ブブブ…
振動音に気付きスマホ画面を見るとリョータからの着信を知らせる文字。時刻は23時50分、間もなく5月20日が終わろうとしている。
ピッ
『おーいマイ起きてるかぁ?』
「起きてるから電話出たんでしょ」
『それもそだな!』
「それにしても今年はいつもよりちょっと早っかったわね」
『あぁ、うん……何か待ちきれなくて、な』
にゃはは、とリョータが誤魔化すような笑い声をあげる。
いつからか私とリョータで、毎年5月20日から21日に日付が変わるほんの数分前にどちらかが相手に電話を掛けて日付が変わる瞬間にお互いを祝う、ただそれだけの、2人だけの習慣ができていた。
「まぁ分からなくもないけどね、今年は去年とは違うから」
今年はイナさんの弟であるタイセイ君が転校してきて、その直後にアンノウン出現とタイセイ君の適正。それだけでも大事なのに、最近はあんなに適正値の変化が無かったリョータが、切望していたシンカリオン運転士になれた。今年はホントに特別な誕生日。リョータにとっても。
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