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    みしま

    @mshmam323

    書いたもの倉庫

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    みしま

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    いつかどこかの話。老兵と老整備士と孫。1hクオリティなので誤字脱字とかあります。

    #タイタンフォール2
    titanfall2
    #titanfall2

    いつかの夏 鳴り続けていた蝉の音も蛙の合唱もぴたりと止み、晴れ渡った空には黒々とした船が浮かんでいた。ニュースなんかで見たことのある、いわゆる戦艦ってやつだと思う。
     こんなド田舎の、農地しかないような星に何の用だろう。そう思っていると、じいちゃんがもの凄い形相で駆け寄ってきた。
    「じいちゃん、あの船何しに来たの?」
    「いいから、ばあちゃん呼んで来い!」
    「え、なんで?」
    「話はあとだ、早く行け!」
     じいちゃんの剣幕に押されて、おれはすぐさま駆けだした。後ろからスピーカーか何かで『この開拓地はインターステラー・マニファクチュアリング・コーポレーションの管轄地となる。管理担当者の指示に従うのであれば……』とかナントカ言っているが、よくわからない。
     あぜ道を走っていると、重い足音と駆動音が追ってきた。振り返ると、うちで使ってる農作業用のタイタン〈コーテツ〉の姿があった。バカでかい手がおれを拾い上げ、胸元に抱える。
    「コーテツ、じいちゃんがばあちゃん呼んで来いって。何なの?」
    《大丈夫です。あなたは地下倉庫へ退避を》
     地下倉庫の堆肥? そんなのあったかな。それを聞き返す間もなく家に到着し、おれは地面に降ろされた。縁側から家の中に駆け込んで、ばあちゃんを探す。
    「ばあちゃん、どこ?」
    「こっちだよ!」
     声がしたのは裏手の土間の方からだ。そちらへ行くと、ばあちゃんが漬物樽をどかして床下から大きな箱を引っ張り出していた。傷だらけで古いことはわかるけど、埃一つ被っていない。ばあちゃんが蓋のキーパッドに数字を打ち込むと、ピッと音がして箱の留め具が外れた。中に入っていたのは、短い筒みたいな機械がついたベルトと、大きな銃と小さい銃、変な形のナイフ、布とか、色々。
    「……ばあちゃん、じいちゃんが呼んでる」
    「わかってるよ。大丈夫」
    「それ、なあに?」
    「これかい? まあ、保険かねえ……」
     ばあちゃんは長い溜息をついてから、中身を取り出して身に着け始めた。小さいポーチがたくさんついたベストを着て、プロテクターを胸や手足に、ベルトを腰に、ナイフと小さい銃を胸元にしまって、最後に大きな銃を手に取る。レバーを引いて、上にくっついてるレンズみたいなところをのぞき込む。それはいつもやってる出荷用の野菜の下処理みたいに手馴れてて、でも見たことのないばあちゃんの眼差しに、おれはちょっと怖くなった。
     ばあちゃんはおれの顔を見て、にっこりと笑った。
    「大丈夫だよ、ダイチ。さあ、行こうか」
     ばあちゃんはでかい銃を背負うと、おれの手を引いて外へ連れ出した。
     焼けるような日差しが照り付ける中、庭にはコーテツが立っていて、納屋からはじいちゃんが荷車を引いて出て来るところだった。荷台に乗っているのは、防水シートがかけられた農耕機械。じいちゃんがときどきいじっていたのを知っているけど、壊れて動かないんだって聞いていた。
     じいちゃんはばあちゃんと目を合わせるなり、そっと視線を落とした。
    「すまんな」
    「謝ることじゃないだろ。こういうときのために残しておいたんだから」
     じいちゃんは小さくうなずいて、腰に下げていた丸いものをばあちゃんに差し出した。たぶんヘルメットだ。ばあちゃんは両手でそれを受け取って、細かな傷を辿るように撫でた。顔に浮かぶ笑みはどこか苦しそうだ。
     おれはばあちゃんの袖を引っ張った。「ばあちゃん、怖いよ」
    「大丈夫、何もこわいことなんてないさ。ちょっと騒がしくなるかもしれないけど、台風よりマシさね」
     グローブに包まれた手がおれの頭を撫でる。それからコーテツを振り返って、力強くうなずいた。コーテツは膝をついて手を差し出し、ハッチを開いた。
    「もうあんたの手は、泥でしか汚さないつもりだったのに」
    《任務は現在も継続中です。わたしはこの土地を守ります》
    「そうだね、コーテツ。心強いよ」
     ばあちゃんはコーテツの手に脚をかけると、弾むような足取りでコクピットへと乗り込んだ。コーテツが立ちあがり、荷台から農耕機械――改めて見ると、バカでっかい銃以外の何ものでもない――を持ち上げる。落ちたシートがつむじ風に吹き飛んでいった。
    「じゃあ、ダイチを頼んだよ」
    「了解。グッドラック」
     じいちゃんが親指を立てる。よくわからないけど、おれもいつもやるみたいに親指を立てた。ばあちゃんも親指を立てて返し、ヘルメットをかぶった。ハッチが閉まる瞬間、コーテツが言った。
    《おかえりなさい、パイロット》
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    みしま

    DONEiさん(@220_i_284)よりエアスケブ「クーパーからしょっちゅう〝かわいいやつ〟と言われるので自分のことを〝かわいい〟と思っているBT」の話。
    ※いつもどおり独自設定解釈過多。ライフルマンたちの名前はビーコンステージに登場するキャラから拝借。タイトルは海兵隊の『ライフルマンの誓い』より。
    This is my rifle. マテオ・バウティスタ二等ライフルマンは、タイタンが嫌いだ。
     もちろん、その能力や有用性にケチをつける気はないし、頼れる仲間だという認識は揺るがない。ただ、個人的な理由で嫌っているのだ。
     バウティスタの家族はほとんどが軍関係者だ。かつてはいち開拓民であったが、タイタン戦争勃発を期に戦場に立ち、続くフロンティア戦争でもIMCと戦い続けている。尊敬する祖父はタイタンのパイロットとして戦死し、母は厨房で、そのパートナーは医療部門でミリシアへ貢献し続けている。年若い弟もまた、訓練所でしごきを受けている最中だ。それも、パイロットを目指して。
     タイタンはパイロットを得てこそ、戦場でその真価を発揮する。味方であれば士気を上げ、敵となれば恐怖の対象と化す。戦局を変える、デウスエクスマキナにも匹敵する力の象徴。
    7344

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    みしま

    DONEiさん(@220_i_284 )のスコーチ&パルスさんを元に書かせていただきました。いつも通り独自設定&解釈多々。『残り火の膚に』https://poipiku.com/4433645/7767604.htmlは前日譚的なものとなります。
    シグナルレッドの装いを 息を吸う。息を吐く。熱が気道を炙り、何かが焦げるようなきつい臭いが鼻を突く。
     死体。揺らめく炎。その炎に、炎よりも鮮烈な赤が照り返す。
     聴覚が不明瞭な音を拾う。いや、音じゃない。声か?

     不意に、漂っていた意識が引っ張られるように急浮上した。白い光が目の前で明滅している。次第に声がはっきりとしてきて、意味の理解できる言葉だと気づく。
    「パイロット・エンバー、聞こえますか?」
     光がそれると、陽性残像のちらつく人物を視覚が捉えた。IMCのロゴマークがついた白衣を着ている。名札に記されているのは『Dr.ジャンセン』。
     周囲にあるのはコンピュータ端末の置かれたデスクと金属製の棚、隅のパーティション、そして自身が寝ているストレッチャー。少ない要素で構成された飾り気のない小部屋だ。四方を囲む白い壁の一片はガラスになっており、ブラインドカーテンの隙間から白衣や作業着姿の人々、作業用ロボットが行き来しているのが垣間見える。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑥
    TF2で「デイビスとドロズのおちゃらけ日常風景」
    おちゃらけ感薄めになってしまいました。ラストリゾートのロゴによせて。※いつもどおり独自設定&解釈過多。独立に至るまでの話。デイビスは元IMC、ドロズは元ミリシアの過去を捏造しています。
    「今日のメニュー変更だって」
    「えっ、"仲良し部屋"? 誰がやらかしたんだ」
    「にぎやかしコンビ。デイビスがドロズを殴ったって」
    「どっちの手で?」
    「そりゃ折れてない方の……」
    「違うよ、腕やったのはドロズ。デイビスは脚」
    「やだ、何してんのよ。でドロズは? やり返したの?」
    「おれはドロズが先に手を出したって聞いたぞ。あれ、逆だっけ?」
    「何にせよ、ボスはカンカンだろうな」
    「まあ、今回の件はなあ……」

     そんな話が、6−4の仲間内で交わされていた。
     6−4は傭兵部隊であり、フリーランスのパイロットから成る民間組織だ。組織として最低限の規則を別とすれば、軍規というものはない。従って営倉もない。しかし我の強い傭兵たちのことだ、手狭な艦内で、しかも腕っぷしも強い連中が集まっているとくれば小競り合いはしょっちゅうだった。そこで営倉代わりに使われているのが冷凍室だ。マイナス十八度の密室に、騒ぎを起こした者はそろって放り込まれる。感情的になっているとはいえ、中で暴れようものなら食材を無駄にしたペナルティを――文字通りの意味で――食らうのは自分たちになるとわかっている。そのため始めは悪態をつきながらうろうろと歩き回り、程なくして頭を冷やすどころか体の芯から凍え、やがていがみ合っていたはずの相手と寄り添ってどうにか暖を取ることになるのだ。こうしたことから、冷凍室は〈仲良し部屋〉とも呼ばれていた。
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    みしま

    DONEリクエストまとめその11。TF2で「ツンデレの無意識独占欲強めローニン君とパイロットの話」
    いつも通り独自解釈&設定過分。
    オンリーマイアイズ タイタンの中でも、ローニンはピーキーな機体だ、とよく言われる。実際その通りだ。
     身の丈の三分の二以上の長さがあるブロードソード、一度に八発の散弾を放つショットガン、そして軽量化されたシャーシにフェーズダッシュ機能。いずれもヒットアンドランの近接戦に特化した兵装だ。中・遠距離による銃撃戦が主となる近代戦において、強力ながらもリスキーな戦法と言える。
     だがわたしにはその方が合っていた。いや、合うようになった、という方が正しい。自身も同様に、最前線へ飛び出して短射程の銃器とCQCを駆使するようになったのは、目が潰れてからの話だから。
     タイフォンでの作戦行動中、目を焼かれた。記憶が曖昧だが、酷く眩しかったことは覚えている。おそらくテルミットの火だったのだろう。一命はとりとめたものの、軍医からは「視力を取り戻すにはインプラントを入れるか、シミュラクラムで義体化するかだ」と宣告された(三つ目に「軍を辞める」という選択肢をよこさなかった軍医殿はさすがだと思う)。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ③「コーポVがコーポのお偉いさんに性接待したあと最悪の気分で目覚めて嘔吐する話」
    ※直接的な表現はないのでR指定はしていませんが注意。
    ルーチンワーク ホロコールの着信に、おれは心身ともにぐちゃぐちゃの有様で目を覚ました。下敷きになっているシーツも可哀想に、せっかくの人工シルクが体液とルーブの染みで台無しだ。高級ホテルのスイートをこんなことに使うなんて、と思わないでもないが、仕事だから仕方がない。
     ホロコールの発信者は上司のジェンキンスだった。通話には応答せず、メッセージで折り返す旨を伝える。
     起き上がると同時にやってきた頭痛、そして視界に入った男の姿に、おれの気分はさらに急降下した。数刻前(だと思う)までおれを散々犯していたクソお偉いさんは、そのまま枕を押し付けて窒息させたいほど安らかな寝顔でまだ夢の中を漂っている。
     意図せず溜息が漏れた。普段に比べて疲労が強いのはアルコールの影響だけじゃないはずだ。酒に興奮剤か何か盛られたに違いない。こういう、いわゆる“枕仕事”をするときは、生化学制御系のウェアをフル稼働させて嫌でもそういう気分を装うのが常だ。ところが今回はその制御を完全に逸脱していた。ろくに覚えちゃいないが、あられもなく喚いておねだりしていたのは所々記憶にある。羞恥心なんかどうでもよくて、油断していた自分に腹が立つ。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑥
    TF2で「デイビスとドロズのおちゃらけ日常風景」
    おちゃらけ感薄めになってしまいました。ラストリゾートのロゴによせて。※いつもどおり独自設定&解釈過多。独立に至るまでの話。デイビスは元IMC、ドロズは元ミリシアの過去を捏造しています。
    「今日のメニュー変更だって」
    「えっ、"仲良し部屋"? 誰がやらかしたんだ」
    「にぎやかしコンビ。デイビスがドロズを殴ったって」
    「どっちの手で?」
    「そりゃ折れてない方の……」
    「違うよ、腕やったのはドロズ。デイビスは脚」
    「やだ、何してんのよ。でドロズは? やり返したの?」
    「おれはドロズが先に手を出したって聞いたぞ。あれ、逆だっけ?」
    「何にせよ、ボスはカンカンだろうな」
    「まあ、今回の件はなあ……」

     そんな話が、6−4の仲間内で交わされていた。
     6−4は傭兵部隊であり、フリーランスのパイロットから成る民間組織だ。組織として最低限の規則を別とすれば、軍規というものはない。従って営倉もない。しかし我の強い傭兵たちのことだ、手狭な艦内で、しかも腕っぷしも強い連中が集まっているとくれば小競り合いはしょっちゅうだった。そこで営倉代わりに使われているのが冷凍室だ。マイナス十八度の密室に、騒ぎを起こした者はそろって放り込まれる。感情的になっているとはいえ、中で暴れようものなら食材を無駄にしたペナルティを――文字通りの意味で――食らうのは自分たちになるとわかっている。そのため始めは悪態をつきながらうろうろと歩き回り、程なくして頭を冷やすどころか体の芯から凍え、やがていがみ合っていたはずの相手と寄り添ってどうにか暖を取ることになるのだ。こうしたことから、冷凍室は〈仲良し部屋〉とも呼ばれていた。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑦。Cp2077で死神節制ルート後。ケリーが「そうなると思ってた。Vはまったくしょうがねぇやつだよ」とジョニーを慰める話。
    ※エンディングに関するネタバレあり。なおスタッフロール中のホロコールを見る限りケリーは節制の結果を知らないようですがその辺は無視した内容となっています。
    アンコール インターカムも警備システムも素通りして“彼”が戸口に現れたとき、ケリーは思わずゾッとした。姿を見なくなってしばらく経つ。アラサカタワーの事件はテレビやスクリームシートで嫌というほど目にしてきた。だがその結末は? マスメディアの言うことなど当てにならない。噂では死んだともアングラでうまくやっているのだとも聞いた。けれど真相は誰も知らない。ならばとナイトシティ屈指の情報通、フィクサーでありジョニーの元カノ、ローグにもたずねてみた。返事は一言、「あいつは伝説になったんだ」。金なら出すと言ってはみたが、返されたのは立てた中指の絵文字だけだった。
     Vはいいやつだ。彼のおかげで――奇妙な形ではあったが――ジョニーと再会を果たすことができた。それに人として、ミュージシャンとして立ち直ることができた。もし彼がいなければもう一度、そして今度こそ自らの頭に銃弾をぶち込んでいただろう。大げさに言わずとも命を救われたのだ。だから生きていてほしいと願っていた。一方で、心のどこかでは諦めてもいたのだ。自分とて真面目に生きてきたとは言い難いが、重ねた年月は伊達ではない。起こらないことを奇跡と呼ぶのであって、人がどれほどあっけなく散ってしまうかも目の当たりにしてきた。Vの生き様はエッジー以外の何物でもない。もうそろそろ、読まれることのないメッセージを送るのも、留守番電話へ切り替わるとわかっていて呼び出し音を数えるのもやめにしようかと思っていた。だからその姿を目にしたとき、とうとう耄碌したかと落胆すらしかけた。
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