小雨の降っている朝。
アスファルトには小さな水たまりが、朝の日差しに反射してきらきらと光っていた。
「やばい、遅刻する…!」
高校への道を駆けていたルカは、曲がり角にチラッと覗いた小さな存在を見つけて、急ブレーキをかけた。
「うおっと……っ!?」
目の前には、自分より二回り小さい背中。
傘もささずに、ピンク色のカバンを背負ったまま、ちょこんとしゃがみこんでる。
「……え?」
近づくと、しゃくり上げる声が聞こえた。
「うぇ……ん、ぐす…っ、ままぁ…」
涙でぐちゃぐちゃの顔に膝に小さな擦り傷。そして僅かに赤くなった鼻先。
「……大丈夫っ!?」
ルカはしゃがみこみ、優しく声をかける。そして急いで自分が持っていた傘を女の子の頭上へと運んであげる。
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