タイトル未定 転生パロ 長乱わたしがだいすきだった人は、いつも見かけると本を片手に持っていることが多かった。寡黙に少し傷だらけの大きい手でパラパラとページを捲る音だけが聞こえる図書室に、その姿を自分の瞳にずっと焼き付けて居たくてあまり用がないのに親友が運良く図書委員だったこともあり、それを盾にして図書室に足繫く通っていた。
「また、来たのかよ。」
「なあに、その顔。邪魔はしてないんだからいいじゃん。」
「そうだけど…。」
私が着た途端に思い切りしかめっ面をする親友は、私が彼に抱いている恋心を知っている唯一の人物だった。叶わない恋をしている私に意味わかんねえ。なんて言いつつも、なんだかんだ言ってこうして私の盾になることを了承してくれて、付き合ってくれている優れた理解者である。
4196