きみに捧ぐ杯 ビャルネ・ヨーランソンはパイロットだった。それは彼がまだ生身の体を有していて、上官を殴り飛ばす前で、相棒たるタイタンがいたころの話だ。
惑星モルモーに存在するIMCの調査研究施設、その防衛部門タイタン部隊にはとある一体のリージョンが所属している。コールサインを〈スコール〉という。スコールは問題を抱えていた。タイタン自身にというよりも、そのパイロットに。
《パイロット、起きてください》
コクピットのシートにどうにかずり落ちない姿勢で座り、口を開けて眠るパイロット。その様子を内部カメラで観察しつつ、スコールは目覚ましのアラームを鳴らし続けていた。これで五回目のスヌーズになる。整備担当のロボット〈[[rb:MRVN > マーヴィン]]〉に何度かつついたり肩をゆすったりさせてみたものの、やはり効果はなかった。
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