あなたが好きだと言ったもの。あなたが少し眠るだけと、目を閉じたあの夜から一体何日が過ぎたのだろう。
気がつけば新選組は、私を残してどこかへ行ってしまったようだった。
江戸へ行ったのか、大坂へ行ったのか、土方さんはいちいち連絡を寄越してくれていたのにも関わらず私の心はあの夜から何も受け付けない。
ただ、ただ、朝から日が沈むまで空を眺めていた。
何も考えられない、感じない。
「…い、おーい。」
だから、その時いま一番聞きたかった声を耳にした時すらすぐには気づかなかった。
「なぁ、って。悪かったよ。お前を一人にしちまってさ、」
「藤堂さ…っ」
「あぁ。」
目の前には、もう二度と言葉をかわすこともないだろうと思っていた人が立っている。
私の声に泣きそうな笑みを浮かべながら返事をしてくれる。
「…なん…で。」
「お前に、会いたくてさ。で、そんなお前は何してたんだ」
「…日が、沈むのを見ていました。」
いつか、藤堂さんが一緒に見ようって言っていたのでと付け加えると、藤堂さんは目を丸くして私を見つめ、それからすぐに笑顔になった。
「…そうか、お前は俺の好きなものを理解しようとしてくれてたんだな。」
待たせて悪かった、そう言って強く強く私を抱きしめる藤堂さんの少し震えていた。