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    てんていのねこ

    @GL_96nin

    かきちらし供養処

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    てんていのねこ

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    今度は天才クラブ鍾離×高級幹部タルタリヤの鍾タル。
    おまけでテウセル。
    あと個人的なノートもつけておきます。

    #パロディ
    parody
    #小説
    novel
    #クロスオーバー
    crossover
    #鍾タル
    zhongchi

    「どこかへ行くのか?」
    天才クラブのメンバー「貴金の神」鍾離は自らの監視者に問いかけた。
    かつて人々が夢見た『真の錬金術』を実現し、それを以て神の一瞥を受けた天才は現在スターピースカンパニーの監視下に置かれている。呼吸のような気軽さで希少金属を造られては星間市場に悪影響が出ると判断されての処置だ。
    「調和セレモニーに招待されてね。俺が行くことになった。」
    監視者…戦略投資部の高級幹部タルタリヤは答える。
    海に沈む夕陽を思わせる橙の髪と深い海の底のような瞳。かつて雪に閉ざされた星に暮らした『海屑の民』の特徴だった。その民も民族抗争で殆どが死亡。タルタリヤは現在確認された唯一と言っていい生き残りであった。
    「俺も行こう。」
    「珍しい。そういうことに興味ないと思ってたのに。」
    「ピノコニーは興味深い星だ。それに、お前と一緒にバカンスなるものも楽しめる。」
    「俺は仕事で行くんだよ、先生。」
    「俺と過ごす時間くらいはあるだろう。それにピノコニーにはマネーベンダーなる玩具があると聞く。学習の成果を見せたい。」
    その場で貴金を量産できてしまう鍾離の金銭感覚は目下の課題であった。浪費癖の割に信用ポイントというものに慣れておらず、タルタリヤが立て替えるのが常だ。鍾離は貨幣経済に慣れてきたことを証明したいのだという。
    「夢の国のおもちゃが出てくる時点でマイナスだよ、まったく…先生の分の部屋とか用意するよ。」
    「お前と同室でもいいが。」
    「一応自分の身分は弁えてよ。先生はヌースの一瞥を受けた本物の天才なんだよ。俺達もファミリーも気を使うさ。」
    「言い方を変えよう。伴侶と同室がいい。」
    「あはは、また冗談?『海屑の民と一緒になれば碌なことにならない』って、知ってるでしょ?
    …ほら、部屋取れたよ。警備も手配済み。流石は大物だね。」
    一瞥もくれずにタルタリヤは告げる。
    それで良かったのかもしれない。
    飢えた鰐の如き鍾離の獰猛な瞳に睨めつけられずに済んだのだから。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    ーーーヤリーロⅥ 下層 機械集落。

    「スヴァローグ、左手を出して。」
    『テウセルの要望を承認。』
    橙の髪と深海のような瞳の少年と一つ目の機械生命体が掌を合わせる。
    この行為の意味をスヴァローグは問うたことがある。
    『よく覚えてはいないけど、もっと小さかった頃に誰かとやった気がするんだ。僕よりおっきくて、柔らかな手で。この赤いストールとナイフも、その人がくれたんだ。』
    幼子が腰に帯びた無骨なナイフ。その鞘には一角を生やした鯨の意匠が施されている。スヴァローグのデータベースに知見が存在しないということは、テウセルを託したナナシビトの巡った星のどこかの文明のものだろう。その偉大なる航跡も今は冷たい土の下だ。

    「鯨が再び空を飛ぶ日が来ますように」
    「永遠を廻る血が穏やかな終焉を迎えますように」
    「騎士の秘密が決して露見しませんように」

    テウセルの言葉に合わせてスヴァローグもまた祈りの言葉を唱える。
    「…へへ。ありがとう、スヴァローグ。」


    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    【覚え書き】
    ○海屑の民
    『空鯨』を信奉する少数民族。橙の髪と深海のような色の瞳が特徴。人好きのする性格をしており、民族のためならば老若男女問わず気高く戦う生粋の戦闘民族。
    カンパニー市場開拓部の策謀により、他民族との衝突でほぼ全滅している。
    公式で確認されている唯一の生存者は現在カンパニーの戦略投資部の高級感部として「貴金の神」の監視を担っている。

    ○非公式の生存者
    海屑の民最期の戦闘の直前、あるナナシビトが少年兵から物心つく前の弟を預けられた。この幼子と共に戦場を脱したナナシビトは、ヤリーロⅥ逗留中に裂界生物の襲撃に遭い死亡。幼子は機械生命体スヴァローグに保護された。
    保護された幼子は赤いストールと一角の鯨の意匠が施されたナイフを所持しており、名をテウセルという。
    テウセルの兄はアヤックスといい、現在海屑の民の最後の生き残りと目されていることをテウセルは知らない。

    ○空鯨
    海屑の民が信奉する正体不明の一角の鯨。
    彼らが行う「左手合わせ」における祈りの言葉についても謎が多いが、ほぼ失伝状態となっている。

    ○「貴金の神」
    天才クラブ#81鍾離に対するあだ名のようなもの。ヌースの一瞥を受けた研究が「真なる錬金術」であり、それによって莫大な富を錬金出来るようになったことに由来する。
    鍾離は己の研究結果をすべて正確に記憶しており、その成果を何かに残しているわけではない。
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    てんていのねこ

    MOURNINGうちのアベンチュリンがすり抜けでジェパードを連れてきて、ゼーバルとリンクスも完凸にしたので「もうこれはランドゥー家のカカワーシャですわ」と思い立って書いた小説です。
    レイチュリでサンジェパ。
    開拓者はどちら前提でも読める。多分。
    あとプーマンの名前は毛玉。かわいい。
    ランドゥー家のカカワーシャ1.
    古のシルバーメインの符号で記された暗号文。その答えを求めてセーバルの工房に足を運んだが、手応えはなかった。
    「だったらジェパードに聞いたらわかるかな?」
    「あははっ、ジェイちゃんに聞くくらいなら自分で解いた方が早いよ!あっ、でもワーちゃんならわかるかも。」
    「ワーちゃん?」
    「二人目の弟。博物館の館長でね。人懐っこくて優しい、いい子だよ。今の時間ならまだ向こうだと思うし、行っておいで。」
    セーバルに言われ、開拓者達は歴史文化博物館へと向かう。受付の女性に目的の人物のことを尋ねると、奥から小柄で細身な男性が姿を現した。
    歳の頃はジェパードと同じくらいだろうか。髪の色こそセーバル達のような金髪だが、顔立ちがあまり似ていない。それに細いフレームの眼鏡の奥から覗くネオンのような瞳が異彩を放っている。
    3111

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    DONEなんとなく続きの主福で、単品でも読めます。ちょっと横浜の遠くまで、紅葉狩りデートをする二人のお話です。全く季節外れですが、どうしても書きたかったので!一緒にクエストで出かけたい人生でした……

    >前作(R18)https://poipiku.com/271957/10379583.html
    秋遠からじ 朝の空気が一段と冷えるようになって、香りからも冬の訪れが近いことをひしひしと感じさせる。晩秋も終わりに近づき、あれほど横浜の街を賑わせていた色とりどりの木々は葉を落とし、寒々とした木肌をなす術もなく晒していた。落ち葉をかく人々だけがただ忙しい。そうして掃き清められた道にいずれ冬が訪れ、雪が全てを覆うだろう。貸布団屋に夏布団を返しに行く道すがら、隠し刀は世の移ろいを新鮮な面持ちで眺めて目を見張った。
    「秋が、終わるんだな」
    至極当然の自然の摂理である。これまでも幾度もの春を、夏を、そして秋やこれから来る冬を延々繰り返し眺めていた。季節は人間がどうこうするものでもなく、ただただ流れてゆく川にも似ている。せいぜい農作物やこんな布団の交換の目安くらいでしか見ておらず、花見の楽しみさえ我関せずであった隠し刀だが、横浜で迎える初めての秋は格別に去り難く、また引き止めたい心地にさせていた。
    9597

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    DONEベレトの眷属にならなかったディミレトの幸せについて考えた、二人の約束についてのお話です。転生を含みます。【約束の果てに 1−2/2】

     肌を刺すような冷気に意識を呼び起こされ、ディミトリは酷く重い瞼をとろとろと持ち上げた。次の節に跨がる夜更けのことである。まだ夢心地であるような、霞がかる天井を暫く見上げ、はたはたと音がする方へと目を向ける。はたはたと、青いカーテンが靡いている。窓が――開いている。そこから満点の星空が見え――しかし綿雪が降る不思議な夜だった。窓から入り込んだ雪が床に白く積もっていた。
     いつからそうしていたのだろう。開け放たれた窓の前に佇むベレトは静かに夜空を見上げている。
     雪明かりに照らされて滑らかな輪郭は陶磁器のように白く、髪の一筋一筋が、エメラルドの瞳がまるで星を孕んだようにキラキラと煌めいている。いつもは黒揃えの衣装を好んで身に着けているが、今夜は雪のような白衣である。群青の裏打ちと金色の刺繍が施された外套は、ディミトリが誂えさせたものだった。
     白衣の衣装はニルヴァーナで陣頭指揮を執っていた頃の――大司教として大聖堂に佇んでいた頃の姿を思い起こさせる。ディミトリは彼が時折見せる神秘的な美しさにたびたび目を奪われることがあった。聖書やステンドグラスに描かれた神 6061