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    甘味。/konpeito

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    ジュライ行きの導力列車で同じ班となったクラスメイトと話している時だった。
    「その制服、学生さんか」
     突然かけられた声に肩を揺らす。声の主は通路を挟んで向こう側の席に座っていた人だった。銀髪にカジュアルなコートを羽織った、帝都でもなかなか見ないような顔立ちのいい男の人だ。
    「うるさかったですか、すみません」
     慌てて口早に頭を下げる。制服は学校の顔だから学院の外でも立ち居振る舞いには気をつけるように、とこの特別実習前にシュバルツァー教官から言われていたというのに早速失敗してしまった。ボックス内に座る同班のメンバーも同様に頭を下げていた。
    「いんや。楽しそうだなとは思ったがな」
     それで、と促すような目配りに目礼してから口をひらく。
    「えっと。トールズ士官学院、第二分校Ⅶ組です。これから特別実習でジュライに向かっていまして」
    「へえ。トールズの第二分校つったら、ほら」
    「ええ。実はわたしたちの担当教官がその救国の英雄、灰色の騎士なんです」
     クラス発表当日に自己紹介で本人に向かって臆することなく灰色の騎士マニアだと豪語した隣の子が腰を浮かせる。
    ――まもなく、ジュライ。ジュライ。お降りの方はご準備ください。まもなくジュライ、ジュライ。
     熱弁を振るおうとしたところをアナウンスに遮られ、銀髪の男は寝ていた連れを起こして席を立つ。ピアスの目立つ金髪連れの男も面立ちが整っているが、ワイルドな雰囲気が少し近寄りがたいように感じた。
    「おっと、そろそろ着くみたいだぞ。お兄さんもしばらくジュライに滞在するから、もしかしたら街中で会うかもな」
     降り口ではなく、後ろの列車へ向かうその人を見送る。積荷でもあったのだろうか。
    「きゃー! さっきの人たち、すごいかっこよくなかった?」
     お話しちゃったと言ってはしゃぐクラスメイトをどうにか宥め、ジュライ到着後の段取りを確認する。
    「まずは、ジュライ市長に会って到着連絡、それから実習の依頼内容の受け取りね」
    「オッケー。今回はどんな依頼かなあ。それにしても、シュバルツァー教官こっちに来てくれないなんて。今頃オルディスあたりだっけ」
    「二日後にはこちらに合流してくれるって言ってたじゃない」
     不満を漏らすクラスメイトを宥め、他の同班のクラスメイトと連れ立ってジュライに降り立つ。
     海の近い港街特有の潮風が心地いい。実りある特別実習なるといいなと胸が高鳴った。
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