まるで痛みを反芻するかのように、アベンチュリンは手元の端末からメッセージアプリを開き、履歴から彼の名前を選択した。すると数日前に止まった会話が表示され、決別するまでに至る淡白な言葉を眺めながら幾度目かのため息を吐いた。
具体的に大きな出来事があったわけではない。ただ、お互いに多忙な身で生じてしまったズレが、ボタンを掛け違えたかのように徐々に大きな溝となって二人を寸断してしまった。本当に、ただそれだけのことだったのだ。
苛烈な愛情も時間が経てば穏やかな波となり、やがて当たり前になっていく。空気のような存在になっていったとしても、多少の気遣いや触れ合い、わがまま――そういったものを通して保持されるはずの関係は、二人ともがそれを怠ったがために破綻したのだ。
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