夕方の駅前は人々であふれかえって、今日という一日のエンドロールのように流れていく。その人ごみの一部だったあなたは、やっとの思いでその群れから離れ、人通りもまばらな道を少し速度を落として歩いた。
夕焼けに染まった街並みを見て、あなたは一人の少年のことを懐かしむ。
夢の中の不思議な友人、ランダル。今思えば、彼の髪の色は錆びた鉄みたいだなんて言い表すより、この夕日の色に例えたほうがぴったりの表現だったように思う。天真爛漫で、奔放で、素直。自分の夢が作り出した彼の性格は、きっと自分も持っているはずのものだと、あなたは何度も勇気付けられてきた。
彼と過ごした日々はそう長くはなかったけれど、夢の中で、生まれて初めてされた可愛らしいプロポーズのことを思い返す度、あなたはいつだってやさしい気持ちになった。この記憶さえあれば、この先のどんな辛い出来事も乗り越えられるような気がする――
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