千空を伴って甫渡宮に戻ると、女仙たちに囲まれた。空を見上げると、日が傾きかけていて。
思ったより長く、留守にしてしまっていたことに気付いた。
「 ……公、そちらのかたは 」
見慣れない若者に、警戒の目が向けられる。
それを、すっと手で制した。
「 ……俺の、王様。そんな怖い顔で囲まないであげて? 」
そこでひと呼吸置いて。
「 我が君に対し奉り、無礼であろう? 」
この上なくやわらかい声で、にこやかな笑顔で、そう告げる。
「 こ、これは……その、公……天啓、でございますか? 」
普段人畜無害に振る舞っていた主の、思いがけない反撃に動揺して、女仙の一人がようやくそう問いかけた。
「 うん、そう。……ちょうど、みんながそばにいなかったから、驚かせてメンゴね。
1890