たちだ。
(立派な衛兵って言ってもなあ……)
工房に引きこもってばかりいた私が工場育ちの屈強な男たちに腕っぷしで張り合えるはずもなく、今日も国境防衛隊の補給班員として弾薬作りに勤しんでいた。毎日血の滲むような訓練をして恐ろしい魔物や悪い魔法使いから前線で国境を守っている防衛班に比べたら、立派な衛兵と呼ばれる存在には程遠い。
(私も防衛班に志願すれば、あの人も一度くらいは会いに来てくれるかな?)
「ー」
umemhyk
DONE【1話前編】ブラッドリー×モブ(名前無し)の夢小説のようなものを初めての小説として書いてみました。もしもあなたが、違うかたちでブラッドリーに出逢ったら?
真っ白な大地を背に飛ぶ魔法使いへの憧れ。胸の奥にあるそのきらめきを、盗賊は必ず見つけ出す。どこでどんなふうに生まれても、“太陽”はきっとあなたを照らしてくれる…
そんな祈りを込めてこの物語をお届けします。
名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師 〜前編〜カランカラン。
その魔法使いは前触れもなくやって来た。
まるで私の旅立ちを見計らったかのように。
漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。
「ようじじい」
「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」
「あ、お前あん時のちっちゃいのか」
「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」
「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」
お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。
西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
1790その魔法使いは前触れもなくやって来た。
まるで私の旅立ちを見計らったかのように。
漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。
「ようじじい」
「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」
「あ、お前あん時のちっちゃいのか」
「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」
「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」
お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。
西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。