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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字
    unluckyday?付き合っていないクロリン

    この日のクロウ・アームブラストは、朝からついてなかった。
     まずはじめに導力バイクの調子が悪くなった。足が無ければ旅は続けられない。クロウは仕方なく列車に導力バイクごと乗り込み、近場にあったリーヴスへ向かった。
     目的地に到着して早々、第二分校の校舎奥にある格納庫へ導力バイクを運び込んだ。格納庫内は人っ子ひとり居なかったが、この時間なら授業中なのだろうとひとりで納得する。
     その後、ついでだからとここで教官をしているリィン・シュバルツァーの顔でも拝んでいくかと居場所を聞くも、朝から特別演習のためリィンはおろか、生徒全員が出払っていると用務員のフランキーから聞きかされて肩を落とした。
    「もしかして、ツイてない……?」
     人気のない校舎をうろつくわけにもいかず、しかも肝心の修理を依頼したかったティータ・ラッセルも当然、特別演習のため不在。近場での演習だから明日には帰ってくるらしいが、結局それまで手持ち無沙汰なのには変わりなかった。
    「よし、ここまでついてなけりゃ、いっそ当たるだろ。運試しだ、運試し」
     落ち込むなんて柄ではない。気を取り直したクロウは新調したばかりのライダースジャケットを翻してリーヴス駅から一路、帝都競馬場へと向かった。
    「うっそだろ……。全部ハズレるとか。なんだこれ、ついてねえなんてもんじゃねえぞ」
     ハズレ馬券片手に帝都競馬場から出たときだった。耳馴染みのある声がする。
    「クロウ?」
     サングラスの向こう側、変装のつもりらしい眼鏡をかけたリィンが目を瞬いている。慌ててハズレ馬券をズボンの後ろポケットへ捩じ込んだ。近場の特別演習先は、帝都のことだったらしい。
    「待て、リィン。俺はもう成人済みだ」
    「なに言ってるんだ。久々の再会が競馬場前とか。こっち来るなら連絡ぐらいしろ、バカクロウ」
     罵る言葉に反して顔には笑みを浮かべているリィンが、クロウの胸倉を掴む。同行者だろう彼の生徒たちから生温かい目を向けられ、クロウは頭を掻くしかなかった。
    「――意外とツイてるかも」
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    recommended works

    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    DONEリクエストより「クロリンで指輪交換」でした。指輪を交換した勢いで誓ってもらいました。場所が場所だけどね!

    リクエストありがとうございました!
    誓いの環をその指に「買って、しまった……」

     十二月もまだ初旬、たまたま帝都に出たという理由だけで散策して見つけたシンプルな指環。ああ、あいつに似合いそうだと思ってうっかり買ってしまった物だったがこれを渡せる程の関係でもないという事は彼――リィンも分かり切っていた。一応、お付き合いしている関係ではある。だが余りにも空白の時間が長すぎた事、戦後の事後処理に追われて時間が取れない事が相まってしまい未だ実感が湧かないのが現実であった。だからこれは余りにも早すぎるというもので。そっとコートのポケットへと仕舞ったのだった。

    「やべぇ、買っちまった……」

     同時期、別の男もまた同じ事をしていた。たまたま見つけた最低限の装飾しか施されていない指輪。ああ、あいつの指にはめてしまいたいだなんて思っているうちに買ってしまった代物である。お付き合いを始めてそろそろ三か月、今度こそ手を離さないと誓ったものの状況がそれを許さなかった。彼らは別々の場所で必要とされ、帝国内を東奔西走するような日々である。言ってしまえば魔が差したようなものだと、彼――クロウは思う。なんせ相手は天性の朴念仁で人タラシ、所有痕の一つや二つ残しておかねば相手が近寄ってくる始末だ。その状況に頭を抱えていたのは事実だが、かといってここまでするつもりはまだ毛頭なかった。
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