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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    武器交換続きクロリン
    モブ視点/交わるふたつの絆

    「なぜだ、なぜだ。なぜだ!」
     監視カメラから目を逸らせないまま机を叩く。部下の肩がびくりと跳ねたが、そんな瑣末なことを気にかけている余裕などなかった。
    「四班、五班。ともにBルート、クロウ・アームブラストを潰せ。七班八班はAだ。リィン・シュバルツァーをそれ以上先へ進めるな。いいな、ふたりを絶対合流させるんじゃない。分かったな」
     無線を切り、ふたたび机を叩き、奥歯を噛みしめる。目の前で起こっている現実を受け入れられなかった。
     データ上では双刃剣と二丁拳銃しか扱っていなかった男は慣れた手付きで太刀を操り、太刀一辺倒だったはずの男は拳銃二丁を鮮やかに使いこなしてみせている。まるで、お互いの戦い方を熟知しているような練度に背筋が凍った。
    「最終手段に出る。アレを動かせ」
     向かうは合流地点。
     大型人形兵器を従え、一掃するしかない。もう、彼らを止められるものはこれしかなかった。



    「どうしてこんなことに。私の計画は完璧だったはずだ。ふたり揃うと厄介だからと分断してやった。武器も奪った。なのになぜだ。なぜ止まらない。どうして倒れない」
     静寂のなかに悲痛な声だけが響いた。
     従えていた大型人形兵器は容易く屠られ、無残な姿を晒している。彼らを足止めさせるために道中へ配置した部下たちもひとり残らず沈められているのだろう。
     一足先に合流地点へ到着した銀髪の男を相手にしているうちはこちらが優勢だった。黒髪の男が来てからだ。それから流れが変わってしまった。
     まさに阿吽の呼吸だった。
     会話のひとつもないのに投げられた太刀を平然と受け取る男。すれ違いざま上空へ投げられた二丁拳銃を、まるでそこにくるのが分かっていたように受け取る男。そこからの、見事としかいえない連携技から編み出される波状攻撃であっという間に追い込まれていた。
     こんな化け物、勝てない。勝てるわけがない。理性よりも先に本能が理解していた。
    「いやあ、さすがに使い慣れてなきゃこのデカブツ相手に刃こぼれなしってのは無謀だったわ」
     太刀の刃を確認していた黒髪の男が安堵の表情を浮かべていた。そこに先ほどまで覇気を放っていた修羅はいない。
    「大事に使ってくれたんだな。使い慣れてないにしてはなかなかの太刀筋だったぞ」
    「おっ、そこ褒めちゃう? お兄さんもなかなかやるだろ。リィンも拳銃の使い捌きよかったぞ」
    「そりゃあ、まあ……。一応学院で教官をやっているからな。それなりに教えられる程度には。でも、クロウには全然及ばない」
     頭を乱暴に撫でられても抵抗しない修羅は、恥ずかしそうに謙遜を並べた。
     銃弾で武器を弾き飛ばされ、次々と容赦ない足技で沈められていった部下たちは、それなりに扱えるというこの男に遠く及ばなかったらしい。
    「おいおい。得意武器にしてる俺より上だったら俺の立つ瀬がなくなるだろ」
     肘で小突き、よろけて笑い合う彼らを唖然とした顔で見つめるしかできなかった。
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    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNINGフォロワーさんのネタをサルベージした一品。二パターンのうちの一個。曰くフォロワーさん的にはこっちがお望みだったようなのでこちらを先にアップ。
    でも本当に様になるねこの男は。

    尚そんなに活躍していない偽名は、私の趣味です(特にローデリヒ)
    踊ってください、愛し君「あれが例のターゲットか」
    「そうみたいだな。さぁて、どうしてやろうか」

     帝国のとある貴族邸にて。一時期帝国とクロスベルを行き来していた偽ブランド商がこの屋敷にて開かれる夜会に紛れてどうやら密談を行うらしい。そこでクロウとリィンには穏便な形での取り押さえるという依頼が舞い込んできたのである。相談した結果、ターゲットが女性である事とクロウ曰く二人そろって見目もいい事から凝った変装は必要ないだろうという事になった。ただリィンの場合は顔と名前を知られすぎているので、一工夫必要だとクロウの手によって好き勝手され。ラウラやユーシス、時間が出来たからと顔を出したミュゼの審査を受けてようやく目的地に辿り着いたのだが。如何せん、そこまでの振り回されたこともあって少々疲弊していた。潜入捜査に男二人は流石に目立たないだろうかとは思ったものの、その手のプロから珍しい事ではないとのアドバイスをもらったので女装させられるよりはましかと腹を括った。
    1996

    さらさ

    DONEリクエストより「クロリンで指輪交換」でした。指輪を交換した勢いで誓ってもらいました。場所が場所だけどね!

    リクエストありがとうございました!
    誓いの環をその指に「買って、しまった……」

     十二月もまだ初旬、たまたま帝都に出たという理由だけで散策して見つけたシンプルな指環。ああ、あいつに似合いそうだと思ってうっかり買ってしまった物だったがこれを渡せる程の関係でもないという事は彼――リィンも分かり切っていた。一応、お付き合いしている関係ではある。だが余りにも空白の時間が長すぎた事、戦後の事後処理に追われて時間が取れない事が相まってしまい未だ実感が湧かないのが現実であった。だからこれは余りにも早すぎるというもので。そっとコートのポケットへと仕舞ったのだった。

    「やべぇ、買っちまった……」

     同時期、別の男もまた同じ事をしていた。たまたま見つけた最低限の装飾しか施されていない指輪。ああ、あいつの指にはめてしまいたいだなんて思っているうちに買ってしまった代物である。お付き合いを始めてそろそろ三か月、今度こそ手を離さないと誓ったものの状況がそれを許さなかった。彼らは別々の場所で必要とされ、帝国内を東奔西走するような日々である。言ってしまえば魔が差したようなものだと、彼――クロウは思う。なんせ相手は天性の朴念仁で人タラシ、所有痕の一つや二つ残しておかねば相手が近寄ってくる始末だ。その状況に頭を抱えていたのは事実だが、かといってここまでするつもりはまだ毛頭なかった。
    1833

    さらさ

    DONEクロリンwebオンリーのエア小話より「内容指定無しの更紗が書いたクロリン」です。
    12月に不安定になっちゃうリィンが今年はしっかりしなきゃと思いながらクロウにメールすることから始まるシリアスクロリン。



    ランディが出てくるのは私の趣味です(書き分け難しかったけど楽しかった)
    慣れぬくらいならその腕に ――冬、か。リィンは仕事が一段落した寮のベッドで、バタリと倒れながらそう思う。《黄昏》が終結してから三度目になるその季節に、そろそろ拭えていい筈の不安がまだ心の奥底で突き刺さっていた。

    「流石に通信は女々しいかな」

    流石に三度目ともなれば慣れなくてはならないと、彼は思う。今は異国を巡りながら情報収集やら遊撃士協会の協力者やらで忙しい悪友を、年末には必ず帰ってくる優しい人を心配させない為に。開いたり、閉じたりしてどうも定まらない思考をなんとか纏めようとする。

    「今年は帰ってこなくても大丈夫だって、言おうかな……」

    移動距離だってそんなに短くないのだ、忙しい時間を自分に割かせるには余りにも勿体無さすぎる。そもそも、帰ってくるという表現さえ正しいのかは分からないが。導力メールで今年は帰ってこなくても大丈夫だという旨だけ書いて送信して、そのまま目を閉じる。通信を告げる着信音がやけに遠く感じながら、リィンはそのまま眠りについた。
    4911