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    第8回キスブラワンドロライ
    お題は『年の瀬』でキースの家を大掃除する話。甘々キスブラ

    読み切りですが、続きっぽいものを1日と3日(R18)で書く予定。

    #キスブラ
    kissBra

    「今日こそはこの部屋を片付ける。貴様の家なのだからキリキリ働け」

    年の瀬が差し迫った12月のある晴れた日の朝。
    キースがまだベッドに懐いていると、部屋まで迎えに来たブラッドに首根っこを捕まえられ強引に引きずりだされた。
    ジュニアの「キースが暴君に攫われる~」という声をどこか遠くに聞きながら、車の後部座席に放り込まれる。車には既に掃除道具を積んであったようで、すべての積み込みが完了すると、ブラッドは急いで車を発進させたのだった。

    「まずはゴミを纏めるぞ」
    家に到着早々ブラッドは床に転がった酒瓶をダンボールに入れ宣言どおりに片付けを開始する。次に空き缶を袋に集めようとしたところで、のそのそとキースがキッチンに入ってきた。
    「やる気になったか」
    寝起きというよりもまだ寝ていたキースをそのまま連れ出したのだから、恰好は部屋着のスウェットのままだし、髪もあちこち跳ねてボサボサだ。
    「まずは顔でも洗ってシャキッとしてこい。その間に俺は……」
    ぼーと歩くキースは、無言のままブラッドの背後を通り越し冷蔵庫の扉を開ける。
    水と缶ビールばかりが詰め込まれた庫内が見え、ブラッドは呆れた溜息を尽く。
    「まったく…どうして貴様は……」
    ミネラルウォーターで喉を潤すのだろう。そう思ってキースの行動を何ともなしに見ていたブラッドだったが、直ぐにこめかみに青筋をたてる羽目になった。
    「貴様……ッッ!」
    「……んあ?」
    なんとキースが冷蔵庫から取り出したのは缶ビールだった。
    カシッとプルトップを上げる音に即座に反応したブラッドが、キースの手から缶を奪い取る。
    「何故、今ビールを飲もうとした?!」
    「んん?」
    手の中からなくなった缶の行く先を視線で追い、ブラッドの般若のような顔を見て、キースがぱちぱちと瞬きを繰り返した。
    「ブラッド?」
    今はじめて気づきました、と言わんばかりの驚き顔と、辺りをきょろきょろと見回し「俺の家?」と首を傾げる姿にブラッドの怒りが頂点に達する。
    「き~さ~ま~……」
    「ブ、ブラッドさん??」
    怒りに全身を震わせたブラッドの周りで金属類が静かに浮かび上がっていた。中にはナイフなどの刃物まであるようで、なにやら不穏な気配を漂わせている。
    「ちょ、能力を無闇に使うのは、だめ…だって」
    「………」
    浮かび上がっていただけの物が一斉にキースに方向を定める。
    「おい、まてって……落ち着け、ブラッーーーーッッ!」
    顔を上げたブラッドの瞳がキースを睨みつける。と同時に一斉にキースに向かって物が飛来してきた。
    慌てたキースは動くこともできず、飛んできた物で冷蔵庫に磔にされる。
    最後に中身が入ったままの缶ビールがキースの頭にコツンと当たり、液体を頭から被せられた。
    「冷たッ!」
    「目が覚めただろう。さっさとシャワーを浴びてこい。その後は部屋の掃除だ。先ほど来た時よりも酷い惨状だが、全て貴様が悪い」
    確かに空き缶や空き瓶と紙類は散らかっていたが、こんなにも物が散乱していなかったはずだ。なにせ、使わないのだから散らかるはずもない。
    埃っぽいのは掃除をしないのだから当然だ。だが、リビングやベッドルームはそこまで汚れてはいないはずだ。なにせ、時折ブラッドとしけこんでは使用していたのだから。
    なのに今は、酷く物が散乱している。引き出しも開けられており、その中から飛び出したのだろう。
    「それって、おまえのせい……ひっ!」
    「なにか言ったか?」
    キースの足元に落ちた金属を帯びた物がゆらりと浮かび上がろうとしている様子に、思わず後ずさる。ぷるぷると首を左右に振り、両手で口を押えるキースににっこりと微笑みかけたブラッドが指し示すバスルームに向かって、慌てて走るキースだった。


    シャワーを浴びてリビングに戻ると、ごみを纏め終えたブラッドが、床を拭いているところだった。
    「そこまでしなくてもい~だろ?」
    替えのスウェットのズボンを履き、首からタオルを下げただけのキースは、ブラッドの忙しなく動く姿を見る。
    「これは、先ほど俺が怒りに任せてしでかしたことの後始末だ」
    「いや、それも元はといえば、俺が……」
    「そう思うならば、最初からちゃんとしろ。貴重な休日が無駄になる」
    一心不乱に床を拭きながら、最後の方は早口で言い切るブラッドに、キースは大きく息を吐く。
    「多忙なメンターリーダー様の貴重な休日を、俺ごときに浪費させて申し訳ないな。ったく、頼んでね~ってんだよ」
    文句をいいながら、床に這いつくばるブラッドを立たせる。
    「そのような言い方はないだろう。俺だって好きでこんなことをしているわけではない!」
    「だったらほっとけよ」
    「………せっかく、貴重な休日だ。効率的にお前とゆっくり過ごそうと……」
    「だったら、俺の家なんか……んんん?」
    どうも予想していたこととは少し違う展開になってきた。
    そうキースが考える間も、俯き加減のブラッドが言葉を紡ぐ。

    「この家の掃除と洗濯を終えたら、年末年始の買い出しに行って……」
    だから車で来たのか。

    「買い出しを終えたら、綺麗になった部屋で……鍋でもしようかと…」
    今日も冷えるからな。鍋ならばブラッドの好きな日本の『SAKE』だったか?それで熱燗でも作ってやるか。もちろん自分は熱々の鍋にビールだ。

    「ふかふかのベッドでゆっくり眠れたら、明日からの年末特別警戒任務も捗るだろると……」
    そうか、今夜はここに泊まるのか。

    確かに朝から行動すれば、夕方には全てを終えゆっくりすることができるだろう。しかしブラッドの休日がキースの家の掃除でいいのだろうか?
    「だが、迷惑だったのなら申し訳ない。俺が勝手にそう思っていただけだから……お前の都合も聞かずにすまなかった」
    そう言って顔を上げたブラッドの表情は少し寂しそうで、こんな顔をさせてしまったのは自分が原因だとしたら、キースは自分が赦せない。
    「せっかくの休日だ。お前もゆっくり過ごしてくれ。俺は帰……」
    「俺一人、こんなところに置いていくのか?」
    身を翻そうとするブラッドの肩を両手で掴み、キースは極力優しい声で非難めいた言葉を紡ぐ。
    「……すまない。ここまで連れてきておいて無責任だが。一人で帰ってくれないか?」
    「お前はどうするんだよ」
    「俺は……少々頭を冷やしてからタワーに帰ることにする」
    背中を向けたままのブラッドに腕を回し、肩を抱き締める。
    「俺を一人にするのか?」
    ビクリと肩が動きブラッドが項垂れる。顕になったうなじに唇を押し付けながら、キースはブラッドの体をぎゅっと抱き締める。
    「お前の効率的な計画を狂わせてわるかった。ちゃんと掃除する。俺に指示をくれ」
    「………」
    「終わったら買い出しに行こう。今夜はなんの鍋をするんだ?」
    「………キムチ鍋だ」
    「さすが俺のブラッドだ~ビールに最高に合う♪ だったら、晩飯まで我慢すりゃもっと旨く飲めるだろうな」
    調子よく返事を返すキースの言葉に、ブラッドの落ちていた肩が少しずつ上がってくる。やがて普段通りに背筋をピンと伸ばしたブラッドが、キースの腕の中でくるりと向きを変えた。
    「今年最後の休日だ」
    「あぁそうだな」
    「効率的にサクサク進めるぞ」
    「わかった。お楽しみは夜まで取っておくさ」
    隠し切れない喜びがブラッドの瞳から伺えた。その様子に思わず口づけたくなるのをぐっと我慢して、キースは両腕を離した。しかし離された腕は今度はブラッドに捉えられ、ぐいと掴んだブラッドがキースを引き寄せる。
    二人の距離が再び縮まった。
    「………今はこれで我慢しろ」
    柔らかいものが唇に触れ、濡れた感触とちゅっと、小さな音を立てすぐに離れる。
    「………ッ」
    キースが驚いている間に手の届かない距離まで離れたブラッドが、悪戯な瞳でキースを見てから腕まくりをする。
    「さあ、日のあるうちに布団を干すぞ」
    「~~~くそっ、俺は風呂掃除をしてくるからな~」
    ブラッドの思いがけない行動にキースはじわじわと顔が熱くなるのがわかる。悔しいから、こんな脂下がった、だらしない顔は見せたくない。
    綺麗にした風呂に絶対一緒に入ると決意し、そのためならピカピカに磨いてやろうじゃないかと、キースはいそいそとバスルームへ向かう。
    「しっかりな……」
    ふっと口元を緩めたブラッドが、自発的に動き出したキースの少し丸まった背中を見つめる。
    その瞳が優しい色を湛えていることに、背中を向けているキースは気が付かないのだった。

    END
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    みぃ☆

    DONEご飯を食べるキスブラwebオンリーイベント『ふたりきりの四つ星レストラン』開催おめでとうございます!!
    沢山のキスブラで幸せいっぱいの空間。参加出来てとても嬉しいです♪

    今回はテーマどおり「ごはんを食べるキスブラ」です。
    お付き合いしているキスブラが同棲を始めました。そんな二人の朝の一コマ……。
    幸せな二人の『世界一の朝食』をお裾分けいたします♪
    世界一の朝ごはんブラッド・ビームスの朝は、寝起きの空腹を刺激する香りから始まる―とても幸せな目覚めだ。

    今朝はコーヒーの香ばしい匂いが鼻腔をくすぐり、朝食は洋食だと知る。これが出汁の香りが漂う朝ならば和食だ。
    最近、朝食が和食か洋食かどちらになるか想像できるようになってしまったのだが、その理由を語るのは少しだけ恥ずかしい。
    「今日は……予想が外れたな」
     和食だと思っていたのだがと、小首を傾げる仕種は寝起きのせいもあり少々無防備だ。だが、こんなブラッドの表情を見ることができるのは、一緒に暮らしているキースだけなのだから引き締める必要はどこにもない。
     ふわふわのブランケットに顔を埋めれば、二人分の混じり合った匂いが香り、いつまでもぬくぬくと埋もれていたくなる。
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    TRAINING次の南箱イベはクリスマスかな~~と思ってたらなんだか違ってそうなので、やだやだサウスのみんながクリスマスジュエリーのCMしてくれなきゃやだやだの気持ちと勢いだけで書きました。箱イベ楽しみです。
    南(主にアキラ君)に夢を見ていますが、CP要素はうっすらとしたキス→ブラのみです。
    ※結婚はしてないです
    『ブラッド・ビームス 結婚』 言い訳をさせてくれ。
    「あっ、これサウスのやつらの出てる広告じゃねーか」
     ジュニアのそんな声を聞いて、そういえばウィンタースポーツウェアのブランドの広告に起用されたとかそんなことをブラッドから聞いた気がするな。とオレは隣を歩くお子様に無理矢理制定された禁煙日のせいで寂しい唇に触れながら、つられるように視線を上げた。
     言い訳をさせてくれ。
     もう10年以上ヒーローなんてものをやっていれば、そりゃあいろんな宣伝塔にされた経験があるし、LOMでどう考えても年齢や体格にそぐわないようなトンチキ衣装を着せられた経験だってある。最初の方こそいちいち照れたり恥ずかしがったり躊躇ったりしていたが、もはやなるようになれ、好きなようにしてくれのスタンスだ、下手に抵抗しない方が仕事が早く終わるならそれに越したことはない。
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