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    甘味。/konpeito

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    ものぐさを後悔した日/クロ+リン/ノーパン

    「エリゼに知られたら怒られそうだ」
     溜め込んだ洗濯物をどうにか洗濯機へ詰め込んだリィンは肩を落とした。
     流石にエリゼが女学院にいた頃のように片付けをしに来ることはなくなったものの、定期連絡も兼ねた通信で洗濯物は溜めないよう、掃除は定期的にするよう苦言を呈されていた。
     それを忙しいを言い訳にのらりくらりと躱していたら、とうとう今朝になって替えの下着がなくなってしまったのだ。
     妹に知られでもしたら面倒な予感しかない。
     ひとまず今日が自由行動日であることに感謝して下着を身につけていないことを誰にも悟られないよう、今日一日乗り切ろうと誓った。
     そんな日に限って予定は入る。
     夕方頃、リーヴスの近くに立ち寄るというクロウから通信が入った。
     旅に出てからもこうして顔を見せに来てくれる彼の心遣いは嬉しいのだが、いくらなんでも今日は無理だ。彼に会えないと断りをいれようとして、結局リィンの自室で会うことになった。酒は各地からクロウが送ってきたものを、つまみも道中で仕入れてくるからとお膳立てされてしまえば容易には断れなかった。
     ARCUSⅡ片手に、まだ回っている洗濯機を呆然と見つめる。夕方までに下着が乾くとは到底思えなかった。
    「――なんだ今日。どうした」
     追加で持ってきた地酒をいくらか空けたときだった。
     東方のそれは口当たりがすっきりとしていて、エールとは異なる独特の甘みを含んでいる。合うと勧められたつまみも手伝って普段より早いペースでグラスを空けていた。
    「なんか、落ち着かねえだろ。本当に予定あったのか」
    「いや、そういうわけじゃ」
     口籠もるリィンに向けられた訝しむ目線を避け、目を伏せた。
    「その、最近忙しくて。ついつい色々と疎かになっていて」
    「ああ。あれか。また妹ちゃんに掃除しろとか洗濯しろって言われたんだろ」
     前にも言われてたらしいなとグラス片手に笑った彼に、実はと続ける。
    「ものぐさが祟ってとうとう下着の替えがなくなったんだ。その、今日」
     気まずい空気に耐えられず、グラスに残る酒を煽った。
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    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
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    さらさ

    DONEリクエストより「クロリンで指輪交換」でした。指輪を交換した勢いで誓ってもらいました。場所が場所だけどね!

    リクエストありがとうございました!
    誓いの環をその指に「買って、しまった……」

     十二月もまだ初旬、たまたま帝都に出たという理由だけで散策して見つけたシンプルな指環。ああ、あいつに似合いそうだと思ってうっかり買ってしまった物だったがこれを渡せる程の関係でもないという事は彼――リィンも分かり切っていた。一応、お付き合いしている関係ではある。だが余りにも空白の時間が長すぎた事、戦後の事後処理に追われて時間が取れない事が相まってしまい未だ実感が湧かないのが現実であった。だからこれは余りにも早すぎるというもので。そっとコートのポケットへと仕舞ったのだった。

    「やべぇ、買っちまった……」

     同時期、別の男もまた同じ事をしていた。たまたま見つけた最低限の装飾しか施されていない指輪。ああ、あいつの指にはめてしまいたいだなんて思っているうちに買ってしまった代物である。お付き合いを始めてそろそろ三か月、今度こそ手を離さないと誓ったものの状況がそれを許さなかった。彼らは別々の場所で必要とされ、帝国内を東奔西走するような日々である。言ってしまえば魔が差したようなものだと、彼――クロウは思う。なんせ相手は天性の朴念仁で人タラシ、所有痕の一つや二つ残しておかねば相手が近寄ってくる始末だ。その状況に頭を抱えていたのは事実だが、かといってここまでするつもりはまだ毛頭なかった。
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