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    みしま

    @mshmam323

    書いたもの倉庫

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    みしま

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    とあるタイタンの話。勢いで書いたので誤字脱字注意。

    #タイタンフォール
    titanfall
    #titanfall
    titanicAttack

    行く先を パイロットが振り返り、口角を持ち上げまなじりを下げる。笑顔――コピーされた笑顔。
    「どうした、相棒?」
     ごく自然な、おそらく自然と思われるような問いかけ。私が答えずにいると、パイロットは再び同じ問いを投げかけた。全く同じ口調で。あと何回繰り返したら次の段階に行くのか、私は知っている。予測したままに。
     シミュラクラム用義体に、当機パイロットの情報、性質、戦闘効率評価、ニューラルリンク情報、その他私が持ちうるデータを詰め込んだ。出会ってから×年×ヶ月間の記録、そのすべてを。
     私は知っている。パイロットを。パイロットのことならば、私はありとあらゆることを知っている。どう考え、どう行動するのか。
     平均よりわずかに高い体温を。明るく、熱しやすく冷めやすい性格を。中~近距離射撃を得意とし、狙撃は苦手とすることを。酒保のダーツゲームのスコアボードはいつも上位にランク入りしていることを誇り、しかし一位にはなれないことを。チームメイトと犬と私とで写した記念写真を手放さないことを。そのバイタルが失われる直前、シートに頭部をこすりつけたことを。私は知っている。私は知っていた。
    《パイロット》
    「どうした、相棒?」
     けれど、あなたは帰ってこない。あなたの行く先を、私は知らない。

     左脚部第二関節及び左上腕油圧系に異常を検知。機体ダメージ五十六パーセント。残弾数わずか。パイロットのバイタル低下、フェンタニル及びニフェジピン投与量限界値。
     内部カメラがとらえるパイロットの姿は、私の歩みに力なく揺れている。私の呼びかけに、かろうじてうめき声をあげる。応援部隊の到着まであと八分。
     三分経過。パイロットの頭部に動きがあり、シートに圧力を検知。間もなくパイロットの心肺停止。呼びかけ、反応なし。カウンターショック施行、波形回復せず。瞳孔散大。消失/欠損/××?/××?/××?
     シートから血液が滴っている。洗浄前にMRVNに回収を要請しなくては。task#104:パイロットへ体液の返却。
    (データストレージより、×時間前の記録を抜粋。)
     返却不要。パイロット再構築を検討。

     空の棺を前に、立ちすくむパイロット。ルームメイトの遺品が入れられた箱を手に、零れ落ちる涙をぬぐう。悲しみ/怒り。
     見かねた上官がその肩を抱き、パイロットを促す。パイロットはようやく頷き、箱を棺へと納めた。肉体の代わりとして。棺の蓋が閉じられる。同部隊員たちがバッジを手に並び、順々に蓋へを打ち付ける。最後に当機のパイロットも、同じようにバッジを打ち付けた。そのバッジには赤い汚れがついている。
     気を付けの命令に、私は両機とパイロットらとともに並び立った。パイロットの握りしめた手から、赤い雫が滴っている。負傷?
    (データストレージより、×日前の記録を抜粋。)
     メモ:手の負傷は完治。戦闘効率評価に影響なし。ストレス値及び心理傾向の変化に注意。

     パイロットが整備士へ要望を言い立てている。交換弾倉の位置を調整、四肢関節に使用するグリースはVD社のものでも構わない、でもハッチ開閉部のヒンジに使用するものは虎大のものでなくては、等々。
     パイロットが振り返る。「相棒、おまえもそう思うだろう?」
     グリースによる影響は誤差の範囲内。どちらでも構わないので、パイロットに同意した。整備士は肩をすくめてMRVNへ指示を出す。パイロットは鼻歌を歌いながら、私の外装パーツへのワックスがけを再開した。上機嫌/快適/満足。
    (データストレージより、×週間前の記録を抜粋。)

     ガントレットを駆け抜けるパイロットを、私は観察する。一度も足を止めることなく、コースA-11を二十八・三四秒で通過。ゴール地点で待機していた私の元へと跳んでくる。ヘルメットを取り、私を見上げる。普段よりも眉と口角が持ち上がっている。笑顔。
    「どうだった?」
     私は答える。
    《お見事です、パイロット。前回の記録を一・一三秒更新》
     パイロットはガッツポーズをし、こちらへ手のひらを掲げた。あれは『ハイファイブ』という、主に人間がお互いの手のひらを叩きつけ合う行為。挨拶、あるいは賞賛や肯定的な同意を意図した仕草。私は応じず――当時の私はそれを知らなかった――続けて言った。
    《ただし、射撃命中率は約6パーセント低下。仕留め損ねたダミーはいませんが、スピード、命中率ともに上げることを推奨》
     パイロットは少し眉根を寄せ、肩をすくめた。不満、落胆の表出。
    (データストレージより、×ヶ月前の記録を抜粋。)
    検討事項:私はハイファイブに応じるべきだったのか? 私の手は人間と比較して巨大に過ぎ、出力を間違えればパイロットごと弾き飛ばしてしまう可能性がある。だが応じるべきだったのか。手を差し出すだけでも。そうすればパイロットは。

     スリープ解除。足元に当機のパイロット予定者を確認。ひざまずき、身体特徴を視認。大きく目を見開いている。頬のこわばり。対象をスキャン:心拍数の増加、血圧上昇。緊張/興奮/歓喜?/恐怖?
     理解不能。要観察およびデータ収集。
    「はじめまして、××・××だ」
    《はじめまして、パイロット。××‐××です。まずはニューラルリンクの構築を。どうぞ、搭乗を》
     私はハッチを開き、パイロットをコクピットへ収めた。ハーネス固定。ニューラルリンクの構築を開始。
    プロトコル・ワン:パイロットとリンクせよ――リンク完了。
    「よろしく、相棒。××って呼んでもいいかな?」
    《もちろんです》
    プロトコル・ツー:任務を執行せよ――戦闘効率評価の報告。
    《新規任務を確認。当機との戦闘効率評価テストを開始します」
    「了解。シムポッドへ接続」
    《接続完了》
    プロトコル・スリー:パイロットを保護せよ。
    《テスト環境構築完了。パイロット、あなたは私が守ります》
    「頼りにしてる。さあ、やってやろうぜ」
    (データストレージより、××前の記録を抜粋。)
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    みしま

    DONEiさん(@220_i_284)よりエアスケブ「クーパーからしょっちゅう〝かわいいやつ〟と言われるので自分のことを〝かわいい〟と思っているBT」の話。
    ※いつもどおり独自設定解釈過多。ライフルマンたちの名前はビーコンステージに登場するキャラから拝借。タイトルは海兵隊の『ライフルマンの誓い』より。
    This is my rifle. マテオ・バウティスタ二等ライフルマンは、タイタンが嫌いだ。
     もちろん、その能力や有用性にケチをつける気はないし、頼れる仲間だという認識は揺るがない。ただ、個人的な理由で嫌っているのだ。
     バウティスタの家族はほとんどが軍関係者だ。かつてはいち開拓民であったが、タイタン戦争勃発を期に戦場に立ち、続くフロンティア戦争でもIMCと戦い続けている。尊敬する祖父はタイタンのパイロットとして戦死し、母は厨房で、そのパートナーは医療部門でミリシアへ貢献し続けている。年若い弟もまた、訓練所でしごきを受けている最中だ。それも、パイロットを目指して。
     タイタンはパイロットを得てこそ、戦場でその真価を発揮する。味方であれば士気を上げ、敵となれば恐怖の対象と化す。戦局を変える、デウスエクスマキナにも匹敵する力の象徴。
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     シミュラクラム用義体に、当機パイロットの情報、性質、戦闘効率評価、ニューラルリンク情報、その他私が持ちうるデータを詰め込んだ。出会ってから×年×ヶ月間の記録、そのすべてを。
     私は知っている。パイロットを。パイロットのことならば、私はありとあらゆることを知っている。どう考え、どう行動するのか。
     平均よりわずかに高い体温を。明るく、熱しやすく冷めやすい性格を。中~近距離射撃を得意とし、狙撃は苦手とすることを。酒保のダーツゲームのスコアボードはいつも上位にランク入りしていることを誇り、しかし一位にはなれないことを。チームメイトと犬と私とで写した記念写真を手放さないことを。そのバイタルが失われる直前、シートに頭部をこすりつけたことを。私は知っている。私は知っていた。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ③「コーポVがコーポのお偉いさんに性接待したあと最悪の気分で目覚めて嘔吐する話」
    ※直接的な表現はないのでR指定はしていませんが注意。
    ルーチンワーク ホロコールの着信に、おれは心身ともにぐちゃぐちゃの有様で目を覚ました。下敷きになっているシーツも可哀想に、せっかくの人工シルクが体液とルーブの染みで台無しだ。高級ホテルのスイートをこんなことに使うなんて、と思わないでもないが、仕事だから仕方がない。
     ホロコールの発信者は上司のジェンキンスだった。通話には応答せず、メッセージで折り返す旨を伝える。
     起き上がると同時にやってきた頭痛、そして視界に入った男の姿に、おれの気分はさらに急降下した。数刻前(だと思う)までおれを散々犯していたクソお偉いさんは、そのまま枕を押し付けて窒息させたいほど安らかな寝顔でまだ夢の中を漂っている。
     意図せず溜息が漏れた。普段に比べて疲労が強いのはアルコールの影響だけじゃないはずだ。酒に興奮剤か何か盛られたに違いない。こういう、いわゆる“枕仕事”をするときは、生化学制御系のウェアをフル稼働させて嫌でもそういう気分を装うのが常だ。ところが今回はその制御を完全に逸脱していた。ろくに覚えちゃいないが、あられもなく喚いておねだりしていたのは所々記憶にある。羞恥心なんかどうでもよくて、油断していた自分に腹が立つ。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑤「ヴィクターとVがお出掛け(擬似デートのような…)するお話」。前半V、後半ヴィクター視点。
    晴れのち雨、傘はない チップスロットの不具合に、おれはジャッキーとともにヴィクター・ヴェクターの診療所を訪れた。原因ははっきりしている、昨日の仕事のせいだ。
     依頼内容は、依頼人提供の暗号鍵チップを用いて、とある金庫から中に入っているものを盗んで来いというもの。金庫は骨董品かってほど旧世代の代物だったから、目的の中身は権利書とか機密文書とか、相応の人間の手に渡ればヤバいブツぐらいのもんだろうと軽視していた。侵入は簡単だった。一番の障害は金庫自体だった。古すぎるが故のというか、今どきのウェアじゃほとんど対応していない、あまりに原始的なカウンター型デーモンが仕掛けてあったのだ。幸いにしてその矛先はおれではなく、暗号鍵のチップへと向かった。異変に気づいておれはすぐに接続を切り、チップを引っこ抜いた。スロット周りにちょっとした火傷を負いはしたものの、ロースト脳ミソになる事態は避けられた。それで結局その場じゃどうにもならんと判断して、クソ重い金庫ごと目標を担いで現場を後にした。フィクサーを通じて依頼人とどうにか折り合いをつけ、報酬の半分はせしめたから及第点ってところだろう。あれをどうにかしたいなら本職のテッキーを雇うなり物理で押し切るなりする他ないと思う。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑥
    TF2で「デイビスとドロズのおちゃらけ日常風景」
    おちゃらけ感薄めになってしまいました。ラストリゾートのロゴによせて。※いつもどおり独自設定&解釈過多。独立に至るまでの話。デイビスは元IMC、ドロズは元ミリシアの過去を捏造しています。
    「今日のメニュー変更だって」
    「えっ、"仲良し部屋"? 誰がやらかしたんだ」
    「にぎやかしコンビ。デイビスがドロズを殴ったって」
    「どっちの手で?」
    「そりゃ折れてない方の……」
    「違うよ、腕やったのはドロズ。デイビスは脚」
    「やだ、何してんのよ。でドロズは? やり返したの?」
    「おれはドロズが先に手を出したって聞いたぞ。あれ、逆だっけ?」
    「何にせよ、ボスはカンカンだろうな」
    「まあ、今回の件はなあ……」

     そんな話が、6−4の仲間内で交わされていた。
     6−4は傭兵部隊であり、フリーランスのパイロットから成る民間組織だ。組織として最低限の規則を別とすれば、軍規というものはない。従って営倉もない。しかし我の強い傭兵たちのことだ、手狭な艦内で、しかも腕っぷしも強い連中が集まっているとくれば小競り合いはしょっちゅうだった。そこで営倉代わりに使われているのが冷凍室だ。マイナス十八度の密室に、騒ぎを起こした者はそろって放り込まれる。感情的になっているとはいえ、中で暴れようものなら食材を無駄にしたペナルティを――文字通りの意味で――食らうのは自分たちになるとわかっている。そのため始めは悪態をつきながらうろうろと歩き回り、程なくして頭を冷やすどころか体の芯から凍え、やがていがみ合っていたはずの相手と寄り添ってどうにか暖を取ることになるのだ。こうしたことから、冷凍室は〈仲良し部屋〉とも呼ばれていた。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑦。Cp2077で死神節制ルート後。ケリーが「そうなると思ってた。Vはまったくしょうがねぇやつだよ」とジョニーを慰める話。
    ※エンディングに関するネタバレあり。なおスタッフロール中のホロコールを見る限りケリーは節制の結果を知らないようですがその辺は無視した内容となっています。
    アンコール インターカムも警備システムも素通りして“彼”が戸口に現れたとき、ケリーは思わずゾッとした。姿を見なくなってしばらく経つ。アラサカタワーの事件はテレビやスクリームシートで嫌というほど目にしてきた。だがその結末は? マスメディアの言うことなど当てにならない。噂では死んだともアングラでうまくやっているのだとも聞いた。けれど真相は誰も知らない。ならばとナイトシティ屈指の情報通、フィクサーでありジョニーの元カノ、ローグにもたずねてみた。返事は一言、「あいつは伝説になったんだ」。金なら出すと言ってはみたが、返されたのは立てた中指の絵文字だけだった。
     Vはいいやつだ。彼のおかげで――奇妙な形ではあったが――ジョニーと再会を果たすことができた。それに人として、ミュージシャンとして立ち直ることができた。もし彼がいなければもう一度、そして今度こそ自らの頭に銃弾をぶち込んでいただろう。大げさに言わずとも命を救われたのだ。だから生きていてほしいと願っていた。一方で、心のどこかでは諦めてもいたのだ。自分とて真面目に生きてきたとは言い難いが、重ねた年月は伊達ではない。起こらないことを奇跡と呼ぶのであって、人がどれほどあっけなく散ってしまうかも目の当たりにしてきた。Vの生き様はエッジー以外の何物でもない。もうそろそろ、読まれることのないメッセージを送るのも、留守番電話へ切り替わるとわかっていて呼び出し音を数えるのもやめにしようかと思っていた。だからその姿を目にしたとき、とうとう耄碌したかと落胆すらしかけた。
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