「たくさん」「ひとりじめ」「照れ隠し」
「……甘い」
パウステーションから下を見下ろしてズーマが呟く。視線の先には昨日恋人同士になったばかりの二人――チェイスとマーシャルが二人で笑い合っていた。ビークルを洗いながら話しているだけだけど、二人を囲む空気は側から見ても分かるほどに甘い。
「うまくいって良かったよね。マーシャルは本当に頑張ったであります」
「やっとくっついたねって感じだよ。どっちも奥手だから仕方ないけどね」
苦笑いをしつつも二人に向ける視線は優しい。太陽の光を浴びて、少し色が淡くなった柔らかい瞳に目が離せなくなってしまった。ずっと眺めてしまっていたところ、ズーマが振り返ってきて視線が合う。
「そういえば僕ロッキーからチョコもらってない」
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