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    a_y100i7

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    本誌ネタ。10/16にうっかり出たら笑って欲しい反社のワカと真一郎。真ちゃん→真呼びになったのは真一郎のこと抱いたからだと思ってるんですけどどう?????

    #ワカ真

    本誌のワカ真『黒龍(ブラックドラゴン)は解散する!』
     日本一の暴走族、初代黒龍はその日終りを迎え伝説となった。総長の男はかねてより本人の夢であったバイク屋を営むためにカタギとなって店を構えるために日々別の場所で仕事をしながら学んでいる。十代の頃の青春の1ページ、きれいな思い出にしたかったと、あの頃の若狭はそう思っていたはずだったのだ。

     真一郎の弟、万次郎が階段から落ちて植物状態になってしまった。兄の真一郎は仕事をやめ、万次郎の為に介護の資格を取る為勉強をしながら病院で働いている。寝る間も惜しんで、ただ弟のために。そんな中で、保護者だった祖父が他界。若くして大黒柱となってしまった真一郎の元にやってくるのは救いでもなんでもなかった。
    『神の力は治らないと言われていた人まで治しました!』
    『このユモ療法は最近発見された方法で──』
     真一郎にやってくる人々は、弟を哀れみながら、弟をどうにか救いたい兄の真一郎を憐れむように甘い言葉をささやく。何かをするために、まず金が必要だった。最初に青春を一緒に駆け抜けたバブを手放した。祖父が亡くなったので、維持費のかかる道場と土地を売る。真一郎の稼ぎではどうにもならない。ローンを組むが、それにも限界がある。万次郎の医療費も安いものではない。

    『……真兄、あの』
    『これなら万次郎も助かるかもしれない。すごい先生がくるんだそうだ。その人は気功をついて体が忘れていた活動を思い出すように力を注ぎ込んで』
    『真兄!!』
     エマの言葉は、真一郎には届かなかった。もう、真一郎には何かに縋る以外の方法がないのだとエマは思った。縋るために、エマという存在は邪魔かもしれない。少なくとも、一人分の生活費が浮くかもしれない。エマは、荷物を持って出ていってしまった。真一郎から久々に連絡を受けて、若狭だけでなく武臣や慶三も探したもののエマの行方はしれぬまま。いよいよ二人だけ担ってしまった家。万次郎は自宅療養をしていたが、それはあんに先が長くないと言われているようなものであった。それでも真一郎は諦めきれず、あらゆるものに手を出し続ける。


    「真ちゃん、こっち」
     ラウンジの隅、明らかに人気を避けた席で派手な髪型の男が手をあげる。黒服に案内されるると、真一郎は「ワカ」と男の名を呼ぶ。
    「例の件、潰しといたワ」
    「あぁ……悪いな」
     別に、と告げると黒服に酒を持ってくるように伝える。暴走族なんてものをやっていれば、裏の世界から声がかかる事がある。初代黒龍の特攻隊長、関東を二分した煌道連合の総大将なんて肩書はそれなりの箔がつくものだ。特に金肉待っているわけでもないし、通っていたジムでトレーナーという未来も悪くはないと若狭は思っていた。万次郎の件があるまでは。真一郎が疲弊していく姿をみながら自分にはどうにも出来ない事実が胸を痛める。

    『お前ならうちの組でもいいとこに行けるだろうよ。どうだ?』
     金もオンナも好き放題だぞ。という男。オンナはどうでもいいが、金という言葉に動きが止まる。別に、若狭自身が生活するにあたって困っているわけではない。かといって、自由にできる額が多いわけではない。
     特別やりたいことがあったわけではない若狭は、気付けば組でそれなりのポストについていた。人を従える力にその派手な見た目は充分貫禄がある。
     先ずは真一郎が手を出した新興宗教とやらを調べ、ただの詐欺団体だと確信すると適当な理由をつけて組織を壊滅させる。幹部をオンナでたらしこんで、組織の金をこちらに流して真一郎から奪われた金を取り戻す。それを真一郎に渡しても真一郎は受け取らなかったが、万次郎に使ってやれと言えば渋々受けとった。

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    fukuske5050

    MOURNING本誌済み
    真とワカとマ
    ※マは本誌の病状です さすったりしてます こういうことをしてよいのか悪いのか、調べていません
     顔色が悪いのは真一郎の方だ。僅かに自由になる時間さえも、病室でひとり横たわり、管に繋がれたまま意識のない弟の傍らから離れない。ただ生き永らえているだけのそれから離れない。医療も奇跡もまやかしも、真の最愛にできることはそれだけしかないからだ。
     万次郎のため。そのために真一郎の生活は費やされ自分のための時間は皆無に等しい。食べることも、眠ることも惜しいのだ。怖いのだ。少しでも目を離した隙に呼吸を漏らした隙に、必死に抱えた腕の中からサラサラと流れ落ち、万次郎が失われていく。
     蝕まれているのは真一郎の方だ。若狭にはそう思えてならなかった。

     職務の休憩時間に万次郎を見舞う真一郎に合わせて万次郎の病室を訪れる。それは万次郎のためではない。真一郎のためだ。若狭にできるのはその程度でしかない。訪れた若狭の呼び掛けに答えた真の声は枯れて夜明けのカラスのようだった。ギャアと鳴いてみせるのは威嚇なのか懇願なのかはわからない。せめて水を、そう思って席を外し、帰ってきた病室で見たものは。
    1853