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    カピ(あね)が掘った墓穴

    @kapitan_rgg

    Twitter(現X)での妄言妄想の永代供養塔です
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    ちょはん 質問編
    たまにはかわいいやつを書きたかったので練習したやつです

    #趙ハン

    ちょはん 質問編「そういえば、素の私ってどんな感じなんですかね」
     なんとも哲学的な話を振ってきたな、と酒をテーブルに置いた。いつものピアノ席でハン・ジュンギと情報交換をしつつ、いつも通り酒を飲んでいた。仕事の話、仕事の話、ソンヒの話。そして、たまに春日くんの話。新規性のある話題は大体春日くん経由の出来事である。
    「いえね、趙。先日春日さんに、たまにはハン・ジュンギの仮面を脱いで素の自分になってもいいんじゃないか〜って言われましてね」
     人馴れすると案外お喋りな奴なのである。脈絡のない突飛なフリではあるが、春日くんと何の話をしているのか気になるところではあった。心内は少々複雑ではあるが、とりあえず最後まで話を聞いてみるか、と相槌をうつ。
    「その時はそういう考え方もあるのかと思いまして、それもいいですねなんて返事をしたんです。それでですね、」
     良かった。仮面を脱いで~を言葉通りに受け取らなくて。こいつならその日の気分でヒットマンジョークとか言って、ナイフで顔の皮を自分で剥ぎかねない。
    「よくよく考えると、私これでも影武者稼業長いんですよ。ハン・ジュンギの仮面……これ仮面なんですかね」
    「いや、顔だねぇ」
     比喩表現とは分かってはいるが、こいつの場合本人そっくりに整形しているせいもあって、あながち仮面という表現が的外れではないのである。仲間の誰一人として元の顔を知らないし、もしかしたら本人もちょっと忘れているんじゃないかと思っている。
    「そんな事は分かってますよ!そうじゃなくて、確かにハン・ジュンギらしく振る舞う心がけは欠かしたことはありません」
     いや、実物のハン・ジュンギを知らないからなぁと言いたいところだが、事あるごとにプレゼンされているので何となくイメージは掴めている。堂々としていて、風格があって、ここぞと言う時のスター性がある。稀代のカリスマというやつだ。俺の中の「ジングォン派頭目ハン・ジュンギ」は、緩急をつけた物腰と優雅な立ち振る舞いをするマフィアのボスというイメージである。目の前の、ハン・ジュンギとはかなり違う。
    「トレーニングも続けてますし、語彙も磨いています。ハン・ジュンギは確かに私とは比べ物にならないくらい品がありましたし、教養豊かな方でした。語学も堪能でよく学ばせていただきました」
     品か……。品ね。結構下世話な話に乗るからなこいつ。品か……。
    「ジングォン派にいた時よりは、ハン・ジュンギらしさには自信があります。だからこそ、自分らしさとは何なのか引っかかってまして」
     自信があるのか。おそらく、ハン・ジュンギが今の言葉を聞いたら抱腹絶倒でサバイバーの床を転がり回っているような気がする。本人は酒が入っているとはいえ———俺のボトルで飲んでいるのだが———真剣そうなので、話に乗るかと舌先まで出かかった冷やかしを酒と一緒に喉に流し込んだ。
    「ちょっとぉ!?趙、私の話聞いてます?」
    「聞いてる聞いてる」
    「それ、全然聞いてない人の返事ですよね」
     少し目が据わっているうえに、いつの間にかロックグラスは空だった。
    「それよりグラス、寄越しなよ」
     自分のボトルから適当に指三本を目安に注ぐ。いつも以上にやかましいので、思考が物騒な方向に行っても修正できそうだ。喋るだけ喋らせて満足させた方が良いだろう。
    「ありがとうございます。ご馳走になります」
     もう上下関係などないのに律儀に口をつけるのは、彼らしさなの現れなのだが本人は気づいていないらしい。人間、そんなものである。
    「まぁ、そう言うけどねハンくん。俺、君のハン・ジュンギのこと君の話でしか知らないからさ、逆に今話しているこれが素なんじゃないかって思ってるけど。それとは違うわけ?」
    「そういうもの……なんですか?」
     彼は二口目も飲んで、不思議そうに首を傾げた。
    「そうだよ。俺が今まで見てたお前が余所行き用だったって事は分かったけど、ハン・ジュンギらしいかって聞かれると……よく分かんないかなぁ……」
     ソンヒの後ろですまし顔で立っていたり、所作がウチの執事よりしっかりしているかと思えば、マンハントが大好き。物騒で扱いづらい奴かと思っていたが、一緒に行動してみるとただ社会経験が極端に偏っているだけだった。力やカリスマ性で人を集めるというよりは、一種のマスコット的な集客性で周りがほっとけなくなって、つい構ってしまう感じだろうか。
    「余所行き……ですか。余所行きのハン・ジュンギ……」
    「違うっての。俺が知ってたハンくんは仕事用の余所行きジュンギくんだったって言ってんの」
    「余所行きジュンギくん……」
    「あ~もう、話逸れちゃったな。で、なんだっけ?素の……」
     そう、と彼の目がカッと開く。多分、彼のハン・ジュンギは表情筋をそこまで使わない。
    「素の私です。素の私!どんな感じなんですかね。素の私って」
     いや、素がこれだろう。俺のイマジナリー・ジングォン派頭目ハン・ジュンギは、喧しくないし、急に大きな声を出さないし、かなりの負けず嫌い……そこは同じか。とにかく、酒が入った程度で「素の私はどんな感じですか〜?」とクダを巻く男ではない。絶対に。確実に。
    「もう、さっきからどうして黙っているんですか?私の話、聞いてます!?」
     あと、絡み酒はしない。絶対にしない。
    「ねぇ、ハンくん。この話、今日解決しないとダメ?」
    「ダメに決まっているでしょう!結論の先送りは良い結果をうみません。さぁ、趙。素の私とは、どのような人格なんでしょうか」
     めんどくさい。ただ、ひたすらにめんどくさい。今のそれがお前の素だよと言ったところで、納得するとは思えない。それも人格ときたもんだ。どの文脈の人格だ?気質から話せって事か?落ち着きがないとか喧しいとか回りくどいとか、ハラスメントで訴えられるのはごめんだ。
    「……分かった。1ヶ月、時間くれるかな。1ヶ月かけてまとめるから。回答は1ヶ月後ということで」
    「……分かりました。1ヶ月後、ですね。回答の程、お待ちしております。ところで回答期限は時間単位での1ヶ月ですか?それとも日にち単位での1ヶ月ですか?」
    「お前の好きな方でいいよ」
     そこまで言って、気が付いた。
    「ちょっと待って、素のお前の話がどうこう春日くんと話してたってことは、本名って」
    「言いましたけど?何か問題が?」
     なんか、ムカついてきたなこれ。こいつの本名、知ってるけど教えてはもらってはない。もしかしたら、言葉より体で分からせた方が早いのではないだろうか。隣で何か喋っている。俺はそれを全部無視して1ヶ月かけてどう分からせるか、そのヒントを探すためにスマートフォンの検索窓をタップした。
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    カピ(あね)が掘った墓穴

    DONEちょはん 初めての年越し(後編)
    仕事は多分さぼりました。
    施設の名前を調べるために7の攻略本を読んでました。つまり年越しイベントのスポンサーは一番HDなのでは。さすが横浜の第4勢力!
    試験が終わったら、前後編ちゃんと整理していい感じに仕上げたい。
    ちょはん 初めての年越し(後編) 神代駅の裏のコンビニで肉まんを2個とビールを二本。袋は別々にしてもらった。
     今年も恒例の年越しの花火と除夜の汽笛があるとかで、浜北公園に向かう人たちの流れに逆らって歩く。馬車街道まで出ると、ギャラクシーランドとREDパークへ向かう人波にあたる。それに紛れて流れの通りに進めば、いつもより明かりが少ないバッティングセンターが見えてきた。
     ギャラクシーランドでカウントダウンイベントがあるらしい。まだ観覧車はいつも通りで、代り映えしない。そうだ今は何時だっただろうと、画面を開くと数字が23時30分に変わった。
     サッカーコート横の自動販売機でたむろする若者たちを横目に、趙のもとへ足を速める。
     施設の明かりが落ちた、バッティングセンターの建物の裏。絶妙にギャラクシーランドもREDパークも見えない趙総帥のお気に入りスポットは静かで穴場だった。ここに監視カメラは無い。
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    カピ(あね)が掘った墓穴

    MOURNING趙ハンです。クリスマスの話が間に合わなかったのでクリスマス1週間前の話のSSを上げます。当日何があったのかは補完願います。
    ちょはん 12月18日、深夜 入り口のシャッターを下ろして、外に出ると吐く息が白くなった。うみねこ座のレイトショーも終わって、通りは見慣れた輩が行き来している。彼らはすれ違う都度頭を下げてくるので、右手を半分あげてやりすごす。
     12月は忙しい。神室町に殴り込みに行ったのは昨年の今頃だっただろうか。昨年も忙しかったが、今年はかなり種類の違う忙しさである。
     異人町のために方々を走り回った2019年とは打って変わって、店と自宅の往復で一日を終える日が続いている。これまで『横浜流氓御用達のちょっと怪しげでスリルのある路地裏の店』から、『うみねこ座近くの知る人ぞ知る町中華』にイメージチェンジを行った効果が出てきたようで、一般のお客が増えたのだ。春日や足立のおかげで口コミで評判が広がって、流氓の若い奴らに「佑天飯店でもめごとを起こしたら……」と釘を刺したことも良かったようだ。もちろん今も流氓の若手に料理を振舞っているので、『ちょっと怪しげでスリルのある路地裏の店』という事実は変わらないのだが。
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